作成動機

3Dプリンタを用いる「看護✕FAB」プロジェクトの一環で、福島県いわき市常磐病院の看護師の方々と、実際の現場でのプロダクトニーズを聞く機会がありました。
その中で、検体スピッツの運搬に関するヒアリングを行いました。

現状として、小規模病院から大病院への検査依頼などを行う際、検体を送るための専用の容器はなく、看護師による工夫(輪ゴム、保冷剤、ジップロック容器の活用)が行われているそうです。
市販のものは大型で、高価であるという現状に対して、安全かつ、保冷機能のある小型運搬容器があるとよいのではないかと考え、作成に取り掛かかりました。

3Dモデリング(Rhinoceros)


実際のスピッツのサイズをモデリング

スピッツが手元になかったため、実際のスピッツの大きさを検索し、モックを作成しました。

モデリング

前段階で作成したスピッツの大きさを切り抜くようにモデリングしました。
箱内でスピッツが安定が保持できるよう幅(スピッツ内径+2mm程度)に若干の余裕をもたせ、大きさを考慮しモデリングしました。

スライシング(Simplify)

Rhinocerosによる3dmデータをSTL形式でエクスポートしたものを、Simplifyでスライシングしました。
保冷機能を考慮し、ハニカム構造による空気の層を持つよう出力準備を行いました。
また、出力時間と箱の耐久性を考慮し、Gコード出力を行いました。

3D出力(Creator Pro)

出力の際は、Creator Proを利用し出力を行いました。
素材は強度を考慮し、ABSフィラメントを選択し、医療施設での利用を考え、色は白色を選択しました。

蓋の作成

箱の上部のサイズに合わせ、上蓋を3Dモデリングし、
箱と同様にスライシング、素材はABSフィラメントで出力しました。

今回、蓋が外れることによる検体が出てきてしまうことを防ぐため、100円均一で売られているマジックテープを箱と蓋に貼り付け、密閉性を担保する工夫を加えました。