題材の選定

刺繍ミシンで文字盤で刺繍した時計を制作します。題材を考える際には以下の点に注意します。
  1. できるだけシンプルなモチーフを心がける(刺繍の成功率を上げるため)
  2. 刺繍ミシンの最大造形サイズに注意する
  3. 入手可能な糸の色に画像の色を合わせたほうが、完成時のイメージがつきやすい
本作例では、刺繍ミシンで文字盤を刺繍するだけでなく、RaspberryPiを用いてインターネットから取得した天気予報情報を無線で送信し文字盤上のLEDを光らせる、簡易的なIoTの時計を制作します。

文字盤の模様の作成

以下の手順で、Illustrator等のグラフィックソフトを用いて文字盤の模様を作成します。
  1. 文字符を作成する
  2. 天気予報の晴れ・くもり・雨を表示する画像を作る
  3. 文字盤上に画像を配置させる
  4. 画像を刺繍ソフトウェアに読み込む形式(今回はBMP)で保存する。

刺繍ミシンによる刺繍

作成した画像を刺繍ソフトウェアで読み込み刺繍を行います。
刺繍ミシンはBrother社のSoleil 100A、刺繍ソフトウェアとして刺繍Proを用います。
刺繍ミシンおよび刺繍Proの使い方については、公式マニュアルやfabble内にある解説などを参照してください。
以下の点に注意して制作を行います。
  1. 糸の材質によっては、刺繍中に布の裏側で糸が絡まる場合があります。できるだけすべりの良い糸を使った方が成功しやすいです。
  2. 柔らかい布では刺繍に失敗する可能性が高いので、必ず接着芯を貼り、刺繍ミシンに固定する際も、布をぴんと張った状態にしてください。
  3. 針は、通常のミシン用刺繍針で問題ありません。

プログラムの作成

天気予報情報をRaspberry Piで取得し、その情報をGPIOで出力するプログラムを作成します。
天気を表示するために、晴れ、くもり、雨にそれぞれひとつずつGPIOのデジタル出力のポートを割り当てます。その天気に該当するポートをOFFに、それ以外をONに設定します。
天気に応じたそれぞれのコードはgithubを参照してください。
この作例では、OpenWeatherMapというサービスを用いて現在の天気予報情報を取得します。APIを取得し、天気予報を取得したい地域に応じて適切なURLを設定します。

回路の作成

無線通信モジュールであるTWE-Lite DIPを用いて、刺繍時計に無線信号を出力する回路を作成します。
  1. 晴れ、くもり、雨のそれぞれのデジタル出力のポートと、TWE-Lite DIPのデジタル入力のポートを接続します。
  2. TWE-Lite DIPのVccとGNDを接続し、適切なモードで働くように配線を行います。
  3. 親機側のデジタル入力の情報が、自動的に無線で発信され、無線を受け取った子機側のデジタル出力のON/OFFが制御されます。
  4. 子機側の各デジタル出力をLEDと抵抗に接続します。回路は文字盤の裏面に、LEDのみ文字盤の表面の模様の位置に出すようにします。

時計ユニットの組み込み

以下の手順で、文字盤に時計ユニットを組み込みます。
  1. 中心に十字の切れ目を入れ、そこから時計の軸を出します。時計の針がLEDと鑑賞しないように気をつけます。
  2. 時計ユニットと文字盤を、テープなどで固定します。
  3. 文字盤を壁にかけるための糸を通します。

プログラムの実行

以下のコマンドでRaspberry Pi上のプログラムを実行して完成です。
# sudo python3 weather_current.py