靴紐を片手で結ぶことに関する問題点



工程分析

①2本の紐を交叉させる
②片方の紐にもう片方の紐をくくりつける 
③両方の紐を引っ張って締め付ける
④片方の紐を中間で折り曲げて輪を作る
⑤もう片方の紐を前から通して輪に通す
⑥形を整えながら、輪を左右に引き締める

問題点

  • 片手で固結びをする際、きつく結ぶことが難しい(工程分析③)
  • 輪を保持しながらもう片方の紐でくくることが難しい(工程分析④~⑤)
  • 片手で、形を整えながら、輪を引き締めることが難しい(工程分析⑥)

これまでの経過とその特徴

① 差し込み部分に対してフックが上向きとなっている.靴紐を引っ掛けてもすぐに外れてしまう.
② 差し込み部分に対してフックが下向きになっている.柔らかすぎて使いにくい.
③ 全て硬い素材で製作したもの.分厚く,硬いため足に当たると痛い.
④ 硬い素材のまま薄くしたもの.靴に自助具を差し込むとすぐに動いてしまう.
⑤ 差し込み部分の素材を柔らかくし,フック部分の素材を硬くしたもの.2つの部品がスライドするため,靴紐を掛けて引っ張ると動いてしまい使いにくい.

➡︎差し込み部分の素材を柔らかく,フック部分の素材を硬くし,2つの部品はL字の状態で固定されたものを製作すれば良いのではないか?

アイデアの提案


目的

自宅あるいは外出先で、片手で靴紐を結ぶことができることによって、
  • 履ける靴の選択肢を狭めないで済む
  • お気に入りの靴を履き続けることができる

今回考えたアイデア

➤ターゲット
➡︎ 片方の上肢・手指に何らかの障害がある方
例)片麻痺,骨折,切断など

➤適応
  • 両下肢の足関節の軽度背屈が可能な方
  • 健側手指の巧緻性が保たれている方
  • 認知機能が保たれている方
※通常のリボン結びが可能な程度の認知機能が必要

➤特徴
  1. シンプルでスタイリッシュなデザイン
  2. 軽量かつコンパクトで持ち運びが可能
  3. 3Dプリンタで製作しているため,耐久性が高い
  4. 既存の靴をそのまま使用可能
  5. 足関節の軽度背屈が可能であれば,片手のみで全工程が実施可能
  6. 差し込み部分の素材が柔らかいため,隙間に差し込みやすく,痛みがない
  7. フック部分の素材が硬いため,きつく縛ることが可能
  8. 結ぶ手順は通常の蝶々結びと同じ

構造

➤構造の特徴
  • フック部分(①)と差し込み部分(②)から構成 
  • フック部分(①)は硬い素材で製作
  • 差し込み部分(②)は柔らかい素材で製作
  • 2つのパーツ(①・②)は接着剤で固定
  • L字型での固定性を高めるために突起をつけている
  • 無駄を最小限まで省いたシンプルな構造

使用方法

①固結びをする
②片方の足で内側の靴紐を踏んで固定する
③踏んでいない方の靴紐を引っ張ってきつく締める
④自助具を自分が結びやすい位置に差し込む
⑤固結びが取れないように、外側の靴紐を足で踏んで固定する
⑥内側の靴紐を自助具のフックにくくりつける
⑦踏んでいた外側の靴紐を手前から回して輪に通す(⑦以降は通常のリボン結び)
⑧フックにくくりつけていない方の靴紐を引っ張ってきつく締める
⑨自助具を取り外す

課題

  • 固結びをする際、靴紐を踏む必要があるため、汚れてしまう
  • 使い慣れるまでに練習を要する