誰の何のための自助具なのか
ALSの治療薬であるラジカットが、点滴だけでなく内服薬という選択肢がうまれた。
しかしながら、懸濁薬であることから瓶の蓋を開けづらいこと、シリンジを使用しなければならないという課題が生じていた。また、絶食時間が8時間ということもあり、起床後すぐに服用する必要があり、服用という選択肢が生まれたにも関わらず、自分一人で服用するためのハードルは高かった。
今回は一人暮らしのALSの方で、点滴から内服薬に変更することで、生活を楽にするため、一人で服用できる自助具を製作した。
製作:作業分析
今回の課題は、
【懸濁薬の蓋を開ける】
・押しながら蓋を回す必要があるが、手指の筋力低下で難しくなっている
【シリンジ】
・瓶からシリンジで5mlを引かなければいけないが、シリンジをつまみづらい
・瓶に刺したシリンジを引っこ抜くことが難しい
という部分を解決できることが必要であった。
デザイン
瓶の蓋はキャップオープナーを製作した。
要素としては、手全体で押せること、示指と中指で挟むことで力を発揮しやすくすることを含んだ。
フィラメント:PLA
シリンジは、引く際の指を引っ掛ける自助具を製作するとともに、瓶から引っこ抜く際の指で引っ掛ける自助具を製作した。後者はシリンジのメモリが見えるように工夫した。
フィラメント:TPU
ラジカットオープナー
シリンジ本体
シリンジ先
利用者の声
自分一人でラジカットが服用できて嬉しい。
点滴の場合は、本当に自分のスケジュールが制限されてしまうけど、服用できることで生活にゆとりができた。
自分一人でするという選択肢も解決策も思いつかなかったけど、主治医に相談してよかった。