①構成パーツの検討

 まずは制作に取りかかる前に、漢字をどのようなパーツに分解するのか、また、子どもが扱いやすく、さまざまな漢字を表現できる大きさはどのくらいなのかを検討しました。
 そのために、小学校5・6年生で学習する漢字を一字ずつ実際にパーツへ分解し、必要なマス数やパズル全体の大きさを検証しました。
 その際に、「漢字の持つ意味」と「漢字を構成するパーツ」の両方が含まれる語呂を作りました。

その結果、以下の2点を決定しました。



①-1 パーツの採寸 パズルの細かさ

 まず、漢字をパズルにするために、「漢字はどのような形に分解できるのか」「どのくらいのマス数があれば、さまざまな漢字を表現できるのか」を検討しました。そこで、小学校5・6年生で学習する漢字を一字ずつ、実際に自分自身でパーツに分解し、必要なマス数を検証しました。
 その結果、6×6マス、36マスのスペースがあれば、多くの漢字を無理なくパーツに分解して表現できることが分かりました。「なんとなく6×6」ではなく、実際の漢字を一つひとつ分解して検証した上で、この規格を決定しています。

①-2 パーツの採寸 パズルの大きさ

 次にこだわったのが、パズルそのものの大きさです。漢字の細かな形やパーツの違いに気付きにくい子どもたちにとって、小さすぎるパーツは「見にくい」「触りにくい」「操作しにくい」という問題につながります。
 そこで、子どもの手の大きさを基準に、できるだけ大きく、見やすく、扱いやすいサイズにしました。
1マスを10mmとし、パズル全体を縦60mm×横60mmに設計しています。「漢字を覚えるために書く」のではなく、まずは自分の手でパーツを動かし、組み合わせながら漢字の形を考える。そのために、子どもが無理なく「見て、触って、動かせる」大きさを追求しました。

②枠のプリントアウト

枠組み
PLAベーシック
 パーツを組み合わせて漢字を作るだけでなく、完成した漢字をそのまま「書く」活動につなげられるように、パズルを支える枠にも工夫を加えました。
 3Dプリンタで枠を製作する際には、パーツを正確に配置できることに加え、子どもが組み立てた漢字を確認しながら、その場で書字できることを意識して設計しました。

②-1 枠のデザイン

 漢字を6×6マスで構成するため、枠の外側にも縦・横それぞれ6マス分の目印を付けました。
 これにより、パーツを配置するときに位置を確認しやすくなり、漢字の形やパーツ同士の位置関係を意識しながら組み立てることができます。

②-2 「組み立てる」から「書く」へつなげる付属パーツ

 この教材では、パズルで漢字を組み立てた後、そのまま紙に漢字を書くことができるようにしました。
 そのため、枠を紙の上に置いたままでも書字できるよう、枠の横に板状の付属パーツを取り付けました。また、枠に厚みがあると、紙との間に段差ができて書きにくくなります。そこで、書字のしやすさと枠としての強度のバランスを考え、枠の厚さを3mmに調整しました。
 「分ける・考える・組み立てる」だけで終わらせず、組み立てた漢字を実際に書くところまで、一連の学習としてつなげられるように設計しています。

③構成パーツのプリントアウト

 漢字をさまざまな形に分解して組み立てられるよう、共通して使える基本パーツと、漢字特有の形に対応する特殊パーツの2種類を用意しました。

③-1 基本パーツの印刷

基本パーツ① 幅6のもの
基本パーツ② 幅4のもの
基本パーツ③ 幅3のもの
PLAベーシック
 例えば「印」という漢字は、左側と右側に半分に分けて考えることができます。この場合、6×6マスの枠の中に、3×6マスのパーツを左右に配置することで漢字を表現できます。
 このように、さまざまな漢字の構成に共通して使用できるよう、1×6、3×3など、複数の大きさ・形の基本パーツをデザインし、印刷しました。基本パーツを組み合わせることで、できるだけ少ない種類のパーツで、さまざまな漢字を表現できるよう工夫しています。

③-2 特殊パーツの印刷

特殊パーツ
PLAベーシック
 一方で、漢字には「くにがまえ」や「しんにょう」など、単純な四角形や長方形のパーツだけでは表現できない特殊な形があります。そこで、3Dプリンタの造形の自由度を活かし、部首に合わせた特殊な形のパーツをデザインしました。  さらに、特殊パーツだけで完結するのではなく、他の構成パーツと組み合わせたときに「ぴったりとはまる」形状になるよう設計しています。  これにより、基本パーツでは表現しにくい複雑な漢字にも対応し、「漢字を分解する」という学習方法を、できるだけ多くの漢字に広げられるようにしました。

④オーダーメイドの構成パーツ

細かいパーツ
PLAベーシック
 実際に子どもたちとパズルを使う中で、「この形に分けたい」「ここで分けたほうが分かりやすい」といった、子ども自身のアイデアが生まれることがあります。しかし、既存のパーツでは再現できない場合もありました。
 そこで、子どもの「こう分けたい」という発想を大切にし、必要なパーツをその場でオリジナル設計・製作しました。例えば、1.5×4マスなど、既存規格にはないパーツも作製しています。(写真:オレンジのパーツ)
 決められたパーツに子どもを合わせるのではなく、子どもの発想に合わせて教材を変えていく。3Dプリンタだからこそ、一人ひとりの「こうしたい」を形にできます。

⑤収納用パーツ

収納用
PLAベーシック
最後に、種類別に収納できるようにパーツを作製しました。

★実際に子どもが使っている様子①「福」という漢字に挑戦

実際に使っている様子です。
「練習」というよりも、「考えてみる」「手を動かす」「相談する」という要素が
多い経験になっていることがお分かりいただけると思います。

★実際に子どもが使っている様子2 「空」

別の漢字に挑戦している様子です。
漢字をただの記号でなく、イラストやエピソードを加えることで
何かを象徴する記号として認識してもらえた場面を見ていただけたらと思います。