For whom:対象者
障害者、健常者関係なく握力の関係で飲料用のアルミキャップボトル、ペットボトル、ゼリードリンクのキャップを開けることが難しいと感ずる人
Why : なぜ作ろうと思ったのか
先日中高年の方と食事をしたときに自作のペットボトルオープナーをプレゼントしたのですが、その時にアルミキャップ飲料のボトルも開けられたら良いのにというお話しを聞きました。そこでネットで調べてみると市場にはペットボトル、ゼリードリンク、アルミキャップ対応のオープナーはいくつかあることが分かったが、今回は3Dプリンターで2種類の樹脂を使ってオリジナルな考え方でコンパクトに作製してみた。また市場のアルミキャップの大きさはまちまちで少しでも多くのキャップに対応できるように考えた。
How:どのように作成したか(試行錯誤のプロセスと作成ファイル)
ペットボトルとゼリードリンクの蓋開け構造は既存にある構造を利用することにして、今回はまずはアルミキャップの蓋開け構造について検討を進めた。
①市場に出回っている飲料ボトル用のアルミキャップの業界寸法規格をネットで調査
→統一規格らしきものが無くアルミキャップメーカー毎に異なるようであった。
②市場のいくつかのアルミキャップ付き飲料ボトルを購入して寸法を調査。
市場のアルミキャップ調査データ
→外径寸法はφ28 前後だがアルミキャップの外径や滑り止めのギザギザ(ローレット)形状がまちまち。
③キャップの外径寸法許容度のある構造を考え何回かの試作繰り返しで構造・寸法を追い込んでいった。
■初期の構想
3Dプリントし易いPLAだけで作製する方法もあるが、アルミキャップの外径や滑り止めのギザギザ(ローレット)の形状がまちまちなためそれに対応するにはキャップへの引っ掛けのためのギザギザ突起をつけた穴形状としさらに外径寸法バラツキに対応してすり鉢型構造にしたもの(添付写真)が一般的になる。この道具での開け方はボトルの上からの押込み+回転で開けることになり、構造は簡単であるが多様なアルミキャップ形状に対する許容度に制限が生ずるため、ものによっては開け難くなることがある。その改善のためにキャップのローレットの引掛け部を柔軟なTPUでその周りのハンドルをPLAの2重構造とするアイデアを考えた。
■Prot 1
・ハンドル部をPLAにしてその内側にアルミキャップのローレットに嵌る突起付きの部品(InnLock)を柔軟性のあるTPUにした。動きの原理は蓋を開けようとしたときにアルミキャップに嵌ったInnLockの外周傾斜形状ががハンドル部内側の傾斜に沿って動きさらにアルミキャップとInnLockの固定を強めるイメージ。(写真添付)
■評価結果
・ハンドルが大きいすぎるか。→コンパクトに改善
・アルミキャップとInnLockおよびハンドル部とInnLockの嵌り具合がルーズ。
→アルミキャップに嵌るInnLockの突起形状形状およびハンドル部とInnLockの傾斜形状の追い込み改善
■Prot 10
・ハンドル部をコンパクトにする。
・アルミキャップとInnLockおよびハンドル部とInnLockの嵌り強度を高めるためにハンドル部とInnLockの形状を追い込んだ。
■評価結果
アルミキャップオープナーとしてはかなり構造を追い込むことができたが、オープナーを挿入する力がまだ大きいこととキャップによっては滑ることがある。
→さらに形状の追い込みをすることと、これにペットボトルとゼリードリンクのオープナーを追加すること。
■Prot 23
・さらにアルミキャップに挿入し易く滑りにくくなるように、ハンドル部とInnLockの形状を追い込んだ。
・アルミキャップにペットボトルおよびゼリードリンクオープナーを追加して3 in 1構造にした。
■評価結果
現状までの改善である程度利用できる道具になったと考えてますが、現状下記の課題が残ってます。
・アルミキャップに挿入する時には少し力が必要になるので、使い勝手上ここが少し心配。
・どのドリンクメーカーのアルミキャップでも開けられるかは確認してない。
■STLファイル
①ハンドル(Outer):
②Inner Lock(InnLock):
■今回の成果と今後の課題
アルミキャップの形状についてはまだ確認していないメーカーの物が沢山あるので市場の全てに対応できるかは確認できてません。これについては、さらにキャップ形状許容度が広い新たな構造も十分考えられるかと思いますので、ご興味のある方は是非チャレンジをしてみて下さい。「こんな簡単にできますよ」というのが望まれますね!!
STLファイル
ダウンロードリンクは下記になります。
https://drive.google.com/drive/folders/1Xfp88wJQGBw2lRV1_rpmM3Lbb5XN5ekx?usp=sharing
Outcome:対象者の何がどのように変化する道具なのかEdit
今回課題になったいろいろなサイズのアルミキャップ飲料をあまり力を入れずに開けられることをメインにしましたが、更にペットボトル、ゼリードリンク含めて3つをコンパクトに一つの道具に収められたので持ち運んで出先でも使い易くなったのではと思います。