対象者

対象者は下肢筋力低下、立位バランスが低下し、立位保持での動作が困難になってきた高齢者。 立位保持での調理や皿洗い動作が困難になり、椅子に座って行っている。

なぜ 作ろうと思ったか?

対象者は調理や皿洗いは椅子に座って行うことができたが、給湯器のボタンを押す時は、立位で行う。 椅子に座って給湯器のボタンを押すことができる チャーリーのアイデアを考えて欲しいと作業療法士から相談を受け、作ろうと思った。

どのように作成しましたか?


押し具(先端部品)を3Dプリンターで作成する

リーチャーの柄となる芯棒は、メーカーによって直径が違っていた為、今回は直径34mmの芯棒を使用。
芯棒に付ける”押し具”を3Dプリンターで作成する。押し具の底面は平面にし、滑り防止のギザギザを付け作成した。
成形温度220° インフィル密度:30% インフィルパターン:トライアングル 印刷速度:60mm/s

押し具のSTLファイル
3Dプリンター Endr3 S1
PLA polymaker製(黄色) 

使用してみての改善点

椅子に座ったまま、自助具(ラク押すザウルス)を使用し、給湯器のボタンを押すとが可能。立位になることなく、ボタンを押す操作が可能になった。
使用後、改善点として、
・押し具に滑り止めのギザギザついているが滑ることある
 →ギザギザを多くして成形しても滑る為、押し具の底面に滑り止めシートを張る
・押す時に、押す力が押し具にかかりやすいようにする
 →押し具と芯棒を球関節状に連結し、人の足首が接地面を全体で押すのと同じように、押し具がボタン
  を押すようにする。

改善バージョンを作成する

改善点から、押し具が可動できるように、押し部分と固定部分をボールジョイントで連結するように設計開始。まずは、TinkerCADの既存のハードウェアのボールジョイントで設計。プリントした押し部分と固定部分を連結し、芯棒に付けてみて押してみたところ、すぐに破壊した。
原因は、ボールジョイントが小さかった為、強度不足。既存のボールジョイントは大きさを変えることができない為、大きいボールジョイントを設計した。プリントすると、ボールジョイントを大きくした為、十分な強度を得た。成形温度220° インフィル密度:30% インフィルパターン:トライアングル 印刷速度:60mm/s
改善した押し具のSTLファイル

改善した自助具を使用

押す具の底面に滑り止めシートを貼ることで滑ることなく、小さなボタンでも押すことができるようになった。押す具の部分と固定部分がボールジョイントになったことで、押す部分全体が給湯器のボタンに接触することで、力が伝わりやすくなった。

材料:PLA
   サランサップやアルミホイルの芯棒(メーカーによって直径が異なる)
   滑り止めシート
   両面テープ
   

対象者の何がどのように変化する道具なのか

下肢筋力の低下、立位バランスの低下により、立位保持での動作が困難になってきた方に対し、手を伸ばす動作を補助する自助具(リーチャー)を作成。自助具を使用することで、椅子に座って高い箇所のスイッチやボタンを押すことができるようになる。また、立位保持でも、手をあまり伸ばさずに、自助具にてスイッチやボタンを押すことができるようになる。転倒防止ができる自助具。