自助具の概要
指先のわずかな動きでスイッチ入力を行うための自助具です。指先を外部からの圧力や掛け物などから守りながら、スイッチの位置を適切に固定できるように設計しました。
For whom ― 誰のための自助具か
筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄性筋萎縮症(SMA)などの神経難病などにより、全身的に筋力の低下が生じた方がわずかな動きを利用してスイッチ入力をして、意思伝達装置の操作やiPadのスイッチコントロールを行う場合に、使う自助具です。指先のわずかな動きでシンプルタッチスイッチを操作する方を対象としています。
How-どのように作ったか
このような自助具を作りたいという思いは以前からありましたが、3Dプリンターの知識がなく、機器も持っていなかったため、形にすることができませんでした。昨年末、「ほっと3Dカフェ」という3Dプリンターを学ぶワークショップに通い始めたことをきっかけに、製作に挑戦しました。特定非営利活動法人AIPの鈴谷瑞樹さんに、モデリングや造形について詳しく教えていただき、アイデアを形にすることができました。3Dプリンターを購入し、今回の造形は自前の3Dプリンターで行いました。
自助具の具体的な使い方と構造
アシステック・オンラインショップ製の「シンプルタッチスィッチ3」用に制作しました。専用フレーム部分にスィッチをカメラネジで固定し、センサー部分に指先でタッチする時の接点をドーム型のリヒカで守ります。「シンプルタッチスィッチ3」の外径やネジ穴の位置、ネジ穴の直径などをノギスで正確に計測し、フレーム部分を作っておきました。ドーム部分は、手の幅やスィッチのアームのカーブなどがドーム内でどういう位置関係になるかを想定しながらモデリングしました。リヒカ部分とスィッチフレーム部分の接続部を平面にすることで、スィッチが安定するように工夫しました。 STLファイル
スィッチパフォーマンスキープリヒカ
Outcome ― この自助具でできること
指先のわずかな動きを利用してスイッチ入力を行う方が、安定してコミュニケーションを続けられる環境づくりを目指しています。リヒカで指先とスイッチを覆うことで、掛け物などによる外部からの圧力を防ぎ、冬場には指先を寒さから守ることができます。また、スイッチをフレームに固定することで、調整した位置関係を維持しやすくなります。この自助具を使うことで、位置関係を守るという目的以外に、誰でも微妙な位置関係をセッティングしやすくなります。使用する方の大切な「伝える力」を支える自助具です。
今後の改善 ― さらに使いやすい自助具へ
今回は、『シンプルタッチスィッチ3』の専用フレームを製作しましたが、他のスィッチを使った場合や、使える指の動きや手の大きさが異なる場合など、今後はさまざまな方に試していただき、ドーム部分やスイッチの位置、角度などを調整していきたいと考えています。使える動きが細かい為にセッティングにコツが必要で、慣れた人でないとセッティングできないというケースについては、安定的な取り付け方や調整の仕方ができる機構を目指したいと思っています。
Why ― なぜ作ろうと思ったのか
シンプルタッチスイッチを使って指先の僅かな動きを利用して入力する場合に、外部からの圧力によってスイッチや指の位置が変化したりすると、せっかく調整した入力環境が崩れてしまうことがあります。また、冬場には指先が冷たくなり、わずかな指の動きを利用したスイッチ入力のパフォーマンスが低下することもあります。そこで、スイッチ入力に使用する指先を外部からの圧力や寒さから守りながら、スイッチそのものも適切な位置に固定できる自助具を作ろうと考えました。