Sustainabottle
この作品を作ろうと思ったきっかけ
僕が沖縄のやんばる国立公園というところに旅行していた時、環境に関する本があったので読んでみました。するとコアホウドリという鳥がたくさんのペットボトルのキャップを胃の中に詰まらせて死んでいる写真がありました。それを見て、とてつもなくかわいそうだと思いました。そこで僕は、環境にやさしいペットボトルを作るために、生分解性で繰り返し使いたくなるようなペットボトルを作成することにしました。
実際の写真→
「
プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する
」
チャールズ・モア
(著),
カッサンドラ・フィリップス
(著),
海輪 由香子
(翻訳)
materials
使用した3Dプリンター anycubic megaS
使用した3Dデータ設計ソフト fusion360・tinkercad
使用したフィラメント フォゼアス
海洋ごみとは
海洋ごみとは、海岸に打ち上げられた「漂着ごみ」、海面や海中を漂う「漂流ごみ」、そして海底に積もった「海底ごみ」の総称を言う。その中で最も多いのが、釣り糸や食品の容器・包装袋など、プラスチック製のもの。一度使えばすぐに捨ててしまう、いわゆる「使い捨てプラスチック」のゴミがとても多い。
海ゴミのイラスト
海ゴミのうち、街から来たもののグラフ
Sustainabottleのポイント
近年、海洋ごみによる被害が増えていて、ある地域では自販機でのペットボトル販売を禁止しているところもあります。一方でこのSustainabottleは、フォゼアスを使っているのでとってもエコ。しかも、使い捨てのふつうのペットボトルと違い、何回も使いたくなるようなかわいい設計です。そして最近の目標でもあるサステナブル。持続可能なペットボトルを作るべく、Sustainabottleとネーミングしました。
モデリング
ボトルの作成手順
まずスケッチで丸を書き、それを押し出す、の繰り返し。とても簡単に出来るので様々な人が作ることが出来ます。キャップの部分は、fusion360のねじ機能を使っているので簡単&水漏れを防ぐこともできます。
キャップの部分がボロボロに......
実際に出力しました。
この積み上げタイプだとペットボトルの中の厚みがすべての場所で同じになってしまうデメリットがありました。結果キャップの部分がボロボロになり、失敗してしまった。
面をオフセット機能
キャップがボロボロになり、困っていたところfusion360のヘルプを開いてみると、指定したを面の厚みなどの細かい設計機能(面をオフセット機能)があったのでその機能を使いました。
3Dプリンタで出力!
3Dプリンタで出力しました。
今回はとてもうまくいって、ねじ部分もちゃんと出力されました。
でも、このままではポイ捨てされる一方...
今回、海洋ごみを少なくしたくてペットボトルを作ることにしたのですが、ペットボトルが土にかえってもポイ捨てされるのでは意味がない。だから僕は可愛いペットボトルを作れば、捨てたりせずに何回も使いたくなると思い、(リユース)ペットボトルを作ることにしました。
イメージマップ
まず、何回も使いたくなるってどんなものなのかイメージマップを作ることにしました。
「かわいい」「便利」が、必要な要素として強いと思いました。
また、「何回も使いたくなる=使いやすい」ことも重要です。
つまり使いやすくてかわいい魚のペットボトルキャップを作ることにしました。
実際にプリント
キャップを開けるとき、掴みやすくてちょうどいいサイズにデザインしました。
3Dプリンタで出力してみると、キャップの部分はちゃんと閉まりました。だけど魚の部分がボロボロでちょっとかわいくなくなってしまいました。
設計ミスが!!
データをよく見てみるとキャップの下の部分に少し間が出来てしまっていました。
高さの設定が出来ていないことがtinkercadではよくあるので、最後までちゃんと確認して設計しないといけないと感じました。
データを直してもう一度チャレンジ!!
データの高さの部分がやっぱりあっていなかったので高さの設計を少し変えてみたところ、直すことが出来ました。
テストしてみた
完成したので試しにペットボトルに水を入れて一日中逆さにし、放置して見ました。
すると、ほんのちょっとだけ水が漏れていました。
耐久テスト後に悲劇が!
耐久テストが終わったので水を抜こうと、sustainabottleのふたを開けようとしたとき、本体の隙間から中に水がはいったようで、首の部分がボキっと折れてしまいました。
インフィルを変えて実験
今回、なぜ隙間から水が入ってしまったのか原因を考えました。
インフィルの厚みが薄かったことで中に水が入ってしまったのではないか。
インフィルの厚さを10%から50%にして比較する実験をしてみました。
驚きの結果に
インフィル10%のペットボトルと50%ペットボトルを作り、超音波カッターで縦に切ってみたところ、
インフィル10%の方はめちゃくちゃスカスカで、50%の方は隙間が少なくできました。
PLAと比較してみた。
PLAで作った場合とフォゼアスフィラメントで作った場合を比較してみた。
なんと、フォゼアスの方が防水性能が優れていて、PLAは水を入れた瞬間に水が隙間から出てきてしまったが、フォゼアスの場合、少しも水が漏れていなかった。
プラスチックはちじむ性質を持っているけど、フォゼアスは完全に冷めてもまだ少し柔らかいので、そのおかげで水が漏れにくいのかなーと思いました。
完成
完成しました。
まず、PLAよりもフォゼアスの方が防水性能が優れていることがとてもびっくりしました。
また、インフィルを10%から50%に変えただけで強度が変わることがわかりました。
だけど、インフィルが10%の時は本体の重さが80グラムなのに対して、インフィル50%の時は90グラムと10グラムも差がありました。
しかも、1日逆さにしたテストでも全く漏れていませんでした。
実用性テスト
振り回しても水が漏れにくくて、少し重くてかたいけどとても使いやすかったです。
フォゼアスが水と相性がいいのでカバンの中に一日中入れていても水が漏れませんでした。
感想
作ってみて、PLAよりもフォゼアスの方が水が漏れにくいことが驚きでした。
インフィルを10%から50%にしたことで強度は増したけど、3Dプリンタの印刷時間が延びたり、実物が重くなってしまい、持ち歩くのは少しきつくなってしまいました。
だけどペットボトルとして活用できたのでよかったです。
エコバックが普及したように、このsustainabottleもいろんな人に広まって欲しい。
そんなsustainabottleを使ってポイ捨てによる海洋ごみの被害が少しでも減ればいいなと思いました。
sustainabottleのファイル