3Dデータの作成

Fusion 360で3Dデータを作成します。8サイズ設計しましたが設計方法は同じなので、5.5をもとに説明します。

軸部の作成

持ち手の部分については、よりトルクをかけられるように長めのサイズに設定する。

スパナ部の作成

噛み合わせやすい様に、楕円を75度傾けた状態でスケッチする。噛み合い部の幅については、3プリンタでプリントする際の収縮を考慮してJIS規格よりも大きめに設定する。今回はプリンタやフィラメントの材料によっても変化するため、どれだけ大きくするかは各自で調整してください。

レンチ部の作成

市販品のレンチは窪みが12個ありますが、小さいサイズでは窪みが再現できないので、半分の6個にして設計を行いました。まず、内接ポリゴンで六角形をスケッチします。ポリゴン半径は呼び径よりも少し大きめにします。その後、六角形の一辺を使用して正三角形をスケッチします。この三角形がナットやボルトの頭に嚙み合わせる窪みの部分になります。

スケッチ全体図

呼び径のスケッチは、押し出し後に行いました。

押し出し

市販品では軸部とスパナ部、レンチ部で厚みが全て異なりますが、設計・制作の効率化のために全て同じ厚みにしました。こちらも規格より厚くしています。

呼び径の印字

モデル上面を選択して「作成」タブから「テキスト」を利用して文字をスケッチします。位置合わせで中央に配置し、文字高さを軸部の幅から1~2mm程小さくします。小さくし過ぎるとプリント時に文字が潰れてしまうので、なるべく大きくすることをお勧めします。コンビネーションレンチにフィレットをかける場合はそれも考慮に入れる必要があります。

文字部の押し出し

モデル上面からマイナス方向に押し出します。押し出し幅は、3Dプリンタの積層ピッチの倍数にします。私は積層ピッチ0.2mmでプリントしたので、0.6mmにしています。この押し出し量なら十分に文字が視認できます。

フィレットを入れる

そのままではトルクをかけた際に軸部とスパナ部の境目に応力集中して破断する可能性があるので、境目にフィレットを入れます。なるべく滑らかにするためにフィレット半径は大きめにします。

レンチ部にもフィレットを入れる

レンチ部にも同様にフィレットを入れます。

噛み合い部にフィレットを入れる

強度を確保するためにナットやボルトが噛み合った際に影響が出ない箇所をフィレットによって埋めるようにします。

外観にフィレットを入れる

手で触れる箇所にフィレットを入れてけがをしないようにします。3Dプリンタでプリントした後にヤスリで削っても良いと思います。

完成


STLファイルへ変換

「ボディ」より変換したいモデルを選択し、右クリックで「メッシュとして保存」をクリックしてSTLファイルに保存します。

作成した3Dデータ①

5.stl
6.stl
7.stl
8.stl

作成した3Dデータ②

10.stl
13.stl
17.stl
19.stl

Gコードの作成

Ultimaker Curaを用いてSTLファイルからGコードを作成します。

インフィル密度の設定

基本的には自動的に設定がされますが、用途に応じて設定を変更していきます。
インフィル密度は初期設定は20%ですが(プリンタによって変わります)、強度を確保するために40%にしました。

印刷速度の設定

時間の都合上なるべく早く印刷したかったので、印刷の影響が小さい場所は初期設定よりもかなり速く設定しました。
具体的には、インフィルに関しては表面から見えないので最も早く、内壁は外壁の直前に印刷するため少し遅く、外壁はプリント後も見えるため遅めにしました。初期レイヤ―速度はビルドプレートに直接プリントするため、精度が必要なので最も遅くしています。

ビルドプレート接着性の設定

ラフトを引いてその上からプリントすると最も精度が高く出来ますが、印刷物を裏返してみると印刷面が綺麗に出来なかったのでスカートにしました。これなら比較的綺麗に裏面もプリントできます。

スライスしてGコードを作成する

設定が完了したらスライスします。コンビネーションレンチが大きくなると印刷時間もその分増加するので、自分の都合に合わせて設定を再調整します。

3Dプリンタでプリントする

写真は6のコンビネーションレンチレンチですが、プリントするとこのようになります。