題材を考える
時計にふさわしい切削可能な題材を考えます。以下が考えるヒントになります。
既成品の時計のユニットはシャフトが長くても20mm程度のため、
それより小さい厚みである必要がある。
対象物の後ろに時計のユニットがつくので、両面切削の対象には向かない。
このレシピでは、瓦の並んだ3Dモデルを作成し、ミリングマシンSRM-20で切削します。
余談ですが、日本画家の福田平八郎の「雨」という作品からイメージを得ています。
瓦の2次元データ作成
瓦の断面平面データを入手または作成し、Illustrator等のグラフィックソフトで整形します。
このとき、パスが必ず閉じているように気をつけます。
今回の瓦データでは、複数枚の瓦の重なりを考慮しますが、3DCAD上で重なりを処理するのは煩雑になるため、Illustrator上で二次元の重なりを処理して結合した状態で出力します。
出力形式として、3DCADとして用いるfusion360がSVG形式に対応しているため、SVG形式で出力します。
瓦の3次元データ作成
3DCADソフトウェアとしては、fusion360を使用します。
時計のユニットが許容できる厚みや、時計針の長さに合うように、
全体のサイズを決定します。
工程はおよそ以下のようになります。
Illustratorから出力されたSVGファイルをスケッチにインポートする
押し出しで厚みをつける
矩形状パターンで、3つコピーを作る。このとき、瓦同士で重なりができるようにする。
瓦を鉛直方向にずらし、瓦らしさを整える。
直方体部品を作り、瓦全体と結合する。
完成した3DデータをSTL形式で出力する。
SRM-20による切削加工
SRM-20では、木材や様々な樹脂材料の切削を行うことができます。
今回は、部材としてケミカルウッドのRAMPF社のRAKU-TOOL MB-0600を使用しました。
エンドミルは、4mmストレートのエンドミルを使用しました。シャフト径は6mmです。
切削の際の注意点としては、
本番の前に、発泡スチロール等の柔らかい素材でテスト切削をする
捨て板を台に両面テーブで固定し、その上に両面テープで部材を固定する
といったことを必ず守るようにしてください。
今回は、ソフトウェアとしてMODELA Player 4を使用します。
SRM-20の使い方については、
公式マニュアル
や
fabble内の解説
を参照してください。
SRM-20による穴あけ
穴あけには、SRM-20に付属のソフトウェアであるClickMillを用います。
時計のユニットは、軸部分に直径10mmの穴を必要とするため、時計の中心に直径10mmの穴を作成します。
エンドミルは、切削加工に用いたものと同じ4mmストレートを使用します。
ClickMillの使い方は、マニュアルを参照してください。
材質やエンドミルの種類などを選択して、道なりに実行していけば穴あけができます。