ニードノウアの背景・興味関心・長所など

DJ KAJIYAMAは、音楽好きでライブや野外フェスにも積極的に参戦。今回巧みな操作技術を活かし、DJパフォーマンスに挑む。

ニードついて

3歳の時に筋ジストロフィーの診断を受け、10年以上寝たきりの生活が続いている。
現在、様々なデバイスを介してわずかに動かすことのできる左手母指、両足母指、頬、視線を使って高難度のPC操作による音楽制作、ゲームやドローン操縦を行っている。

ニードノウアの特徴

  • 30歳代男性
  • 筋ジストロフィー症
  • 僅かに動く左手母指、両足母指、両頬、視線によりスイッチ類を操作し、PCを自在に操る
  • 発声でコミュニケーションが可能(拡声器使用)
  • 人工呼吸器装着
  • 姿勢保持に要介助
  • 自薦ヘルパーで一人暮らし(24時間2名体制)
  • 疲れやすく続けての外出は難しい

ターゲットにする活動とその状況(時間・環境など)

  • サイケデリックな雰囲気のライブ音楽の演奏
  • スイッチ操作をシンプルなものにする
  • 映像、照明と音楽の同期とインタラクション

ターゲット活動時に一緒にいる人・製作に巻き込みたい人

  • 一緒に音楽活動を行うメンバー
  • 音楽、映像ソフトや環境制御装置に知見がある人を巻き込みたい

なぜ現在その活動が難しいのか

  • スイッチ類のセッティングに時間がかかる
  • 機会がない
  • W/C上でDJをやったことがない
  • ライブを一緒に組み立てる人的環境がない

チームで目指す方向を共有するために知るべきこと


なぜその活動ができると良いのか(ニードノウアにとっての価値・意味、使い続けるとどうなるか)

  • 事前に作ったものをただ流すのではなく、よりライブ感のあるパフォーマンスをやりたい
  • ライブ演奏することで気持ちよくなりたい
  • 観客に盛り上がってもらいたい

その活動のニードノウアの満足度:作製前(10段階で)

2

製作でこだわりたい点

音と映像と光によるアシッドかつ快楽的な空間の創造
これまでにない新しい領域の創出

参考にした事例

このプロジェクト自体が今後の参考

プロジェクトタイトル

ACID KAJI!(仮)

試行錯誤のプロセス

DJ KAJIYAMAによる音楽ライブ開催へ向けた歩み

1_現状確認

DJ KAJIYAMAが実際どのようにPCを操作し、音を生み出しているのかデモンストレーションを実施。
 PC操作用機器:インターフェース_HeartyHID24、頬_接点スイッチ×2、足趾_センサースイッチ×2、視線_tobii eye tracker5
使用ソフト:Ableton Live(音楽制作ソフト)

2_ニーズの抽出

ライブで何がしたいか、何故ライブがしたか、ライブに求めることについてディスカッションを実施。
事前に作ったものではなく、より臨場感のあるライブ演奏をすることで、気持ちよくなりたいとの思いが聞かれた。

3_構成立案&役割分担

ライブを遂行する際の機器構成等を見える化し、それを基に役割分担を決定。
チームメンバーの強みを活かし、以下の構成で映像、照明を組み合わせた音楽演奏を行うこととした。
音楽制作・演奏:DJ KAJIYAMA
楽器演奏:MATSUO
映像操作:JONATHAN
演者カメラ操作・設定:ISHIKITA
映像制作:DELPHINE
照明・機器設定:KOYANAGI
スイッチ設定・姿勢調整:ABE、NISHIDA

パフォーマンスの流れとして、①穏やかな雰囲気で始まり、②アシッドな雰囲気で盛り上がり、③再び穏やかな雰囲気で終わる、という3部構成とすることとした。楽器は、ハーモニーではなく不調和な音で入ることをイメージした。

4_編集&機材セッティング

DJ KAJIYAMAは自宅にて音楽制作、他メンバーは会場で映像編集&機器設定を実施
使用機材:AAGI(ジェスチャインタフェース)、PC、音響ミキサー、オーディオインタフェース、DMXインタフェース
使用ソフト:Abelton Live、MAX(音響映像プログラミングソフト)

5_接続確認&会場レイアウト決め

音、照明、映像の接続とセッティングレイアウトを確認
DJ KAJIYAMAのインスピレーションが更に沸き、ブラッシュアップされる

また、よりライブ感のあるパフォーマンスを重視して、最後の「おまけ」のような形でジャムセッションタイムを設けて他のミュージシャンも演奏に参加してはどうかということになり、楽器演奏者を他にも探すこととした。

6_カメラスイッチ試用

セッティングの時間短縮を目的として、足趾のセンサースイッチをAAGIに代え試用
本番の照明下での反応性が懸念されたが、この時点で照明との適合を確認することができなかったため、本番直前のセッティング時に確認することになった。

7_リハーサル

当日機材トラブルにより、急遽発表の順序を最後に変更することとなった。
PCによる音楽演奏と、楽器演奏の音色やイメージを確認した。

結果


ターゲットにした活動の変化

AAGIスイッチが本番の照明下では適合しないことが判明したため、足趾は急遽従来通りのセンサースイッチを活用。その分、開始までに時間を要した。
パフォーマンス自体は全て遂行でき、後半はピアノ等との即興コラボも開かれた。

その活動のニードノウアの満足度:作製後(10段階で)


今後について

スイッチの適合が不十分な中、本番を迎える状況になり、結果、従来に比べセッティングに要する時間が延長してしまった。今後、同じように新たなスイッチを導入する際は、事前の練習や試用を繰り返し行った上での導入を計画していく。
今回以外で開催する手段や機会の創出に向けた継続したチーム作りを検討していく。