1.Title(自助具タイトル)

自助具名:むすぼう(Ver.Ⅰ)

片手でごみ袋(45L・家庭用ごみ袋・取っ手なし)を縛ることのできる自助具。

2.For Whom(対象者)

 本自助具は、脳卒中後の片麻痺者や上肢切断者など、片手での生活を余儀なくされている方を主な対象としている。また、加齢に伴う筋力低下や関節疾患などにより両手での作業が困難な高齢者の方にも活用できることを想定している。

目的

 ごみ捨ては日常生活の中で繰り返し行われる基本的な家事動作の一つである。しかし、取っ手のない家庭用ごみ袋を縛る動作は、袋口を保持しながら結び目を作る必要があり、通常は両手を必要とする。そのため、片手のみで生活している方にとっては難易度の高い動作となり、家族や介護者へ依存せざるを得ない場面も少なくないと考えられる。
 本自助具は、そのような方々がごみ捨て動作を自立して行うことができるよう支援し、日常生活における自立度の向上や自己効力感の向上につながることを目的としている。

3.Why(なぜ作成しようと思ったのか)

 本自助具を作成しようと思ったきっかけは、片手でごみ袋を縛ることのできる自助具が少なく、特に取っ手のない45Lの家庭用ごみ袋を対象とした自助具がほとんど見当たらなかったためである。 作業療法では、対象者が「その方らしい生活」を送るために、日常生活の中で困難となっている作業に着目し、その解決方法を検討することが重要である。ごみ捨ては一見すると簡単な家事動作に思えるが、実際にはごみ袋を持ち上げる、運搬する、袋口を縛るなど複数の工程から成り立っている。その中でも袋口を縛る動作は、片手では実施が難しく、自立を妨げる要因の一つとなる可能性がある。

動作分析(実際に実施してみて)

 実際に片手のみでごみ袋を縛ることを試みたところ、「袋を保持する動作」と「結び目を作る動作」を同時に行うことが難しく、片手では十分な張力を維持できないことが分かった。そこで、保持機能を補うことができれば片手でも結び動作が可能になるのではないかと考え、自助具の作成に取り組んだ。

4.How(どのように作成したのか)

 まず、ごみ袋を縛る動作について詳細な作業分析を行った。分析の結果、ごみ袋を縛る際には「袋口をまとめる」「袋を保持する」「輪を形成する」「結び目を締める」といった複数の工程が存在し、その中でも「保持する」工程が片手では大きな障壁となることが明らかとなった。 そこで、自助具が使用者の代わりに袋口を保持し、「第二の手」として機能する構造を検討した。また、片手のみで安定して使用できるよう、椅子座位で大腿部の下に自助具を挟み込み固定する方法を採用した。これにより、追加の固定器具を用いることなく安定した支持点を確保することが可能となった。

製作環境

 設計にはFusion360を用いて3Dモデリングを行い、試作品を製作した。その後、実際の45L家庭用ごみ袋を用いて繰り返し試用しながら、袋の引っ掛けやすさや固定性、片手での操作のしやすさについて検討し、形状の改良を重ねた。全部で3個のパーツ。
【製作環境】
PC:Windows11
CAD:Autodesk Fusion360
3D Printer:Anycubic Kobra
スライサー:UltiMaker Cura
フィラメント:HZST3D1.75mm PLA 3D

パーツ概要(取り付け方)

差込口に円柱構造を挿入し、反対側から固定リングを装着して固定する。

【補助物品】

滑り止めを活用することで、より安定性(固定力)の向上が期待できる。 (必要であれば、写真と同様のものを購入していただき、本自助具に滑り止めを取り付ける)

5.Outcome(結果)

 完成した自助具を使用することで、片手のみでも取っ手のない家庭用ごみ袋の口を縛ることが可能となった。 自助具が袋口を保持することで、使用者は片手のみで袋端を操作できるようになり、通常は両手を必要とする結び動作を遂行することができた。また、自助具を大腿部の下で固定する構造としたことで十分な安定性が得られ、結び目を締める際にも自助具が大きく動くことなく操作を行うことができた。

さらに

 本自助具は椅子座位での使用を前提としているため、安全性にも配慮されている。ごみ袋を締め込む際には袋を引く動作が必要となるが、立位では重心移動によりバランスを崩す可能性がある。特に片麻痺者や高齢者では転倒リスクが高まることが考えられるため、座位で実施することで身体の安定性を確保し、安全に作業を行うことができると考えられた。
 以上より、本自助具は片手でのごみ袋結び動作を実現するだけでなく、安全性や実用性の面でも有用である可能性が示された。