維管束について
スイカの果肉の中に、維管束がある。
「維管束」は、水分を運ぶ「道管」と「師管」が束になっている。
カボチャやピーマンで言うと、「わた」という部分。
カボチャやピーマンでは食べないが、スイカの場合は、食べている。
トマトで言うと、果肉の中のジュルっとしている部分。
維管束の自由研究について
2年前の小学2年生の時に、夏休みの自由研究でスイカの維管束について調べた。
・スイカの維管束がスイカの中でどんなふうに繋がっているのか
・スイカの果肉のに入っている種の数
・維管束の仕組み
・他の野菜(トウガンなど)の維管束との比較
・スイカの歴史
などについて調べらた。
維管束を色水で染めてみよう
スイカの果肉の中にある「維管束」を確認する為に、青い色水(
食紅
と
水
)を吸わせる実験をしてみた。
実験してみたが、果肉の中の維管束を青い色水で染める事はできなかった。
茎の維管束は青い色水を吸っていた。
ヘタを通っている維管束も、青い色水を吸っていた。
ヘタの維管束からは青い色水が吸い上がっていない。
維管束が青い色水で染まらなかった理由
2年前の実験や、自分で調べた知識では、なぜ果肉の中の維管束が青い色水で染まらなかったのかは、よくわからなかった。
「道管」を通り、葉でできた栄養は「師管」を通るので、青い色水の水分は維管束の「道管」を染めていた事は、わかった。
だから、果肉の中の維管束は、茎の維管束とは作りが違うのかなと考えたが、確かめる事はできなかった。
スイカの種と維管束の関係について
維管束の周りに種ができる。
維管束と維管束の間の果肉に、種の入っていない果肉部分がある。
スイカを食べる時には、この維管束と種の位置を考えながら切ると、
種が入っていない果肉部分だけを切り出す事ができる。
果肉の維管束の形を確かめる方法
自由研究で スイカを切って維管束の形を見る事はできた。
しかし、全体像を見る事はできなかったので、切って見る以外で、維管束の全体像を確認できる方法はないか、調べてみた。
MRIでスイカを撮影する。
MRI
で撮影されたスイカの維管束が載っていた。
画像から、維管束の上部が小さく、中心が一番大きく、下部にかけてまた小さくなると確認できた。
http://insideinsides.blogspot.jp/2010/07/watermelon.html
(2016.09.13アクセス)
植物を透明にし、内部を透かして見る事ができる薬
名古屋大学の研究グループが、植物を透明にし、内部を見る事ができる薬を、開発させたそうだ。この薬を使うと、植物を切ることなく、そのままに観察できる。
(写真は2015.11.27 西日本新聞より)
名古屋大学 科学技術振興機構(JST)より
http://www.jst.go.jp/announce/20151028-2/
(2016.09.10アクセス)
この薬を使うとスイカの果肉の中の維管束を透かして見る事ができるかもしれない。
小学生でもできる実験なのか、大学内でないとできない実験なのか、など、名古屋大学に確認しなければ、この実験はできない。
3Dプリンタの講習
ファブラボ太宰府にて、
3Dプリンタ
の講習を受けた。
1.3Dデータを作る
2.作ったデータをOBJからSTLに変える
3.プリンタ(ファブラボ太宰府のプリンタは、スクーボ)
データの作り方
・自分でデータを初めから作る。
スカルプトリス
メッシュミキサー
などを使う。
・スキャナでスキャンする。スキャナ(
Sense
など)でスキャンし、デジタル化する。
・インターネットなどで、3Dデータを見つけダウンロードする。
フィラメントについて
3Dプリンタのフィラメントにはいくつか種類がある。
色もたくさんあり、金属のようなものや、木のようなものもある。
それぞれの特徴を考えて、フィラメントを選ぶ。
・PLA 作る時に反りにくい。熱に弱く、使う時の温度に注意。トウモロコシが原料で、自然 にやさしい。
・ABS 出力後に塗装などの加工がしやすい。
ファブラボ太宰府で、これまでに3Dプリンタで作られた物を見せてもらった。
フィラメントの違いで、触った感じも違った。
鎖もできることに驚いた。
シンギバース
インターネットでシンギバースのサイトを見てみた。
ダウンロードしたいものがたくさんあった。
スイカの維管束の3Dデータをインターネットで探したけれど、見つける事ができなかった。
他のサイトでも探したけれど、見つける事ができなかった。
自分で3Dデータを作る
スイカの維管束の3Dデータを見つける事ができなかった。
MRIも透明にする薬も今回はできそうにないので、自分で3Dデータを作る事にした。
〈3Dデータを作る手順〉
1.スイカから維管束を取り出す
2.Senseをfablab九州大学βさんから貸していただき、スキャンする。
3.取り出した維管束が上手くスキャン出来ない場合は、紙ねんどで維管束のモデルを作って、そのモデルをスキャンする。
3.維管束を観察しながら、メッシュミキサーなどでデータを作っていく。
スイカの維管束をくり抜こう
トウガンで練習
スイカの維管束をくり抜く前に、トウガンで練習してみよう。
トウガンの果肉のをとって維管束だけ残す
フォークなどの道具を使うより、指で取っていく方がやりやすい。
維管束と果肉では触感が違うので、指で維管束の感覚を確かめながら、果肉を取っていく。
トウガンの維管束の底
ヘタにつながる維管束のスジと、維管束の底が丸いのがわかる。
三つ葉(クローバー)の葉っぱを立体的に丸くしたような形。
大きく3つの部屋に分かれている。
自由研究の資料と比較
2年前の自由研究「スイカの中をのぞいてみると」P27のトウガンと比較。
トウガンの維管束を冷凍保存
メロンの維管束取り出そう
・維管束の形は、なんとなくスイカらトウガンににている。
・維管束の先に種が付いている。
・メロンの種は、スイカと違って果肉にうまっていない。
・メロンの維管束は、真ん中にかたまっている。スイカやトウガンは、果肉の中を這うよう に通っている。メロンの維管束は、
・メロンの維管束は、真ん中にすき間があり、周りから維管束が伸びてきている。
・メロンを食べる時に種がなくて食べやすい理由がわかった。
メロンの維管束
なんだか植物に見えない。内臓みたいだ。
おどろいた。
発砲スチロールの球を切ってみる
トウガンやメロンで維管束を取り出す練習をして、わかった事を考えながら、スイカの維管束を取り出すシュミレーションをする。
発砲スチロールの球をスイカに見立ててカットしていく。
スイカの維管束を取り出す
維管束の先に種ができるので、種を目印にして、果肉を取っていく。
維管束だけを残すように
下にいくにつれて、維管束の大きさは小さくなっていき、中心に近付く。
MRIを参考に
インターネットで見たMRIの画像を参考にして、
横に切りながら維管束を切り出していく。
重ねてみた
取り出した維管束を、一番底を上にして、重ねた。
維管束の底までの全体像がわかった。
この形が、スイカの果実の中に3つあることになる。
3つに分けて取り出した維管束
一番底の部分
底は袋状になっている。
内側からみると、ハート型。
外側からみると、鼻みたい。
スイカの維管束をSenseでスキャン
うまくスキャンできない。
うまくスキャンできなかった。
〈試してみたこと〉
・スキャンを
三脚
で固定。
・部屋の電気を消してみる。
・スイカにすっぽとライトをあてる。
・維管束を置く
回転台
が黒色だったため、回転台に
白い紙
を敷いてみる。
・背景が写り込んで、背景をスキャンするので、背景が写り込まないように、背景に無地の木のボードを置く
・回転速度を変えてみる。
スキャンの角度を変える。
うまくスキャンできない理由
なぜうまくスキャンできなかったのか。
・スイカの維管束が小さい。Senseでは小さいものは、スキャンできない。
・スイカの色が赤い。赤はスキャンしにくい色なのか?ペンキなどを塗って色を変えるとスキャンできるのか?
・スイカにたくさん含まれている水分で、スキャンしにくいのか?表面に何か塗ると、スキャンできるのか?
維管束の模型を紙粘土で作って、スキャンする
紙粘土
で、維管束の模型を作る。
維管束A・Bと2つに分けて作る。
維管束Aを作る
スイカ、トウガン、メロンの維管束を取り出した事を参考に、紙粘土で維管束の模型を作る。
維管束Aをスキャン
大きさが大きかったためか、上手にスキャンできた。
維管束Bを作る
紙皿を骨組みにして、維管束の底を作る。
ねんどを高く盛り付け、山のようにした。
大きさは、維管束Aに合うように作った。
維管束Bをスキャンー1
最初は、穴を上に向けスキャンした。
模型の周りをぐるっと一周歩いてスキャンしたが、うまくスキャンできなかった。
スキャナを三脚に固定し、回転台を回してスキャンしたが、やはりうまくスキャンできない。
回転速度をかえたりして、何度も何度も試したけれど、スキャンできなかった。
側面に穴があき、壊れたお茶碗みたいになったり、画像が伸びて、何かわからない物みなったりした。
何度も試してスキャンできず、あきらめかけていた。
維管束Bをスキャンー2
スキャンがうまくできないので、あきらめかけていたが、ダメかもだけど、模型の向きを変えて試してみた。口を伏せるように置く。ちょうどお茶碗を伏せたように置いて、スキャンできるか試した。何度か試してたら、ようやく、模型に似た形がスキャンできた!
データを修正しプリント
Senseのソフトの中で、必要のない部分を少しづつ消していく。(回転台など)
スクーボ(プリンタ)でプリントする。
維管束Aのデータ修正
Senseのソフトの中で、回転台などの必要のない部分を消して、修正していく。
維管束Aをプリント
修正したデータをスクーボ(プリンタ)でプリントする
維管束Bのデータ修正
データの修正はとても大変だった。
Senseでは側面の穴を埋められなかったので、メッシュミキサーにデータをうつして修正した。途中、メッシュラボにもうつして、メッシュ数を減らした。
XYZの軸を使ってモデルを回転させるのが難しかった。
3次元を理解して作業することがはじめてだったため、戸惑ってしまう。
ブラシの機能も、使いながら覚えていく感じで、とにかく1つ1つの作業に手間取ってしまう。
データの修正の大変さ
・スキャンしてできた穴をうまく埋められない。
・紙ねんどや、本物の取り出した維管束と、形が違うのに、思うように形が直らない。
・モデルの上下ひっくり返らず、作業しにくい。
・ブラシの1つずつの機能がまだよくわからない。
何時間もデータ修正しても上手くいかず、精神的にも疲れ、目や肩など、体にも疲れが出てきた。
データを作るという事の大変さを、はじめて身を以て感じた。
なんとか修正できた
モデルの位置を変えるには、XYZの軸を考えながら動かすことや、穴埋めには「検証」機能を使い「自動修正」を使うとやりやすい事や、 「ブラシで機能」の「ブラシの範囲」や「ブラシの強さ」を工夫する事で、思っている形に近づけれる事を教えてもらった。
スキャンも含めて、本当に、データを作る事は、大変な作業だと思った。
維管束Bをプリント
大中小3つプリントした。
大の大きさが合いそうだ。
鼻みたいな形。
出力した維管束Aと、維管束Bを重ねてみる
・スイカの維管束の全体像がイメージできてきた。
・AとBの大きさがぴったり合わない。
・維管束Aが歪んでいて、歪みに合わせてそれぞれ維管束Bを作るのは難しい。
維管束の全体像を作るには
維管束の全体像を作るには、どうしたらよいのか。
維管束Aを作り直す
維管束をカット
維管束Aの中で、一番ゆがんでいない部分だけ残す。
ミラー機能を使う
ミラー機能を使い、3つに増やす
穴を埋める
きれいな維管束をプリント
なんだか様子がおかしい
途中でストップ。
底がボコボコで、うまくプリントできなかった。
もう一度修正
〈修正箇所〉
・底のデコボコをなめらかにする。
・ぺちゃんこすぎるようなので、高さを厚くする。
・もう少し維管束の先を内側に曲げる。
面でカット
「トランスフォーム」で底を伸ばす。
「面でカット」で、底をカットし、平らにする。
作業したところを見直していると…
メッシュ数が多すぎてメッシュ数を減らす作業をしても、なかなか数が減らない。
あやしそうな箇所見直していると、
コブの下にもう一層見えてきた。
コブもたくさん。
穴の埋め方が悪かったようだ。
コブができたり、層を重ねて高くするのは、よくない。
重なっている部分をカット
何重にも層が重なっていたり、コブやができている部分を、削除する。
「検証」
穴が空いているときは、「検証」をし「なめらかな穴埋め」を選択し、「すべて自動修復」にしたら、上手く穴がうまる。
維管束の先を修正
「トランスフォーム」を使い、維管束の先を伸ばして内側に曲げる。
底を「トランスフォーム」で伸ばし整える
底を「トランスフォーム」を使いのばして、「面でカット」で切り、平らにする。
メッシュ数を減らす
メッシュラボにデータを移し、「リメッシング」を何回か繰り返す。
リメッシング
メッシュミキサーの「リメッシング」を使うと、デコボコの形がつるんとなり、なめらかに整う。
「エクスポート」
データを保存する。
「エクスポート」して、名前をつけ保存。
維管束Aをプリント
データわ修正したので、もう一度維管束Aをプリント。
プリンタ「アドバンス設定」で、位置を設定。
底が浮いたり、斜めにならないように気をつける。
プリントする大きさも調整。
出力完了
出力時間、105分
きれいに出力できた。
同じ物をもう1つプリント
維管束Bをプリント
維管束Bを全部で6個にするため、さらに5個プリントする。
一度にプリントはむりだった
一度に3個プリントしようとしたが、失敗。
1個づつプリントする。
維管束B、6個
1個づつプリントして、全部で6個になった。
プリントしたパーツをくっつける
初めての3Dプリンタで、大好きなスイカの維管束。
インターネットにのっていない物が作れた。とてもうれしい。
形を整える
ニッパーで切って、AとBがあうように形を整えた。
イメージ
赤い布
と、
ビニール風船
を使って、スイカをイメージしてみた。
スイカの維管束の模型を作ってみて
模型を作ってみて、解ったことや改良点やを考える。
ぴったり合わせるのは難しい
・別々に作ったパーツをぴったり合わせるのは難しい。
・維管束B同士がくっつく頂点の部分とを、ぴったり合わせるのは難しい。
・
ニッパー
で切りながら、形を合わせたが、今回作った維管束Bのデータを基にして、3個を組み合わせたでを新しく作って、それを2個プリントしたほうが隙間ができなかったと思う。
上下のヘタに維管束がつながる
スイカの皮のヘタから維管束Bが3個組み合う頂点にスジが伸びる。
(上下のヘタにそれぞれ、維管束のスジがつながる。)
中心の幅を広く作る
中心の維管束の幅が一番広くなり、全体が球になるように作った方が、よかったと思う。
パーツの角度を考えて作る
・維管束Aと維管束Bがくっつく部分をぴったり合わせるには、維管束Aが斜めになっているので、維管束Bもその角度を考えて作らないといけない。
維管束の縦と横の長さの割合
維管束の全体像の縦と横の長さの割合があっているのか確かめる必要がありそうだ。
本物のスイカをもう一度手に入れて、維管束の全体の大きさを計るとよいが、今の時期には店頭にはもうスイカがないので、残念ながら、確かめられない。
スイカの種まで作るには
スイカの種がいかにくっついているところまでを作りたかったが、維管束の先の細いスジや その先の種までは、この大きさ(横幅5㎝)では、きれいにプリントできないと思う。
横幅を10㎝くらいに大きくすると、スジや種もプリントできるのかもしれない。
種やスジをつくるには、「トランスフォーム」ら、ブラシの「膨張」を使うと作りやすいと思う。
スイカの皮の部分
スイカの皮の部分は、半球で作るともっとわかりやすい模型になると思う。
果実の部分は赤い綿で作ると、果実の中に維管束が見える感じを出せると思う。
データ1
動機・自由研究について
データ2
3Dプリンタ講習・トウガンのくり抜き
データ3
トウガンのくり抜き
データ4
メロンのくり抜き
データ5
スイカのくり抜き・スキャン
データ6
データ編集・プリント
データ7
完成・感想まとめ