きっかけ
地元の中高生向けのスクールをつくりたい!
岐阜県飛騨市で教育事業を手掛ける(株)Edoの代表・関口氏は、飛騨古川駅前の商店街の空き店舗を活用して、地元の中高生のために何か新しいスペースが作れないか考えていた。
「自分って何が好き?、何が得意?」「〇〇についてもっと探究したい!」「今やってる部活、ある中から選んだけど本当は〇〇をやってみたい。」そんな中高生の「やりたい!」「もっとこうだったらいいな」を叶える場所、人生という冒険に役立つ力が身に付く学び場(スクール)を作ってはどうかと考え、
EdoNewSchoolと名付けた。
限られたスペースの中で、あらゆる使用用途に対応できる家具が必要
元々地元に愛されていた本屋さん「尾賀書店」の場所をリノベーション工事。
駅前なので人通りは多く、何かやっているといろんな人に声をかけられる。外から見て、「何をやってるんだろう?」「僕も入ってみようかな」と思えるようなワクワクする雰囲気作りが重要と考えた。
あと、空間はけっこう狭い・・・ので、イベント利用、コワーキング利用、店舗利用など、限られた狭さの中で色々な使用方法が可能になるようなフレキシブルな家具が必要であると考えた。
調査や思考のプロセス
既存の家具のリサーチと問題点
・無機質
・安っぽい
・ちょうど良いサイズがない
・収納できない
↓
とにかく部屋が狭いので、条件に合う家具が無い!
自由にアイデアを描けるテーブル
テーブルにそのままアイデアを書き込めるホワイトボード加工をしたテーブル天板
ひっくり返すと、カッターをつかった作業などができる
スタンドに立てると、縦型ホワイトボード兼パーテーションになる
使用用途に応じて、バックヤードに収納できる家具仕様
▼テーブル
天板と脚を分離できる「ウマ」タイプで制作。乗せるだけで簡単にテーブルができる。
ウマ脚は、重ねてコンパクトに収納できる
▼スツール
空間を邪魔しないような小さめのサイズの椅子(背もたれ無し)
スタッキング(重ねる)して収納できる
みんなでDIYで一緒に組み立てる
・自分たちが使う家具は自分たちで組み立てると、使い勝手やメンテナンス方法が分かって良さそう
・完全オーダーメイドで作ると費用がかかるので、組み立てはDIYでみんなで楽しく行う
・みんなで一緒に作ることは、事業の趣旨とも合っており、プロモーションにもなりそう
制作・プロトタイピング
プロトタイプ制作_共通仕様
25ミリ厚のヒノキ集成材パネルをCNCだけで切り出し、ホゾなどの接合部も同時に加工することで、現場で簡単に組み立てられるような使用とした。
プロトタイプ制作_ウマ脚
狭い空間を少しでも有効活用したいので、脚が邪魔にならないように三本脚にし、かつ重ねて収納できるような仕様とした
↓
シンプルにしすぎて強度が落ちたので、補強材を追加。手でつくったら超絶めんどくさい斜め加工もCNCなたら実現可能
プロトタイプ制作_スツール
・スタッキングできるようにするには、脚が座面より外に出ている必要があることに気がついた。
・試しに1台作ってみたら、脚の強度が弱く壊れそうだったので、座面裏の補強材を分厚くし、ビスで止められる下穴を追加
・サイズ感を調整して全体的に小さくしたら可愛くなった
プロトタイプ制作_ホワイトボード天板
・長手に2人ずつ作業できるギリギリのサイズ感である1500×900mmとした
・移動しやすいように、中身をできるだけ空洞にしたフラッシュ構造とした
・片面に安価なホワイトボードシート(マグネット付き)を貼り、裏面は木仕上げとした
・ホワイトボードシートの幅が900mmと、天板のサイズとぴったり一緒の為、貼り付けるときにズレてしまうとアウト。天板サイズを890に変更
材料
▼ウマ脚
ヒノキ集成材パネル 25mm厚
▼スツール
ヒノキ集成材パネル 25mm厚
▼ホワイトボードスタンド
ヒノキ集成材パネル 25mm厚
ハンマーキャスター 自在・ボール型 片側ストッパー付き
▼ホワイトボード天板
シナフラッシュ 24mm厚+ホワイトボードシート
小口 シナ小口テープ貼り
工具、マシン
▼マシン
Shopbot 4*8サイズ
▼刃物
Φ=6mm スクエアエンドミル
組み立て
▼使用工具
・ショックレスハンマー
・サンドペーパー
・サンドペーパー用当て木
・木工用接着剤 (Titebond3)
・歯ブラシ(接着剤塗布用)
・木栓用ダボ(Φ=10mm)
・木栓カット用のこぎり
▼組み立て方法
・ホゾとホゾ穴に接着剤を塗布(接合部分はすべて塗布)
・ホゾをホゾ穴にあわせてハンマーで叩き入れる
・ビスを打つ
・ビス穴を木栓(ダボ)で埋める(ダボ側に接着剤を塗布)
・ダボをのこぎりで切り落とす
・木栓をサンドペーパーで整える