対象者(For whom)
東京高次脳機能障害者支援ホームを利用する、若者から50代までの中途障害を抱える方々です。
作業療法士さんへのヒアリングを通じて、日常生活で繰り返し直面する不便さとして、次のような課題が明らかになりました。
外出先では使いやすい自助具が少なく、軽量でコンパクトな道具が強く望まれていた
特定のペットボトル専用オープナーはあるものの、サイズや形状が異なるキャップには対応できず不便だった
ウィダーインゼリーなどのパウチ飲料は特に開けにくく、開けられる道具が必要とされていた
対象者(For whom)
東京高次脳機能障害者支援ホームを利用する、若者から50代までの中途障害を抱える方々です。
作業療法士さんへのヒアリングを通じて、日常生活で繰り返し直面する不便さとして、次のような課題が明らかになりました。
外出先では使いやすい自助具が少なく、軽量でコンパクトな道具が強く望まれていた
特定のペットボトル専用オープナーはあるものの、サイズや形状が異なるキャップには対応できず不便だった
ウィダーインゼリーなどのパウチ飲料は特に開けにくく、開けられる道具が必要とされていた
なぜ作ろうと思ったか(Why)
きっかけは、学校の掲示板で見かけた「自助具コンテスト」の案内でした。
自助具づくりは初めてでしたが、アイデアで不便を解消したいと思い挑戦しました。 その後、知り合いを通じて東京高次脳機能障害者支援ホームを訪れ、作業療法士さんにお話を伺いました。
利用者の方々が日常生活で繰り返し直面している困りごとが見えてきました。例えば、
サイズや形の異なるキャップが開けられなかった
ウィダーインゼリーなどのパウチ飲料が特に開けにくかった
外出先でも使える、軽くて持ち運びやすい道具が望まれていた
これらの声を受け、虹彩絞り機構を応用した可変式キャップオープナーを作ろうと決めました。
効果(Outcome)
1. 機能面での効果
ペットボトルからゼリー飲料(例:ウィダーインゼリー)まで、1つの道具で多様なキャップを開けられる
開口部を虹彩絞りのように調整でき、異なるサイズや形状のキャップにも柔軟に対応できる
必要な力が軽減され、従来より少ない力で確実に開けられる
軽量かつコンパクトに設計しており、外出先でも持ち運びやすく使いやすい
2. 生活面での効果
現時点では想定の段階ですが、期待される効果は次の通りです。
キャップを開ける際に家族や周囲に頼る必要が減り、自分でできることが増える
「開けられない」という小さな不便がなくなり、日常生活のストレスが軽減される
必要な場面で自分の力で飲料や調味料を扱えるようになり、生活の自由度が広がる
外出先でも使えるため、活動への安心感が増す
3. 試用の感想
現時点では、支援ホームの利用者ご本人にはまだ試していただけていません。
そのため開発段階では身近な人に使用してもらい、次のような感想を得ました。
「少ない力で回せるのがわかりやすい」
「いろんなサイズに対応できるのが便利」
これらの意見から、開口部を調整できる機構の有効性や、幅広いキャップに対応できる汎用性の高さが確認できました。
今後は実際の利用者にも試していただき、具体的な改善につなげていきたいと考えています。
4. 今後の展望
今後の展望 現時点では、開発段階で身近な人に試してもらったのみで、支援ホームの利用者ご本人にはまだ試していただけていません。
今後は実際の利用者に試していただき、フィードバックを得ながら改良を進めていく予定です。 具体的には、
キャップの形状や材質ごとの使いやすさを検証する
利用者が握りやすい形状や重さに調整する
外出先でも使いやすい収納性や携帯性をさらに高める
これらを改善し、より実際のニーズに沿った形へ進化させ、日常生活の中で確実に役立つ自助具にしていきます。
作成方法(How)
試作1
どうしたか:
虹彩絞りの仕組みを参考に、最小限の部品で構成したシンプルなモデルを設計し、3Dプリントした。
改善点:
グリップが滑りやすく、力を入れにくかった。キャップ径の対応範囲も限られていた。爪部分もうまく引っかからず滑ってしまいキャップをあけることが難しかった
工夫:
まずは構造が正しく動くかを優先し、単純で出力しやすい形にした。
学び:
虹彩機構自体は有効だが、爪の形や可動域など改善点が多いと感じた
次の試作へ:
爪の形や可動域改善と、キャップ径の対応範囲拡大に取り組むことにした。
試作2
どうしたか:
爪部分の形状および可動範囲のを改善。ウィダーインゼリーなどのパウチ飲料のキャップにも対応できるように設計を修正した。
改善点:
基本動作に問題はないが上部フレームと下部フレームが離れてしまい中の爪部分がこぼれてしまうことが多く使いにくかった
工夫:
より多くのペットボトルやパウチ飲料に対応するため、爪の形状や角度を数パターン試し、複数の造形条件で比較した。
学び:
キャップ径への対応力は高まったが、強度と携帯性のバランスが難しいことを理解した。
次の試作へ:
上下のフレームの分離が問題のため改善する
最終試作
どうしたか:
強度を確保するために厚みを最適化し、上部フレームと下部フレームが外れにくいように固定用のパーツを作成した
改善点:
さらなる耐久テストと、利用者本人によるフィードバックがまだ不足している。
工夫:
強度と軽量性のバランスを重視しつつ、持ち運びやすいサイズに仕上げた。
学び:
プロトタイプとしては十分な機能を確認できたが、実利用者の声を反映させることで、さらに完成度を高められると感じた。
次の試作へ:
実際の利用者に試してもらい、握りやすさや収納性などを中心に改良を進める予定。
制作物の説明
本作品は、虹彩絞り機構を応用した可変式キャップオープナーです。
1つの道具でペットボトルからゼリー飲料のパウチまで、さまざまなサイズや形状のキャップを少ない力で開けられるように設計しました。軽量かつコンパクトで、外出先にも携帯できます。
使用した道具・ソフト
3D CADソフト:Fusion 360(設計)
3Dプリンター:Bambu Lab A1 mini(造形)
使用した材料
フィラメント:PLA樹脂(軽量で扱いやすく、試作に適しているため)
公開ファイル(Files)
上フレーム
下フレーム
爪
固定具
組立方法
使用部品
上部フレーム × 1
下部フレーム × 1
爪 × 6
固定具 × 4
手順1:下フレームに爪を装着
爪の3ピンになっている部分を、下フレームのガイド溝に沿って差し込みます。
👉 確認:爪が浮かずに、しっかり固定されているか確認する。
手順2:下フレームに上フレームを装着
下フレームと上フレームの外周ガイドを合わせ、位置がずれないように重ねます。
👉 確認:上下フレームのガイドがしっかり合っているかを確認する。
手順3:上下フレームに固定具を挿入
上下フレームのガイド穴に固定具を差し込み、回しながら奥までねじり込みます。
👉 確認:固定具が緩んでいないか、回転部分がスムーズに動くかを確認する。
使い方
ペットボトルの開け方
パウチ飲料の開け方
手順1:キャップにセット
ペットボトル → 上フレームの穴に差し込む
パウチ飲料 → 下フレームの穴に差し込む
しっかり奥まで差し込んでください。
手順2:キャップに合わせてサイズを調整
ペットボトル → 下フレームを時計回りに回し、キャップが固定されるまでサイズを調整します。
パウチ飲料 → 上フレームを時計回りに回し、キャップが固定されるまでサイズを調整します。
手順3:回して開ける
上下のフレームを一緒に持ち、反時計回りに回します。
👉 注意:片方だけを回さないようにしてください。
手順4:取り外し
キャップが外れたら、オープナーを持ち上げて取り外します。