For whom:対象者
脳卒中などにより片手に不自由のある方
Why:なぜ作ろうとしたのか
病棟での食事場面において、ゼリーやヨーグルトなど
カップデザートの容器を開封に介助を必要とする方が多くみられます
。病棟内の移動やADLが自立されている方でもカップデザートの開封は難しいケースもあり、食事時に
申し訳なく開封をお願いされる
ということを経験します。片手に不自由がある方にとっては、容器を固定しフタを開ける作業は難易度が高く、デザートを楽しむことが難しい状況です。
また、カップデザートの開封を助ける自助具は市販されていないのが現状
です。
そこで、退院後も自立してカップデザートを楽しめるよう、片手で簡単にカップデザートが開封できる自助具を考案しました。
How:どのように作成したのか
1.チームで自助具を設計検討
2.試作品の検証、修正
3.アタッチメントを追加 デザインの検討
4.アタッチメント試作品の検証
5.完成
1.チームで自助具の設計を検討
3Dプリンターチームで【片手でゼリーやヨーグルトなどのカップデザートの開封ができる自助具の開発】をテーマにブレインストーミングを実施。案を作成し、3Dプリンターで試作品を作成した。
2.試作品の検証
試作品を使用し、市販のカップデザートを開封し使いやすさを検証した。チームメンバーで議論を重ね、試作品の改良を繰り返した結果、20個以上のデザートを食べることになった。笑 また、患者様にも病院食のカップデザートで実際に自助具を使用していただき、意見を頂いた。
様々なカップを開けれるように形状、高さ、溝を修正。
−高さを6.8mmから7.6mmに変更
−溝を1.5mmから2mmに変更
−低いカップに対応できるよう溝の数を13から16に変更
−四角い容器が開けれるよう底面の形状を修正
−固定がしっかりできるよう吸盤の個数・位置を検討
3.アタッチメントの追加
−高さの低いカップが開けづらい
−カップを開けられたが、片手で食べるのも難しいのでは?
という問題点から、高さの低いカップをより安定して開封でき、自助具の上で容易に食事ができるようアタッチメントを追加を決定。チームで形状についてブレインストーミングを実施し、試作案を作成した。
4.アタッチメント試作品の検証
作成したアタッチメントを使用し、カップデザートを開封し検証を行った。
様々なカップデザートをひたすら開封し、
開封⇒修正⇒開封⇒修正⇒・・・・を繰り返し、
高さを上げるだけでなく、自助具の上で食事がしやすいように固定ができる様に修正。
5.完成
アタッチメントが収納できるように修正。
完成!!
one hand cup opener
attachment
吸盤
**印刷設定**
使用フィラメント:PLA Basic
壁面層数:3
トップ面層数:2
充填密度:10%
Outcome:対象者の何がどのように変化する道具なのか
カップデザートの開封が、片手でもっと簡単に!
カップデザートの開封は、片手で行うにはとても難しい作業です。歯を使ったり、太ももに挟んだりといった無理な方法を試して、口元や衣服を汚してしまったりとストレスを感じる場面もあったかと思います。 この自助具があれば、ゼリーやプリンのカップを片手で簡単かつ自然に開けられます。
「開けてもらう」から「自分で開ける」へ。
誰かに手伝ってもらう必要がなくなり、食事の時間が大きく変わります。介助が必要だった作業を自分の力でできるようになることは、単なる作業の自立にとどまりません。 「自分で食べられる喜び」を実感でき、食事への意欲や生活の満足感にもつながっていきます。