版をつくる

シルクスクリーン印刷をするためには版を作成する必要があります。
今回は版のデータをつくり、版自体の作成は発注しました。
大まかには
  1. Adobe Illustrator などを使い、ベクターデータで印刷する図案のデータ製作をおこなう
  2. 図案を紙にプリントアウトして、Tシャツに合わせて印刷する図案のサイズや位置を確認・調整する
  3. つくる図案の細かさに合わせてメッシュの荒さを選ぶ
  4. 版を発注・データを入稿する
  5. 版が届く
というステップを踏みます

印刷する図案のデータの作成

Adobe Illustrator や Inkscape, Skecth などを使い、ベクターデータで印刷する図案のデータを作ります。色設定はCMYK、寸法の設定はmmにしておきます。
実際に印刷したいサイズでデータをつくりましょう。

データを出力し、サイズや位置を確認・調整する

作成したデータを紙に等倍で印刷します。
出力したものを切り、Tシャツに実際に当ててみることで、配置やサイズを確認できます。
同じ模様でも、Tシャツのサイズによってサイズを変えることが必要なことは多々あるので、この確認は必ず行うようにしましょう。
ちょうどよい配置・サイズになるようにデータを調整、印刷、Tシャツに合わせて確認を納得がいくまで繰り返します。

メッシュの荒さを選ぶ

シルクスクリーンの版につかう布は古くは絹(シルク)が使われていましたが、現在では寒冷紗や化学繊維のポリエステルやナイロンが使われています。
また、素材とは別に目の粗さ(編まれている布の隙間のサイズ)を選ぶ必要があり、50メッシュ、300メッシュなどと呼ばれています。
号数が小さいものは目が粗く、ベタ塗りに向きます。
号数が大きいものは目が細く、細かな図案や文字に向きます。
Tシャツの印刷については、使用するインクに適性のメッシュの荒さが書いてあるので使用するインクによって使うものを変える必要があります。今回使用するインクは150メッシュが適性でしたが、少し粗めの70メッシュの版を使用しました。

版を発注・データを入稿する

今回はレトロ印刷JAMの製版サービスを利用しました。
先ほど調整によって作成された図案データを指定されたPDF等の形式で入稿します。
図案1_Fabbleメインロゴ
図案2_Fabble丸ロゴ
図案3_Fabbleシングルラインロゴ
図案4_Fabbleワードマーク

版を組み立てる

注文した版はそのままでは使用出来ないため、シルクスクリーン枠に固定する必要があります。
ここでは養生テープと両面テープをつかって、シルクスクリーン枠に版を固定します。

枠のバインダーをはずす


それぞれの枠に養生テープを貼る


枠の4辺に両面テープを貼る


シルクスクリーンを枠に貼る

四辺に均等に力がかかるように、注意深くシルクスクリーンを貼ります。しわができないように注意しましょう。

シルクスクリーンを養生テープで固定する

シルクスクリーンを養生テープで枠に固定します。一辺貼り終わったら、枠からはみ出た余分をカッターで切り落とします。ほかの三辺に関しても同様に養生します。

枠でシルクスクリーンを挟む

もうひとつの枠をシルクスクリーンをはさむように重ね、バインダーで固定します。

シルクスクリーン枠の完成

このような状態になれば枠の完成です。いよいよ次は印刷にです。

印刷する

いよいよ印刷です。
印刷するにあたって、必要なのは
  • Tシャツ
  • 組み立てた版
  • インク(ダイカラー蛍光タイプファイアレッド)
  • スキージー
  • クリアファイル(裏移り防止用)
  • 紙コップ
  • 使い捨てスプーン
  • 使い捨ての棒(割り箸等で代用可能)
です。
Tシャツのうえにシルクスクリーン枠をおき、適切な位置に配置します。

インクを紙コップにうつす

インクをつかう分量だけ、ボトルから紙コップにうつします。このとき、まずインクをかるくかき混ぜると、インクにダマができにくく、ムラなく塗りやすいなります。

クリアファイルを印刷する箇所の下に配置する

Tシャツ生地によっては、印刷時にインクが裏移りする場合があります。
クリアファイルを印刷面の下にはさむことでインクの裏写りが避けられます。

版の上にインクを置く

図案の位置を確認しながら、図案にかさならない位置に、少し多めにインクを盛ります。
インクが少ないと、版が傷つきやすくなり、刷れる回数が減ってしまいます。
インクを盛ったら、図案の幅を完全に覆えているか確認してください。

Tシャツに刷る

スキージーを45度程度手前に傾け、力を入れて一気に擦ります。
この際、枠を手で押さえると印刷がずれにくくなります。
擦り終わったら、そっとシルクスクリーン枠を持ち上げます。
持ち上げた状態でスキージーでインクをもとの位置を戻すと、インクが版に充填され、次回刷るときにインクの量が一定の状態で刷りやすくなります。

複数の図案がひとつの版に入っている場合には

ひとつの版に複数の図案が含まれている場合、版の裏から刷りたくない図案の場所に養生テープを貼ると、間違えて刷られてしまうことがなくなります。
また、既に刷った箇所と近い場所に刷りたい場合には、前に刷った箇所の上にクリアファイルを置くと、インクが飛ぶような事故を防げます。

印刷したものを乾燥させる

印刷したTシャツはインクが乾くまで待たなければいけないので、印刷面が他の印刷物にかぶさったりあたらないように置きます。待ち時間はインクやメディアによって様々ですが、Tシャツの場合は30分ー1時間も待てば十分です。

インクを定着させる

インク瓶の注意書きにある通り、印刷面はアイロンで熱を与えないとまだちゃんと定着されていない状態です。
当て布をして、アイロンをかけることで、インクが定着します。

完成!