3DPRINTER×CLOTHES

Created Date: 2016-10-24/ updated date: 2018-03-13
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Summary
3Dプリンタを用いた新たな服の装飾を提案し、実際に製作を行った。
デジタルファブリケーションによって多くの人が自分で世界に一つのオーダーメイド作品を作れるようになってきた。そこで私は新たに3Dプリンタを活用して“誰もがオリジナルの服を作れる方法”を作品として提出する。
3Dプリントされた作品をアイロンで定着させ、ワッペンとして利用する。3Dプリントされたものならなんでも服に付けられるため活用の幅は広く作る人によってそれぞれ違う良さを持つ作品となる。
また、アイディアの源であった「ろうけつ染め」も3Dプリンタを使って行った。

Materials

    Tools

      Blueprints

        Making

        •  3Dプリンタが服のシワのコントロールに使われていることは知っていたが、その他の活用方法を聞いたことがないため新たに活用できないかと考えた。
           調べてみると服の染色方法に「ろうけつ染め」というものを発見した。服にロウで絵を描き染め、その後でロウを落とすというものだがそれを3Dプリンタでできないかと考える。しかし、ロウを出力できる3Dプリンタが身近に用意できないためもっと手軽に服と結びつける方法を考え、ワッペンを作ることを閃いた。布にロウを染み込ませるというワードをヒントに熱によって溶かし服に接合できるのではないかと考える。
          • 「ろうけつ染め」とは、日本では天平時代から伝承され京都の京友禅でも用いられる、蝋を使用した染色技法。(http://www.mioinoue.com/roketsu/)
            溶かしたロウを筆に取り、布に描く。その状態で布を染め上げるとロウのついた部分だけコーティングされ染まらない。最後に薬剤でロウを落とすと綺麗に絵が染まらずに残っている。ロウの割れた模様が味わい深く浮かび上がる。
        •  本当に布に3DプリントされたPLA樹脂が定着するか(くっつくか)どうかのテストを行う。
           高校の文化祭で作成したカフェインキーホルダーを布の下に敷き、布の上からアイロンがけをして定着するかでテストをした。
           結果は少し形態が崩れるぐらいまでアイロンがけをすると、しっかりと定着した。
          一般にPLAの出力温度が180〜210度ほどで、アイロンの高が180〜200度なのでアイロンでワッペンとして溶かして使用するのにもPLAはちょうど良いということがわかった。
          • 新しく「3D.PRINTED」と書かれたものを様々な厚み(4,3,2,1mm)で出力し、アイロンをあてる向きや時間を調整し、状態を観察した。
            結果として、アイロン台ではなく硬い土台の上に3Dプリントされたものを置き、その上から対象の布をかけ10秒ほどアイロンを押し付けると綺麗にくっつくことがわかった。
            立体のワッペンとして使用するなら4mm以上であると形が崩れにくく、平らなものとして潰してアイロンをかける場合は0.2mmで出力すると形が崩れずに定着させられる。

            • 今回はTシャツの胸元につけるワッペンをデザインする。3Dプリントされたものとして「3D.PRINTED」の文字とメカニカルを象徴する歯車をFusion360でデザインする。
              立体感を出すために歯車の暑さはそれぞれ変えた。
              これを実際に3Dプリンタを用いて出力しアイロンでワッペンとしてくっつける。
              • Tシャツに3Dプリントされたものを置いて裏からアイロンをかけ、定着させる。
                アイロンの設定は「高」で行い、上から押し当てながらしっかりと定着させるようにくっつける。
                温度が200度近くまで上がらないと定着しないが、長時間当て続けるとPLAが極度に変形してしまうので注意が必要。
                • 3Dプリントされたものには必ず平らな接地面があるため、アイロンがけをすることが可能。
                  アイロンした直後はPLAが柔らかいため、その状態で体にフィットさせると自分の体格にあったワッペンを作れる。 
                  3Dプリントされたものならなんでもくっつけられるので好きなサイズのポケットなども付けられる。
                  ○考えられる活用
                  ・胸や筋肉をプリント
                  ・作業者に合ったポケット製作
                  ・体にスーパーフィットした服
                  • 製作方法をまとめた動画
                    この方法を使えば多くの人がさらに3Dプリンタを活用することができる。
                    ○設計
                    手近なCADを用いて服に取り付けるワッペンのデザインを行う。
                    ○製作
                    3Dプリンタで設計したものを出力する。素材はPLAを推奨する。
                    ○定着
                    アイロン高でアイロン・布・ワッペンの順で並べて、擦り付けるようにアイロンを押し当てて布に定着させる。
                    ○完成
                    • ろうけつ染めが由来で閃いたこの作品。3Dプリンタを用いたろうけつ染めにもチャレンジをする。
                      0.2mm厚で3Dプリントした作品をアイロンで布に強く定着(コーティング)させ、布を染め上げる。
                      その後、アセトン(有機溶剤)を用いてPLAを溶かし完成とする。
                      PLAでコーティングされていた部分は染まらずに残ると予想する。
                      • 0.2mm厚で3Dプリントされたものを布(綿100%)にアイロンで定着させる。
                        ワッペンの時よりも入念にアイロンをかけ、布にコーティングされるようにする。
                        デザインはワッペンの時に使用した歯車と3D,PRINTEDを用いる。

                        強く布を押し当てたため、しっかりと布をコーティングしていることがわかる。
                        • 衣類用の染色剤を用いて布を染色する。その後、布をアセトンに浸してPLAを溶かす。

                          十分に、6時間ほど置いたところ、PLAが溶け出していた。
                          写真ではPLAが溶け出しアセトンが紫に色づいているのがわかる。
                          • 綺麗に染め分けることができた。実際のろうけつ染めではロウが割れた模様の味が出るが、3Dプリンタで行うとアイロンがけなどのムラが味として出てくる。
                            もう少し強くアイロンをかけるとよりコントラストが際立ち、もっと綺麗に染め分けできると考える。
                            • まだ3Dプリンタを衣類に利用している人が少ない中、「ワッペン」と「ろうけつ染め」の2通りの新たな活用方法を提案することができた。
                              ろうけつ染めについてはアセトンや染色剤を必要としたりと難易度が高い。しかし、ワッペンについては3Dプリンタとアイロンさえあれば誰でも簡単に利用できるため難易度が低く幅広く活用してもらえるものとして新たな発見だと考える。
                              ・3Dプリンタで服を作ってみた
                              ・3Dプリンタでろうけつ染めをしてみた
                              ・3Dプリンタで簡単にワッペンを作る方法を発見してみた
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