目的
私は、小中学生を対象とした
ものづくりの教室
を開いているが、最近では外部での出先教室も増えてきた。自分の教室に通ってくれている子は、慣れているのではんだづけも危なげなくこなすが、ワークショップ等ではじめてはんだごてを握る子にとって安全かつ的確にはんだづけをすることは大変なことだ。そこで、自転車の補助輪がごとく初心者をサポートしてくれるはんだごてカバーを製作することにした。
はんだごてのモデリング
はんだごての寸法を測り、
Tinkercad
上ではんだごてをモデリング。以後、この仮想空間上のはんだごてに対してはんだごてカバーのデザインを考えることにする。
はんだごての寸法を測る
理想的には、さまざまな種類のはんだごてに装着できる設計が望ましいが、試作ということでひとまず
ノギス
と
定規
で手持ちのはんだごてにフィットするはんだごてこてカバーをつくることにする。
はんだごてをモデリングする
主要部分の寸法だけ再現できていればとする。実際の形状をリアルに再現するのは難しいので、円柱と円錐を組み合わせた単純な形で作る。
はんだごてカバーのモデリング&出力
1号機
大まかな形状をイメージできたので、さっそくモデリング。
※寸法は画面を見ながら直感的にちょうど良さそうなサイズに設定。
※まずは出力してみて、その結果をもとに修正をする前提。
出力結果
3Dプリントによくある典型的なミス。モニター越しには問題なくても、実際に出力するとなると強度を考慮する必要がある。
2号機
全体的に太くして折れにくいように改良。
出力結果
丈夫!適度にしなるし、太さはこれでよさそうだ。
プロトタイプ完成
先端部分にキャップをつけてより安全設計に。
出力結果
サポートも少なくていい感じです。
動作試験
本当に高温のはんだごてから手を守ってくれるのか。また、使い勝手に問題はないか。実際にはんだづけをして確認。
はんだづけの際に、こてカバーの先端が基板に当たってたわむことで無事にはんだをつけることができた。また、高温のはんだごての先端や周りに手が触れることもない。
ひとまずは成功といっていいだろう。
今後の課題
①子どもの手のサイズに合わせた設計
今回作製したはんだごてカバーは、大人の手であれば確実に火傷から守ってくれそうである。しかし、小学校低学年の手は大人と比べてかなり小さいので、もっと櫛の隙間を狭くする必要があるかもしれない。
②操作性の向上
はんだづけの際、こてカバーが基板に当たりたわむが、この時基板が若干動くため作業がしずらいことがわかった。実用レベルに達するには、基板を押さないようにたわみ方まで意識した設計が必要そうだ。