誰のために製作したか
神経難病を有することで、手内在筋の筋力低下が生じていることにより、洗濯バサミを使用することが難しい方がいた。タオルや服などはハンガーに事前にかけておく、パラソルハンガーを使用するという方法で対応することができていた。靴下もパラソルハンガーで干すように工夫していたが、ストッパー機能を支えていないことで、風が吹けば靴下が飛ばされるなどの困りごとが生じていた。
ご本人が自分で操作ができるようにする自助具が必要となっていた。
製作:作業分析
今回の対象者は手指の筋力低下が生じていることで、洗濯バサミを使用することができなくなっていた。
パラソルハンガーでの靴下はストッパーがないことで、風邪で飛ぶなどの課題も生じていた。
そこで、パラソルハンガーに角度をつけることで、風で飛びづらく、上肢の運動障害もある対象でも一人で干せるようにすることが必要と考えた。
トライ&エラー
上肢の運動障害も生じている対象者が、靴下を設置しやすい角度を探すために、パラソルハンガーの固定角度を45度で試作した。
45度での操作は、干しやすさはあるものの、風邪で飛ばされやすさが残る可能性があった。
そこで、60度の傾斜で再度製作し、対象者が干すことができることも確認した。
実際に使用すると、より曲がる方向へ止まるアタッチメントが必要なことが分かり、追加で製作した。
製作
パラソルハンガーを60度で固定できるようにするアタッチメント、それ以上曲がらないようにするためのアタッチメントを3Dプリンターで製作した。
フィラメント:PLA
アタッチメント1
アタッチメント2
対象者の生活の中での成果
この自助具を製作することで、対象者自身は靴下を自身で干して、取り込むことが可能となった。
自分一人で洗濯物を干せることが継続できている。
進行性疾患の神経難病であり、自分でできることを継続することが重要であるため、自助具を使用することで活動を再獲得できることは非常に重要である。