アイデアを出す


デザインワークショップに参加

 金沢市内で行われたデザインワークショップ、「初めての親子3Dものづくり体験」イベントに、姉妹2人と参加しました。そのイベントで、デザインのプロセスやその理由について解説を受けたのち、家族の課題を発表し、その解決方法について皆で話し合いました。

長女が出した課題として、
1:掃除洗濯などの家事全般がめんどくさい 
2:忘れ物をしないようにしたい
3:自動でメイクやヘアセットをしてほしい
などがありました。

親としては、子どもたちがとにかくめんどくさがり屋さんで困っています^^

課題の原因は?

 続けて、ここででた課題が、なぜ問題になっているのかを考えました。
1:掃除洗濯などの家事全般がめんどくさい 
 →折りたたんだり、手順が多く、何回かやると疲れてしまう。
2:忘れ物をしないようにしたい
 →メモを取ればいいけど、メモをとることが多くて大変。
3:自動でメイクやヘアセットをしてほしい
 →朝起きてから、ご飯や歯磨きなど、やらないといけないことが多い。
 →髪の毛が長いので、とかしたり後ろで結んだりするのが時間が掛かるし、難しい。

ここで分かったのは、はじめはやる気があっても、やることの手順が多すぎて、結果的に三日坊主になってしまうことが根本の原因だということです。

解決方法を探る

 つぎに、それら原因をどうやったら解決できるかを考えてみました。
その中で、手順が多いことが問題であれば、ある程度自動化できればいいのではないか?という意見が出ました。
実際に掃除には掃除ロボットが人気だし、洗濯も洗うから乾燥までをやってくれる機械もあります。

話し合いの結果、洗濯機をつくるのは難しいので、髪の毛をとかすクシを作ることにしました。もしも、クシが自動的に髪をとかしてくれて、しかもヘアバンドの代わりにもなればとても便利だし、後ろで結ぶのが難しいという問題も解決できます。
かつ、自分の好きなデザインにすれば、自分だけのヘアアクセサリが作れます。

カタチを考える

 最終的に、クシとヘアバンドが一体となったオリジナルヘアアクセサリを作ってみることになりました。
 どんなカタチや色にするか、どうすればクシとヘアバンドが一体になるか、まずはスケッチをして色んなアイデアを出してみました。
次にもっと具体的にイメージするために、紙粘土を使って、実際の大きさやカタチを作ってみました。
実際に頭に装着してみて、何度も大きさを吟味し、長女が扱えるちょうどいい大きさにすることができました。

パソコンを使って3D化


3Dモデリングに挑戦

 3Dデータ制作は、後日、今回のイベントの進行を担当された株式会社C8LINK(クリパリンク)さんのサポートで、作っていきました。
パソコンでのものづくり自体不慣れな中、しかも3Dのデータは作ったことがないので非常に悪戦苦闘しましたが、「Autodesk Fusion360」というソフトを使うことで、書いた線から立体物にすることができたので、自分の好きな大きさや形状をそのまま立体にすることができました。

デザイン変更

 まずはハートの半分を作り、次に同じ形を複製することで、合体するとハートの形になるように設計しました。そうすることで、左右から同時に一度で髪をとかすことができるので、めんどくさがり屋な長女ならではの発想でした^^
また、合体させる方法として、結合部に磁石を埋め込むことで、見えない頭の後ろでの作業が楽になり、パチンっと自動的にくっついてくれるので、とっても便利です。

いよいよ実際のモノにしてみる


初めての3Dプリンタ

 出来たデータをクリパリンクさんに渡すと、3Dプリンタでプリントしてくれました。使っている機材は「UP BOX」という、卓上のサイズながら比較的大きなプリントが可能な機械だと教えてくれました。機械自体の見た目も近未来のロボットみたいでワクワクしました。

試作その1

 積層ピッチは0.1mm、出力時間は4時間ほど、櫛の歯の部分が強度的に弱そうだったので密度はlooseにしてかなり埋めるように設定しました。
ところが、実際に完成したものを見ると紙粘土でつくったサイズよりもかなり大きくなってしまいました。おそらく、3Dプリンタに持っていって配置する際に、角度を変えたつもりが大きさまで変えてしまったようです。
さらに、実際に髪の毛をとかしてみると、櫛の歯がものすごく弱く、すぐに折れてしまいました。

試作その2

 そこで、もう一度、櫛の歯の数と間隔を調整し、プリントし直しました。
完成したものは、今度は大きさはバッチリ。歯を太くしたことで折れにくくなりました。
最後に、合体部分に磁石をくっつけて2つを組み合わせれば完成です!

※写真は、折れてしまった試作品で試しに練習で磁石をくっつけてみたもの。

試作その3

 ところが、問題が発生。出来上がったものを使って髪はとかせましたが、間隔が広すぎて髪に刺した際に引っかからずに落ちてしまいました。
そこで、櫛の歯の形状をさらにこだわることにしました。具体的には、根本は折れないように太く、先端は髪がとかしやすいように細く、そうすれば、強度と使いやすさを保ったまま髪にも引っかかる間隔にすることが出来ます。

このこだわり、伝わるでしょうか??

ついに完成

 そうして、総合計造形時間24時間かかって、理想のヘアアクセサリが完成しました!
クシとヘアゴムが一体となり、しかも磁石で自動的にしっかりくっつきます。
データ制作やプリントにご協力いただいたクリパリンクさん、本当にありがとうございましたm(_ _)m

まとめ


感想

 今回、親子ワークショップイベントに通うまで、3Dのモノづくりはまったくしたことがありませんでした。3Dプリンタもはじめて見ましたが、実際にカタチになっていく様子を間近で見て、時間はかかりますが、それでも目の前で立体物が作れることに、ものすごく感動しました。
このコンテストに姉妹2人と挑戦し、デザインをしていくことの手順や世の中の商品が出来上がっていく仕組みを知ることができてとても勉強になりましたし、3Dという自分には関係ないと思っていたものが自宅のパソコンで出来ることが分かって、すごく身近に感じることができました。

3Dのものづくり

 カタチもオリジナルで世界で一つだけのものを作れたのが良かったです。できあがったものは大切にしたいと思います。今回の挑戦は、難しかったけどとても楽しい貴重な経験になりました。 

手順おさらい

1:デザインってなんだろう?
2:身のまわりのアイデアを探そう!
3:まずは手で作ってみよう!
 →スケッチ&紙粘土
4:パソコンで3Dをさわってみよう!
 →Autodesk Fusion360
5:3Dプリンタをつかってみよう!
 →UP BOX