1.自助具を制作する意味

片麻痺の方が既存のトイレで簡単に、無駄なくトイレットペーパーを使用できるようにする
既存のもの
・介護用の別売トイレペーパー
・新しくトイレットペーパーホルダーを設置
・滑り止めを張り付けて簡単にカットできるもの
→設置してあるトイレットペーパーホルダーを活用しない=一部の環境を改善するに留まる
→余分にトイレットペーパーをとる

2.片麻痺の方がトイレットペーパーを使用する際の困難

・片手でトイレットペーパーを巻くと余分に取ることに
・抑えながら巻けない
・トイレットペーパーを切るときに固定できない

3.解決策・アイデアスケッチ

・自助具を使用して、簡単に紙を無駄にせず巻けるようにする
・片手でも簡単にトイレットペーパーを巻き、切れるようにする
・横のレバーを回すことで紙を巻いたらどうか

タイプ1 トイレットペーパーを挟んでレバー方式で巻く

・紙を自助具の真ん中に設置して、スライド部分で挟む。
・自助具を握り、手首を回すことでトイレットペーパーを巻く。(トイレットペーパーを挟んだままにしておく)
・トイレットペーパーの蓋の上に自助具を設置し、手で切る。

タイプ2 トイレットペーパーを巻き付る

・装置にトイレットペーパーを巻き付けて、横のレバーで回す
・適切な長さまで巻きとったら、蓋の上を抑えて紙を切る

4.アイデアスケッチを踏まえた意見交換と追加情報

・トイレットペーパーをどのように取り出すのか
→どこかにローラーをつける
・トイレットペーパーをどのように切るのか
→自助具を持った手で蓋を押さえられる状態にする
→既存の蓋ではなく、カッターとなるパーツをつける
・自助具をどのように取り付けるか
→①既存の蓋を持ち上げる ②既存の蓋とトイレットペーパーの間に固定する
・すべてのトイレで活用
→持ち運びができる
→普段使用するトイレで基本使用する想定→分解できる

5.アイデアのブラッシュアップとプロトタイプ作成準備


タイプ1型

・自助具は赤いパーツと黄色いパーツの二種類のパーツ
・黄色のパーツを動かしてトイレットペーパーを挟む
・自助具を回してトイレットペーパーを巻く
・自助具をもったまま蓋を抑えてトイレットペーパーを切る

・持ち運ぶときは赤いパーツの下の空洞部分に黄色い方のパーツを収納

<問題点>
・巻くのに時間がかかりすぎる
・自助具をもったままだと切りにくい
・切り取ったトイレットペーパーを自助具から取り外せない

タイプ2型

・突起部分で既存の蓋を上げて、トイレットペーパーの上にセット
・ローラーを転がしてトイレットペーパーを取り出す
・ギザギザ部分でトイレットペーパーを切る

<問題点>
・固定が不十分
・3Dプリンタでアーチやギザギザを作れない

プロトタイプの最終評価_タイプ2型の方向性で決定

<改善点>
・蓋・ローラー・カッターのパーツを分ける
・蓋のアーチは一部分に限定
・安定性強化のためにトイレットペーパーの奥に差し込む突起を追加
・ローラーは円柱型のものを作成した後に滑り止めを巻く
・カッターはホルダーの下に追加し、引っ張ってとれる仕様に

6.どのように作成したか

最初はトイレットペーパーを片手でもきれいに巻く方法を考えていた。
しかし、きれいに巻くことよりもいかにトイレットペーパーを早く取り出せるかが重要だと考え、アイディアを変更した。
既存の自助具であるコロベークンを元により使いやすくなるよう改良した。

大まかなイメージ

まずは大まかなイメージを作成した。
①蓋:既存のふたを持ち上げる
②ローラー:ローラーを回すことでトイレットペーパーをまく
③カッターを支える支柱
④カッター:トイレットペーパーを切る

テスト印刷

パーツを組み合わせる部分(丸型)を3Dプリンターで作ると誤差が生まれてうまくはまらなかった。
カッター部分は切る方向で力を加えると折れそうなくらいに歪みが生じた。
蓋の印刷はカーブ部分に亀裂が入っており力を入れると折れてしまった。

印刷する際の注意点①

蓋について 最初は縦長に印刷していた。だが、カーブの部分で亀裂が入ってツリーを取り外す際に折れてしまったり、突起部分がうまく印刷されなかった。そのため、横長に向きを変え、床への接地面を広くし安定性を持たせて印刷した。また、サポートをツリーではなく標準のサポートに変更し、最初よりも厚みを持たせて印刷した。結果、カーブの部分に亀裂が入ることなく、標準のサポートをうまく取り外すことができた。

印刷する際の注意点②

カッターの支柱について
カッターを支える支柱とカッターを組み合わせるために凹凸を作成したが、プリンターで印刷する際に穴の大きさに誤差が生まれ外れやすかった。そのため、穴の大きさを微調整し、さらにカッターを落ちにくくするために支柱をL字型に変更して印刷した。

微調整

カッターのパーツについて 使用する際は上下の圧力がかかるため、上下に耐久性がある向きで印刷した。 また、持ち運びをすることも考えて軽量化した。

ほぼ完成!

ほぼ完成したので組み立ててトイレットペーパーも設置した。 カッターの支柱がグラグラして不安定だったので、作り直した。 ローラー部分をはめる棒は印刷の際に誤差が生じたため、セロハンテープで太さを出したところピッタリだった。