Why:なぜ作ろうと思ったのか

写真は、我が家の雑然としていた水切りかごです。(食洗機もありますが)

在宅ではシリンジはリユースが基本。私を含め、洗ったら水切りかごに入れる方が多く、しかもシリンジは複数使うため、他の洗い物と混じって迷子になったり、乾きにくかったりで介助者のストレスになり、衛生的にも心配です。

水切りかご内で効率的にスペースを分けてシリンジを干すラックがあれば、問題を解決できると考えました。
余分なシリンジは、独立型ラックで保管できるのがベターと思いました。

How:どのように作成したか(試行錯誤のプロセスと作成ファイル)

シリンジは「押し子」「外筒」の2パーツに分けて洗浄し、分けたまま乾燥させます。乾燥後、次の注入時にパーツを合わせて元に戻すわけですが、いちいちペーパータオルや布巾などで水気をふきとる手間はかけたくありません(=洗ったらサッとラックに投げ込みたい)。

形が異なる「押し子」「外筒」を、どう水切りかごに設置すると使い勝手がよく、通気性を保って乾燥できるのか、試行錯誤を重ねました。

※我が家で使うシリンジ(写真)は、ニプロカテーテル用シリンジ50mlカテーテルチップ(経腸栄養注入セット ラテックスフリー)、旧規格です。同シリーズの10ml用も1日1回の服薬時に使用します。

試作① 水切りかご用(低重心型)

  • 遊び心のあるデザインにしたく、かまぼこ形(赤)とくねくね形(黄)を台座に採用。
  • 全高を6cmで抑え、押し子を入れるポケットや外筒用の支柱の位置を自由に移動できる設計。等間隔で空けた直径7mmの穴に、外筒用支柱や押し子ポケットを自由に挿し込めて、押し子ポケットは向きをくるくる回せる仕組み。
  • 実際使うと、シリンジを収めるのに5cm高の支柱は短く、シリンジが傾きすぎてしまった。
  • 押し子ポケットが回ると、かえって押し子を収めにくく感じた。
  • パーツや凹凸に、汚れや水分が残りやすい。
  • シリンジの出し入れの際、ラックが倒れることが何度も発生。
  • 押し子と外筒が混在したり、パーツや凹凸が多かったりはNGと判明。

試作② 水切りかご用(グラスハンガー型)

  • 水切りかごのワイヤーフレーム最上段に掛ける形(黄色の部分が引っ掛けるところ)を試作。
  • レストランにあるような、グラスを逆さに吊る「グラスハンガー」からの着想。
  • フィラメントを最小量で設計したが、フレームに設置してみると前側が重くバランスが悪い。
  • 外筒の支柱(青色)は10cmで安定したが、4mm角だと細い。支柱がほぼむき出しなので、折れたり変形したりしそう。
  • 外筒は支柱の上から投げ込む動作なのに対し、押し子は横からスライドして収める動作になるため、特に急いでいる時にやり辛い、と判明。

試作③ 水切りかご用(ウォール型)

  • 試作①の反省点からウォール型をデザイン。台座と本体(ウォール)を分けて印刷し、組み合わせる形。
  • 外筒の支柱を7mm角に増強、本体の安定性を高める壁の裏側も補強した。
  • シリンジから垂れる水滴が流れやすいよう、台座は斜めにカット。
  • 水切りかご内で倒れることは無かったが、他の洗い物とぶつかって「押し子」がずれ落ちること(写真4枚目)が頻発したため、グラスハンガーの形状は諦めることに。
  • 外筒の支柱は10cm長&7mm角がGood!

試作④ 水切りかご用(ウォール&丸穴型)

  • グラスハンガーはボツにして、ウォールは残したまま、押し子が簡単に落ちないよう丸穴におさめるタイプを設計。
  • 押し子を上から投げ込む形になり、外筒と同じ動作でより使いやすくなって、安定性もまずまず。
  • 水切りかごの中で意外とスペースを取ってしまい、高さもあって邪魔になり、他の洗い物とごっちゃになる点は改善されていない。
  • 丸穴は採用!ウォールはボツ!

【完成】シリンジラック水切りかご用

  • 外筒も押し子も同じ「投げ入れ」動作で、水切りかごのワイヤーフレームに掛ける形で決定!
  • 押し子ポケットの底に水抜き穴を空け、フレームに掛ける部分はと6cmの高さにして安定性UP。
  • 押し子は上下どちらの向きでもポケットに収まる。
  • 外筒のフランジ(指を架けるフチ)は楕円形だが、どの向きでもスッと投げ込めるサイズに。
  • 全体的に角を丸め、雑に素手で触れても、角で怪我するリスクを低減できた。
  • ワイヤーフレームの角度でやや斜めにセットできるので、シリンジの出し入れがしやすい。
  • 凹凸を少なくし、パーツの組み立てが無い一体成型にしたので、手入れもしやすくなった。
  • 作品DL:シリンジラック水切りかご用

【完成】シリンジラック独立型

  • 試作④の丸穴を活かし、余分のシリンジの保管場所も兼ねて、独立型で再設計。
  • これまで支柱で立てていた外筒は、同様の動作で丸穴に投げ込むようにし、50mlシリンジ3本+服薬用10mlシリンジ1本の計4本を収めるスッキリとした形に仕上げた。安定性も高く、しっかり乾く。
  • 当初は単色で印刷したが、丸穴が8個もあると「どの穴に入れるのか」わかりづらいため、外筒の穴はグレーの円で囲むデザインで再設計し、印刷した。
  • 単色印刷の場合、百均の「名前シール」のような耐水シールで目印をつけるとわかりやすいかも?
  • 作品DL:シリンジラック独立型単色
  • 作品DL:シリンジラック独立型2色(圧縮、3mf)

Outcome:対象者の何がどのように変化する道具なのか

  1. シリンジ洗浄後は定位置にシリンジを収めるため、シリンジが迷子にならず、注入の準備・後片付けが非常にスムーズになりました!(夫やヘルパーさんから大好評)
  2. 特に、押し子先端の黒ゴムに残りやすい汚れはラックにあると目につくため、すぐ気づいて洗えます。
  3. 横倒しだったシリンジは縦置きになり、水切れもよく乾きが早くなりました。
  4. 長年気になっていたシリンジが整理できて、介助者もスッキリ。小さな改善でも、毎日12回の注入にはインパクト大です。
  5. シリンジが整理され、清潔に保てることは、息子の体調へのリスク減少に繋がります。