ニードノウアについて
頚椎症によって指先でつまむことが難しい方のリハビリテーションを担当していた。
その方は、衣服のファスナーを自分で閉めることが難しく,時間がかかるため、ファスナーなしの服を選ばざるを得なかった。
もしファスナーを自分で締めることができれば、自分で好きな服を選んで、着替えをして、外出することができる。
課題・要求 (Good/Badストーリー)
Bad ストーリー
自分で洋服やカバンのファスナーを閉められない
本人が自分で出来なくてイライラする
できないから褒めてもらえない
ファスナーの先をつまめない
できない自分が嫌だ
Goodストーリー
ファスナー付きの服も選べて嬉しい❤
褒めてもらえて嬉しい❤
外出したくなる!❤
自分が閉めたいときに,自分でできてうれしい❤
ファスナーをすぐに閉めることができて時間短縮!
解決策・アイデアスケッチ
まずは、板を使って挟むことで解決する手法や、ファスナーの左右に分割できるガイドレール付き補助具を作ることを考えた。
しかし、いずれも位置合わせを自分でしないといけない欠点があり、他の方法を考えることとなった。
プロトタイピング
紙粘土でプロトタイプ
嵌めるだけで簡単にファスナーを接合できるデバイスを求めてプロトタイプを作った。
具体的には、服のつかめる部分を大きくし、ガイドを付けて、握りやすくかつ嵌めやすくした。
プロトタイプ(1)
平面のプロトタイプを作成した。
2つのバーでファスナーの先を固定し、もう片方のファスナー金具を簡単に嵌められるようにした。
受け側の金具と、挿入側の金具の距離が離れており、衣服がよれてうまく嵌められなかった。
プロトタイプ(2)
さらに改良して、蓋とくぼみをつけるなどして新しいプロトタイプを作成した。
握って片方を固定するまでは概ねできるようになったが、もう片方を止めるのにはやはり微妙な位置の調節が必要である。
プロトタイプ(3)
プロトタイプ(2)から改良を重ね、さらにハマリやすくした。
しかし、服の厚さが邪魔をしている、もう一息。
プロトタイプ(4)
改良の余地はあるが、金具同士がうまく嵌められるようになった。
解消された世界
ファスナーの有無に関わらず自分の好きなデザインの衣服を選ぶことができる
自分の好きなタイミングで着替え、自分の好きな時に衣服を脱着することができる
ファスナーを閉めることに費やしていた時間を有効活用できる
ファッションを楽しむことでより外出が楽しくなり、人と会うことや趣味活動等を楽しむことができる
Next Action
器具を蝶番で固定し、脱着しやすくする
片側パーツの挿入口を工夫し、傾斜をつけて挿入しやすくする
内部にモーターなどの機構を組み、自動でファスナーの片側パーツを引き込み、弱い力でも左右パーツを組み合わせられるようにする
携帯しやすいデザインを検討する