テーマ決め

私達は、人のコミュニティに興味があると集まったグループでした。

きっかけ①:鎌倉の現状

そこで鎌倉にどんな対象となるコミュニティが存在するのかを調べている中で鎌倉の高齢者率を見てみると30.3%(2023年時)と全国平均の29.1%よりも高い数値となっていることを知りました。また、図のように2015年から2020年にかけて、鎌倉市の人口に対する高齢化率は少しですが増えています。その後の推移を見てみると、現在2025年から30年後の鎌倉では高齢化率が40%にものぼるというデータがありました。今から30年後40代になる私達にとっても高齢化問題はそう遠い話ではありません。そこで私達は高齢者に関する問題に注目することになりました。

きっかけ②:メンバーの話

その後、高齢者に関する問題はなにかと考えている中でメンバーの一人「鎌倉に住んでいて一人暮らしをしている祖母が寂しそうだ」というのを聞いて、一人がそう思っているのなら他にも同じような人がいるのではないかと思い、「高齢者の孤独」をテーマを設定しました。

仮説

まず高齢者の孤独の問題の原因を調べました。孤独から生じる問題として、孤独死、ウェルビーイング問題等が挙げられ、そこから私達は問題について仮説を「人との繋がりを作れば孤独死やウェルビーイングなどの社会問題を解決できるのではないか」としました。この仮説が正しいのか、鎌倉に住む方にインタビューしました。

インタビュー①

高齢者の方が本当に孤独を感じているのかを確かめるため私達は上島さん(71歳)にインタビューをしました。上島さんや上島さんの周りの人の普段の生活状況を聞きながら仮説は正しいのか、高齢者はそもそも人との繋がりを求めているのか話を伺いました。結果、私たちが立てた仮説は立証されている事がわかりました。またインタビューを通じ、疎外感を感じている事、人とのつながりを求めている事もわかりました。

『孤独にならない2ヶ条』

これを経て「必要とされる感覚を感じさせること」と「3家族以上の仲のいい人が 地域にいること」という孤独にならない2ヶ条をチームで設定しました。

1stプロトタイプ:つながるん♪

そこで私たちは孤独にならない2ヶ条を満たすデバイスつながるん♪を作成しました。つながるん♪は高齢者と高齢者をつなぐデバイスです。つながるん♪はアザラシの形をしています。

制作


「つながるん♪」の制作にあたり、まずイラストで描いたデザインをもとに粘土で形を作りました。 実際に形にしてみるとデバイスが大きすぎて高齢者が使いにくいのではないか、画面のサイズが小さすぎるのではないかという問題が起きました。 その後、これらの問題を改善したモデルを作成し、それを元に3Dプリンターで1stプロトタイプを製作しました。

機能

 このデバイスには、1、メッセージ機能、2、ゲーム機能、3、クルッポの3つの機能があります。 この機能は、高齢者を孤独にしない二カ条から考えたものです。
1.メッセージ機能 高齢者同士がメッセージを交わす→音声読み上げ、音声入力をすることが可能
2.ゲーム機能 高齢者同士が短歌制作をする→自分がいないとゲームにならない→必要とされている感覚
3.クルッポ ゲーム機能のためタクルッポをお店で使えることができる →店にユーザーが集まることによってつながりが生まれる

結果

このデバイスで、問題を解決できるのか?と考えたところ 「現実的ではなかった 「スマホとの違いが明確ではない」 「メッセージを送信 →最初に連絡先としてつながる相手がいる人ではない意味がない」などの問題がわかりました。

1stプロトタイプからの歩み

 話し合った結果、解決したい問題やテーマは変更せずに、デバイスを変更することにしました。また、考えた孤独にならない二か条を見直しました。これから解決策を適切に、前回は調査が足りなかったことを反省しました。

インタビュー②

1stプロトタイプの際にもインタビューをした方に再度インタビューを行い、デバイスに対する意見と、問題に対するアイデアを伺いました。 →短歌制作(短歌制作)機能は良く、クルッポの機能があるが既存品を使うのではなく一から新しいものを作ったほうが良いのではないかという意見をいただきました。高齢者は若者と繋がりたい、また頼られている感覚を失いたくないという想いを持っていることもわかりました。若者に頼られることで、退職以前の様な頼られてうれしいという感覚を得られ、自身のコミュニティも広がり孤独を感じづらくなるとおっしゃっていました。

問題への切り口の設定

『孤独にならない2ヶ条』を改め、孤独の予防という観点も見つけました。退職したばかりの方が今後様々な出来事によって孤独になっていくことを防ぐことが問題解決につながるのではないかと考えました。

2ndプロトタイプ:よりだなもん

鎌倉らしさ!を出して且つ可愛い見た目にしたいという思いから、様々なスケッチでアイデアをだしあいました。結果、鎌倉によくいるたぬきに決定し、デバイスは持ち運び式ではなく机などに置くような形にし、高齢者の家の中で機能するように考えました。たぬきのお腹の部分にデバイスを置くことで安定させ、目の部分が光ることで高齢者に見やすいようにしました。よりだなもんの由来は、鎌倉の武士である源頼朝と頼るの「より」をかけ、その後ろは可愛く響きがいいものを探している中で出てきて採用された案です。

制作

 1stプロトタイプ同様、最初に粘土でかたちをつくり、それをスキャンの後3Dプリンタで出力しました。

主な機能

技術の欲しい若者、インタビュー先を探している学生と、技術を持つ、繋がりを求める高齢者をマッチングする。

高齢者はよりだなもんを持ち、若者はスマホによりだなもんと同じ機能を搭載したアプリをいれる。

よりだなもんには「通知」「インタビュー盛り上げ」「会話の録音と要約」「脱線防止」があります。



機能の詳細

通知 マッチングしたら通知がきたらアプリ、よりだなもんそれぞれに通知が来ます。 インタビュー盛り上げ インタビューが盛り上がったら目が赤色に、盛り上がっていないと青色に光ります。会話を盛り上げてくれたり、話のきっかけになります。
脱線防止 話が脱線したときに本題に戻してくれます。 多少の脱線ならまだしも、大きく話が脱線してしまうとただただ時間が過ぎてしまい本当に聞きたかったことが聞けなかった、教えたかったことが教えられなかったということがあると思います。この機能を使うことによってインタビューの時間をもっと充実した時間にする事ができます。

インタビューなどを経て

 初めに設定していた若者の枠は主に高校生などを考えていたが、需要があるのかと考えた時に、現在進む高齢化問題などに興味を持つ、研究している大学生や、AO入試生のインタビュー先としての活路を見出しましたそうする事で対象となる高齢者の幅も、スキルを持つ人だけでなくインタビューで話をする人にも広がり、年齢の幅などが広がりました。

実証実験

私達は1回目はよりだなもんなしで、2回目はよりだなもんありで実証実験をしました。


1回目の実証実験

1回目はインタビュー相手のことを調べることやよりだなもんの仕組みを相手に伝えるためのプレゼン練習などの事前準備を何もせずにインタビューに臨んだため私達はよくある質問しか相手に聞かず、話が脱線したうえにあまり盛り上がらず、良いインタビューとは決して言えませんでした。

2回目の実証実験

2回目はインタビュー相手のことを調べ、事前に聞きたいことを考えたり、説明の練習をしたり、議事録を取る係、質問を積極的に行う係など役割分担もしたりと事前準備を万全に行いました。そのおかげなのか最初の方は緊張していましたが、話しているうちに自然と話せるようになり話してくれたことを元にその場で質問したりととても学びのある、楽しいインタビューをすることができました。 その中でよりだなもんはインタビューはじめの緊張しているときに黄色に光っているのが見えて少しリラックスして話す事ができ、話が盛り上がるとよりだなもんのことはあまり見なくなりました。

実証実験を経て

話が盛り上がるまでを支える(?)ものではないかという新たな考えが生まれました。 この考えに至った経緯としてまず初めに、 私たちは盛り上がったらよりだなもんを見なくなったということは決して悪いことではなく良いことなのではないかと考えました。「会話盛り上げ機能」は表面的な目的は会話が盛り上がっているのを見ることでしたが、根本的な目的として会話が続くようにというものがあったためです。

良いインタビューをするために必要なこと3選

1つ目 本当にインタビューしたいと思っている若者、すなわち時間も労力もかかる事前準備から真剣に取り組んでくれる若者でないと良いインタビューはできません。
2つ目 インタビューに慣れていない高校生は、インタビュー中にミスを起こしやすくなります。その主な原因は、緊張です。視野が狭くなり、進行がうまくいっているのかどうかの判断が難しくなります。この改善には現状を客観的に見れるようになるためのきっかけとなるものが必要です。
3つ目 インタビューをする際、誰もが議事録を残します。しかしその議事録を取ることに集中してしまい、あらかじめ用意していた質問ができなかったり大事なことを聞き逃すことがあります。

良いインタビューをすることで

上記を満たすことで高齢者は頼られる感覚を得ることができ、若者は不安を抱えることなくインタビューをすることができます。このように良いインタビューをすることは双方にとってwinwinの関係を築くことができます!

3rdプロトタイプ:(新)よりだなもん

実際に私たちが若者の立場になって実証実験をした結果、よりだなもんは実は学生を助けるデバイスなのではないかという考えが生まれました。 このような実体験を通して新たに追加した機能が「会話の録音と議事録」です。

機能

会話の録音と議事録 議事録を取ることに一生懸命になり、内容が頭に入ってこないことがあると思います。 まさに1回目の実証実験の私たちがそうでした。 この機能は若者が持つスマホがインタビュー時の会話を録音してくれます。また、AIが会話を文字起こしし、要約したものを後日それぞれに送ります。 相手の目を見て話を聞くことで話している方も心地よく話すことができます。この機能は心地よいインタビューの実現に繋がります。

.NET MAUI (Multi-platform App UI、クライアント)

.NET MAUIは、クロスプラットフォームアプリケーションを開発するためのフレームワークです。これにより、単一のコードベースでiOS、Android、Windows、およびmacOS向けのアプリケーションを作成できます。.NET MAUIは、Xamarin.Formsの進化版であり、より一貫性のある開発体験を提供します。

主な特徴


  • クロスプラットフォーム開発: 一つのコードベースで複数のプラットフォームに対応。
  • ネイティブUI: 各プラットフォームのネイティブUIを使用して、パフォーマンスとユーザーエクスペリエンスを向上。
  • 豊富なライブラリ: .NETエコシステムの豊富なライブラリとツールを活用可能。
  • Android、ios、windows向けにビルドし公開することが可能。

C#.NETコンソールアプリケーション(Microsoft.NET.Sdk.Web、サーバー)

C#.NETコンソールアプリケーションは、C#プログラミング言語を使用して作成されるシンプルなコマンドラインアプリケーションです。これにより、ユーザーはコマンドラインインターフェースを通じてアプリケーションと対話できます。また、httpリクエストを受けることができるようにプログラムをし、サーバサイドで処理をこなし、クライアントにレスポンスを返す。

主な特徴


  • シンプルな開発: GUIを必要としないシンプルなアプリケーションの開発に最適。
  • 高速な実行: コンソールアプリケーションは軽量で高速に実行可能。
  •  デバッグとテストが容易: コマンドラインから直接実行できるため、デバッグとテストが容易。

以上を用いてプログラムを書く

  1. 録音機能の実装
    録音機能を実装するするには

 →出来ることは何か  技術の欲しい若者、インタビュー先を探している学生と、技術を持つ、繋がりを求める高齢者をマッチングする。

うえさんに3rdプロトタイプを見せて

「使いたい!」という意見を実際に見せて、協力してくださった方(うえさん)に頂くことができました。
実際に現在、徳島県の上勝町には、高齢者が葉っぱを集めてそれをつまものとして販売する事業があり、葉っぱを取る、という活動を通じて高齢者に生き甲斐を提供すると共に、上勝町の医療費の削減にも繋がったそうです。よりだなもんでもこの事業と同様の効果が期待できるのではないかという新たな視点をいただきました。
また、一方で懸念される点として高齢者はよりだなもんのことを新種の詐欺だと思いスキル登録に対して消極的なのでは?高齢者が自分の経験や考えを話すばかりで質問に答えてくれないのでは? などの意見をいただきました。

今後追加したいと思っている機能

レビュー返信機能 今日教えた相手がどんなふうに思っているのか、良い経験になったか気になりませんか。 学生がインタビューの感想を高齢者に伝えることでより頼られる感覚を感じてもらう事ができます。

あとがき

昨年の10月から始まったこのプロジェクトで、この3月までの約半年間、私達は毎月第2日曜日と第4日曜日の2回ずつ集まり活動してきました。メンバーそれぞれの想いを同じ方向に向ける為に何度も話し合い、メンバーそれぞれの予定やプロジェクトの進捗情報共有などにも苦戦し、時には微かな軋轢の気配を感じることも有りましたが、最終発表に向けて歩幅や足音、足並みを揃えて頑張って走り抜ける努力をしてきました。

私達の考えるインタビューのこれから

インタビューの最上級として、私達は「高齢者×若者×よりだなもん」でお茶会をする事も考えています。このアイデアはインタビューをさせて頂いた際に「気楽にリラックスして話せる環境で話すのが一番楽しい」という意見を頂いたことから生まれました。そこで私達は「気楽にリラックスして話せる環境」=「お茶会」だと考えました。今後AIが進化してそのような環境を作り、提供してくれるかもしれません。その際に「高齢者✕若者✕よりだなもん」で会話する未来を私達は想像しています。

私達が目指す鎌倉市

半年間私達は「高齢者の孤独」を解決するために、話し合いやインタビューを重ね、試行錯誤しながら活動してきました。その結果、私達が目指す鎌倉市は「高齢者と若者のつながりが生まれて、頼り頼られる鎌倉市」となりました。よりだなもんは、この目標に鎌倉市を近づけるために役立つと私達は思い、活動してきました!

最後に

「よりだなもん」はまだまだ進化していきます。これからも新しい要素や機能を追加し、魅力的な存在として、鎌倉を、そしてゆくゆくはさらに広い世界で活躍していきたいです。この場を借りて、このプロジェクトにご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。皆様からいただいたご意見やフィードバックを大切にしながら、次のステップへと進んで参りますので、これからも変わらぬ応援をよろしくお願いします。