Inkscapeインストール

InkscapeはX Windowを使用しているため、MacやWindowsにX11 X WindowシステムXQuartzをインストール。 
その後、Inkscapeをインストール。

2Dデザイン

Inkscapeでレーザーカッター用のデザインをします。ボディー、ネック共に、板を貼り合わせて厚みを作ることにしたので、2Dのデザインです。

Inkscapeでのデザイン

ボディーは3レイヤー、ネックは2レイヤーに分けて、それぞれ別形状にカットするようデザインします。軽量化するために、真ん中と裏側のレイヤーはくり抜きます。プレーンSVG形式に変換し、Corel Drawで読み込んで、レーザーカッターへ出力します。

形状とフレット位置設計

時間がなかったので、家にあったウクレレの形状やフレット位置(本来は位置を正確に計算する必要があります)を敬意を表しつつそのまま踏襲させていただきました。すみません m(__)m 日本の老舗ウクレレメーカーキワヤ商会のFamous というブランドのものです。

製材

富士山で切り出して約15mm厚に切り出していただいた板。すっかり放置していたら、乾燥によりこのように反って、カビも生えてしまいましたので、製材していただきました。

レーザーカッターで切り出し

全て板を貼り合わせることにしました。それぞれのレイヤーを、レーザーカッターで切り出します。フレットを打ち込む溝も、レーザーで掘ります。

追加手加工による切断

残念ながらレーザーが貫通せず、切断しきれない部分が多数残ってしまいました。ネックポケット部分も、レーザーカッター用のデーターに問題があったようで、切断されませんでした。そのため、ドリル、カッター、糸鋸等で、手作業で切断し、整形。この作業に、かなりの時間を費やしてしまいました。

切断完了

まだペグ(弦巻き)を取り付ける穴が残っていますが、ようやくほぼ切断が完了しました。

全レイヤー接着

後で反らないように、板目を互い違いにし、クランプで圧着します。

接着剤

接着剤は、日本で一般的に使用されている酢酸ビニル樹脂系ではなく、脂肪族エマルジョン系のアメリカ製Titebondを使用。

ボディー接着

3レイヤーを接着します。クランプで約1日圧着固定。

ネック接着

2レイヤーを接着。クランプで約1日圧着固定。

ボディー加工

貼りわせたボディーを加工します。

焦げを落としてヤスリで仕上げ

レーザーカッターでの切断面の焦げと、貼り合わせた段差を、ヤスリで削ります。その後、紙ヤスリで表面を仕上げます。

ネック接続部加工

普通ウクレレやアコースティックギターは、ネックはポケットにはめ込んで接着しますが、今回はエレキギターのように、金属プレートと木ネジでジョイントします。

弦を裏に通す穴の加工

普通のウクレレやギターは、ブリッジのところに結んで抜けないように弦の端を固定しますが、今回はボディーの裏側まで通して、裏側で結んで抜けないように固定します。

ブリッジ製作と加工

サドルをのせる、ボディー側の一部高くなったところです。レーザーカッターで切り出したものに、サドルを載せる幅の溝を切ります。

ネック加工

2枚の板を貼り合わせたネック部は、そのままでは演奏できないので、ヤスリで半円筒形に削りだします。

ヤスリで削る

楽器メーカーだと、今時普通はNCルーターとかで削るのでしょうが、完全手作業で削ります。

ペグの穴あけ

この部分もレーザーカッターで切断しきれなかったので、電動ドリルで穴を貫通させました。

フレット加工

フレットを打ち込む溝に、ウクレレ用のフレットを打ち込み、整形します。

フレット購入

フレットは、ウクレレ専用のものです。ギター用のものより、高さが低く、幅も狭いものです。大和マーク株式会社の通販で購入します。個人にもお手頃な価格で販売していただけるので、非常に感謝しています。購入した段階では、各フレットの長さに切断されていませんので、各ポジションの幅におおよそ合わせて切断します。

フレット溝加工

実験の際はほぼちょうどの幅の溝がレーザーカッターで掘れたのですが、本番は残念ながら微妙に幅が足りなかったので、フレットが打込めません。フレット溝専用のノコギリ等で、フレットの溝を追加加工。

フレット打ち込み

適当な長さに切断したフレットをハンマーで打ち込みます。

フレット端加工

ネック端からはみ出た部分を切断した上で、演奏する指に引っかからないよう、フレット端加工専用のヤスリで、端を斜めに削ります。その上で、端の角やバリをヤスリで削って、若干丸めます。

ナットとサドルの加工と取り付け

ネックの端にあるナットを加工し、取り付けます。

鹿の角でナットは作れるか

普通ギターやウクレレのナットは、ユリア樹脂、10万円クラス以上のものは牛骨、もっと高いものは象牙が使われます。詳しくはWikipedia 象牙等に譲りますが、象牙目的の密漁が増加したため、ワシントン条約(CITES)の締結により1989年より象牙の輸入禁止措置がとられています。今回は、渡辺さんより、鹿の角を使ってはどうかというご提案をいただき、ご調整いただいて、ホールアース自然学校から、鹿の角を送って頂きました。ありがとうございます。

鹿の角加工

ナットの材料である牛骨は、普通ナットに適した形状の直方体に加工されて数百円で販売されています。まずはこの形状に、鹿の角を金鋸で加工します。それなりに硬く、人力なので、結構時間がかかり疲れました。

ナット取り付け

普通は、後で簡単に取り外せるように瞬間接着剤等で接着しますが、今回は接着はせず、とりあえず幅に合わせて置くだけにしました。
その後、弦の高さに合わせて、弦を置くところに溝を掘ります。

ナット溝加工

弦の位置と、フレットの高さとのバランスをとりながら、弦を置くところに溝を掘ります。

サドル加工

ナットに対して弦の反対側にあるのが、サドルです。普通はナットと同じ素材が使われますが、鹿の角をこの大きさに人力で加工するのは時間切れで、別途購入した牛骨のものを使います。

ペグ取り付け

ウクレレ専用のペグを取り付けます。世界的に評価の高いGOTOH 後藤ガット有限会社 製です。ギターと違って、ギヤ式ではなく、伝統的にはフリクションペグ(摩擦式)です。チューニングは狂いやすいですが、こちらの方がウクレレっぽいので、フリクションペグにしてみました。

完成

弦を張って完成