Profile
Title : タイトルは、持ち易いコップ (Finger Way Cup)
For whom : 対象者は、コップを持つのが難しい人
Why : なぜ作ろうと思ったのかは、自分の手がコップに密着させて、落ちる不安なく使用される自助具
How: どのように作成したか(試行錯誤のプロセスと作成STLファイル)は、以下を参考
Outcome: 対象者の何がどのように変化する道具なのかは、自分の手に似合うコップを作って飲むのが楽になる。
材料(Materials)・道具(Tools)
# 1
材質:PLA, ASA, Nylon
推奨出力温度 : 235 - 260℃
推奨テーブル温度:45℃
道具 :
GUTENBERG
# 2
材質:
PP
推奨出力温度 : 195℃~225℃
推奨テーブル温度:50℃~100℃
道具 :
RAISE3D Pro2
泣いている対象者
Corona
Pandemic
「STAY HOME」の日々に。
2020年11月19日
Prologue
趣味活動をしてみなさいという日本語先生の助言を聞いて、 テレビドラマで見た陶芸を始め。
陶芸先生に手伝ってもらって初めて作った花瓶。
素焼きした後、絵の具を使って塗った。
2021年12月14日
貫通
成形した器物に貫通技法で花びらを彫刻。
適度に硬い土壁をかんなで通す手の感覚が良かった。
世界とまた疎通できるという願いで
闇を照らす光のランプを作った。
2022年 春
点描
赤土の器物の表面に粉青技法でデイジ(DAISY)花を装飾。
*デイジ(DAISY=Digital Accessible Information System)とは、 さまざまな障害者にアクセシブルなデジタル図書の国際標準規格。
鋭い鉄筆で作った点描が心に擦れた傷のように感じた。
その点点のさまざまな距離が支えて花になった。
2022年 夏
浮き彫り
カンナで彫刻し、素焼きをした後、釉薬を塗って本焼く。
近所のお寺で育てる蓮の花を思い出して作った大皿。
2022年 秋、冬
象眼
白土で作った器物の表面にカンナで文様を彫る。
そのスキマに黒土を埋め、釉薬を塗って焼いたもの。
傷がつき、癒えて柄になると、新しい物語が生まれる。
黒い輪郭線が主人公となり、器をより美しくする。
2023年
上絵
白い釉薬を塗って焼いた器物の上に筆で絵を描き再び焼く。
陶芸先生の絵に写して描くことができるほど成長して嬉しかった。
鳥や花の甘い雰囲気を楽しみながら、果物が食べられる小皿。
絵を近く見ると、太陽の光に波が反射する瞬間のよう輝く。
2024年 夏
自分に密着する時間
「今この瞬間、自ら感じたことを表現する楽しさ、自分の作品を残すこと、具体的にほめられて自信を得ること、自分自身を発見して話すこと、生きる目標が生まれ、希望を持たせることが臨床美術の魔力。
自分の時間を楽しく感じ、その日のカリキュラムに積極的に没頭するほど、リハビリの効果が上がる。 それで、脳は新しい環境に入り、感情判断による最初の情報処理を経て、論理的情報処理の結果として行動をする。 生きているが機能しない神経細胞を目覚めさせるになる。」
金子健二編, 「臨床美術・認知症治療としてのアートセラピー」
2024年7月15日 臨床美術士5級 資格取得
Inspiration
手作りの陶磁器を手で触る感じは特別。
陶磁器の様々な感触を今でも覚えている。
泥が私の手を撫でる親近感は
お母さんと赤ちゃんの手を連想させる。
好きという感情は心を撫でる力がある。
ありがとうございます。
できるまで続けてみます。
Observation 1
左手で握るときの手触りが他のカップと違って感じられる。
Observation 2
右手でコップを取った時、不便に感じる。
Observation 3
指が置かれる物理的ガイドがいればよいと思った。
右手、左手、指の形に合ったカップがあればいいと思った。
Making Finger Way Cup
手を描いた形を考慮して床の形を作り、
上に1層ずつ積み上げる方法でモデル化した。
Model Sketch 5
指3本でコップを握れるようにガイドを3段に作った。
それぞれの指の大きさを考慮し、溝の大きさを調節した。
Model Print 5
ASAを材料として使用し、安定した形でカップが出力された。
鉛筆立て、花瓶、植木鉢など収納容器にも使えると思った。
Model Test 5
積み上げられるモジュール形態にカップの下側部分を狭く修正した。
子供のおもちゃとしても使えると思った。
Model Sketch 6
右手で握るコップを大、中、小の大きさに、
左手で握るコップも大、中、小の大きさに作った。
Model Print / Test 6-1
右手で握るコップを右手で握って安定に感じた。
Model Print / Test 6-2
左手で握るコップを左手で握って安定に感じた。
Model Print / Test 6-3
コップの大きさを左手と右手によって、
大(成人男性)、中(成人女性、青少年)、小(幼児)に区分。
Applying Materials
日本で食器用に認定された
Polypropylenフィラメント
を購入した。
材料の特性を考慮してプリントできる形にカップ底のモデルデータを修正した。
PPはBuild Plateに密着が難し印刷中のモデルが浮き上がる問題があった。
安着用のシートを購入して、テストする予定。
2024年8月31日
Making Case Box
6つのカップを重ねて収納できるボックスを作った。
ナイロのンフィラメントで印刷することで表面が輝く。
フタの内側に可愛らしい文章を印刷して、
ユーザーが読んで幸せになるようにした。
Model Sketch 7
6つのカップを重ねて収納できるケースボックスを作成した。
Model Print / Test 7
1つの箱に6つのカップを整理収納するという製作意図に合わせて製作された。
ただし、素材についてはさらに検討が必要だと思った。
Model Sketch 8
フタをなくさないように、ボディーとつなぐチェーンを製作した。
ボディーの外壁に点字の名前を表示した。
Model Print / Test 8
モデリングされたチェーンをPLAで印刷できる形にデータを修正している段階。
Ideation
人間それぞれ違う指と手のひらを配慮して、
左手と右手で握るコップを分けて製作したらどうでしょうか?
男性、女性、お子様の手の大きさによってカップの大きさを
見分けることで、僕のコップだと見つけられるように。 その上、
コップを持つのが難しい方を対象者として、
自分の手がコップに密着させ不安なく使用される自助具と
面白い形を触って持つのになれるメンタルケア道具。
偶然に作られた自分の陶器が自助具として繋がるのをお願いする。
2024年3月11日
Model sketch
紙のスケッチをデータで作成した。
製作しにくい部分を確認して修正案を考えてみた。
Model print
実物でプリントして確認した。
実際に使用して修正方向を考えてみた。
黒のカップはPLA、白のカップは食品対応のNylonフィラメントで出力した。
Model test
実際サイズでプリントしたカップを手で握って楽なのか聞いてみた。
コップの形に合わせて手で握る方向が変わるべきだというフィードバックを受けた。
正しいだと思って直した。
Model Sketch 2
① 手のひらを考慮し、カップを握る方向を逆に修正した。
② 指がカップに当たる部分を凹んで掘る方法を考えてみた。
③ 飲みやすいように、カップの上面にアゴを追加した。
④ サイズ異なる 6 つのカップが収納される方法もまとめた。
⑤ 点字入力機をカップに貼ってインタラクションできることを考えた。
Model Print / Test 2
プラスチックという材質に合うようにカップの厚さを薄く修正した。
市販カップと違いがないと判断させ、デザインを修正するべきになった。
Model sketch 3
手で握り易い形のために、カップの側面に流線型を適用してデザインを変更した。
Model Print / Test 3
Nylonを使ってプリントした。
側面の流線型は実装されていますが、
材質が滑り、表面に屈曲がなく、手で持ちにくかった。
カップのデザインを修正すると判断した。
Hint from Real World
積層構造のパターンを適用した陶器カップを参考した。
Model sketch 4
カップの底を作って側面を上げる方法について考えた。
コップを持つ指の動線に沿って溝を掘ってガイドを作って、一段ずつ上げた。
Model Print / Test 4
カップ表面の屈曲が与える視覚的造形感と手で握った時の物理的安定感が
製品のコンセプトを適合すると思った。
変更されたボディのデザインに合わせて、カップのヒール部分修正が必要だと考えた。