使用した技術
MESH振動感知
MESHボタン
3Dプリンター
音声録音・再生システム(MESHアプリ)
スマートフォン
発案のきっかけ
近年、SNSの普及やデスクワークの増加により、運動習慣のない人が増加している。特にコロナ禍以降、中高生の体力低下は社会的な課題となっている。 アンケート調査の結果、多くの中高生が運動をしない理由として、「やる気が出ない」「面倒」「楽しくない」といったモチベーションの低さを挙げていることが分かった。 そこで私は、「やらされる運動」ではなく「やりたくなる運動」を実現することが重要だと考えた。
現状
①世界から見た日本
WHOの調査結果によると、日本人の運動習慣充実度は168カ国中121位であり、世界的に見て低い傾向にある。また、日本国民の3人に1人が運動不足だと言われている。
②中高生の運動不足
スポーツ庁が公開している資料によると令和6年までの調査結果では、中学生の体力テストの合計点は近年増加しているものの、全体的に見ると減少傾向にあり、女子の合計点は特に大幅な減少傾向にある。 また、スポーツ庁の平成30年までに調査結果によると、10代男女の運動実施率は9歳と13歳が最も高く、16歳・19歳は他年齢に比べ大幅に低下していることが分かる。
③中高生へのアンケート
私がオンラインで実施したアンケートに回答した全国の中高生のうち、登下校や体育の授業以外での運動習慣があると回答した人は35.8%、ないと回答した人は64.2%だった。この結果は、回答者のうち約3人に2人の中高生が日常生活以外での運動習慣を持っていないということを示している。 また、同アンケート内での設問、「なぜ日常的に運動をしないのか」に回答した中高生の過半数が「やる気が起きない」「面倒くさい」「楽しくない」など、モチベーションに関する回答をしていた。
④総括
①〜③で挙げたデータから、日本人の多くは運動習慣がなく、中高生の運動習慣も低水準であるということが分かった。 そして、特に中高生が運動をしない原因として最も多い回答がモチベーションに関するものであるということが判明した。
目標
①プロダクトがユーザーに与えたい影響
運動に対する「モチベーション」の維持・向上。
②ターゲット
当初は高齢者をターゲットにしたプロダクトを制作する予定だったが、現状についての調査の中で、高齢者の健康意識が年々向上しており鎌倉市でも比較的高いということが分かったため変更した。 以降は、近年SNSによる生活習慣病などで度々話題になっていると同時に身近な存在でもある、中高生をターゲットにプロダクトを制作してきた。 またアンケートの結果、多くの高校生が推し活をしていることが判明したので、中高生のモチベーションの向上は「推し活」と運動を組み合わせることで可能になるのではないかと考えた。
③このプロダクトで実現したい社会
誰もが楽しく健康的に長生きすることができる社会。
④プロダクトのテーマ
「推し活×運動」をテーマに、推しの声を聞きながら運動ができる、運動グッズ。
1stプロトタイプ
①機能
・ボタン(MESH)1回押し:
(1)タイマーのカウントが始まり、あらかじめ設定した推しの音声が定期的に再生される。
(2)振動感知MESHにより、30秒間動きが検知されなかった場合、あらかじめ設定していた音声(運動していないと判断された場合の専用音声)が再生される。
(3)あらかじめ設定した時間が経過するとすべての機能は自動的に終了する。
・ボタン2回押し:
すべての機能を強制的に終了する。
②デザイン
身につけやすく、運動時に邪魔にならないシンプルなデザインを心がけた。 表側には任意でデコレーションができる。
③1stプロトタイプの課題点
1stプロトタイプの機能について説明し、推しがいる中高生52人に意見を求めたところ、以下のような課題点が明らかになった。
(1)同じ音声が繰り返されることにより、機械感が出てしまう
自分で設定した音声のみが流れることから、「飽きてしまいそう」「少し気持ちが悪い」などの意見が出た。
(2)定期的に再生されるのは少し鬱陶しい
定期的に再生される仕組みでは、自分がきついと思っている時に意図せず応援メッセージが流れるという「ありがたみ」を感じにくいという意見が出た。
2ndプロトタイプ
①機能
1stプロトタイプに対し、以下の点を変更した。
ボタン(MESH)1回押し後:
あらかじめ設定できる推しの音声を複数にし、ランダムで再生できるように設定し直した。
あらかじめ設定した推しの音声が再生される時間間隔がランダムになるように設計し直した。
②ユーザーテスト
推しがいる中高生6人に試用してもらい、レビューを書いてもらった。
平均評価: 4.3/5.0
主な感想:
・運動のつらさが軽減された
・運動させられている感覚がしなかった
・楽しい気持ちになることができた
・気軽に使うことができ便利だと感じた
ユーザーの回答から、プロトタイプは使いやすく気軽に楽しく運動することができるということが分かった。これは私の目標に十分に合致している。
中にはプロトタイプの使用後、1人で毎朝運動するようになったと報告してくれたユーザーもいた。これはこのプロダクトが、運動が苦手で運動習慣がない中高生に対して良い刺激を与える可能性があると言える。
③専門家からのコメント
ジムトレーナーのSさんにプロトタイプについて意見をいただいた。
「運動としてではなく、体調を整え長く健康に生きるために体を動かすべきだ。そしてそのためには、楽しく運動することが一番大切だ」 と肯定的なコメントをいただくことができた。
プロダクトの特徴
推し活をしながら楽しい気持ちでモチベーションを維持しながら運動ができる
外で運動する際もイヤホンをつけることで、外に音声が漏れることなく使用できる
自分の「好き」と掛け合わせることで「運動させられている」感覚がなく、「機械的・強制的でない運動ツール」を実現している
私の思い
私もかつて、運動が大嫌いでした。小学生の頃に馬鹿にされて以来、運動が怖くて苦しくて仕方がありませんでした。しかし、ロールモデルができたことをきっかけに、その人に近づくためにその人の作った曲を流しながら3ヶ月以上にわたり、毎朝1時間運動をしました。その結果、苦手だった持久走で「早いね」と言ってもらえるようになりました。誰もが「好き」の気持ちと一緒に挑戦すればどんな苦手も克服できる、そう私は考えています。「チア!タイマー」はかつての私のように一歩踏み出せない人をそっと後押しできるツールになると信じています。
謝辞
「チア!タイマー」の制作にあたり、私は多くの困難に直面してきました。元々5人チームだったにも関わらず、私以外全員抜けてしまったため1人で全ての作業をすることになりました。そんな私がプロダクトを完成させることができたのは支えてくれた友人達、先生方、コメントをいただいたSさん、そしてサポーターの皆様のおかげです。温かく支えてくださり本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。