1. 材料(使用した技術・デバイス)

  •  MESH人感センサー
  • MESH LEDライト
  • スピーカー
  • スマートフォン
  • 3Dプリンター
  • 音声録音・再生システム(MESHアプリ)

きっかけ

最近、強盗や空き巣のニュースをよく目にします。昨年9月には鎌倉市で質店への強盗事件が発生し、防犯の重要性が改めて注目されました。こうした犯罪を防ぐため、防犯カメラを設置する家庭も増えています。でも、私たちは疑問に思いました。防犯を強化することで、地域のつながりが薄れてしまうのではないか? 監視カメラが増えると安心感は得られるかもしれませんが、同時に「冷たい」印象を持つこともあります。では、防犯と温かさを両立する方法はないのか?そんな思いから、私たちは「マモリビ」を考えました。

現状

強盗について調べて見ました

① 全国のデータ

  • 令和5年の強盗事件発生件数:1,361件 
  • 泥棒の発生件数は強盗よりも圧倒的に多い(約38万件)https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/jokyo_tokei/jokyo/hanzai.html

② 鎌倉市のデータ

  • 鎌倉市の強盗件数:年間1件
  • 泥棒の件数:年間約435件→ 強盗よりも泥棒の被害が深刻https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/anan/hanzaijouhou26.html

③ 警察インタビュー

  • 強盗は住民の名簿を持っており、事前にそれを確認してから犯行に及んでいる→非常に大胆で手段も選ばない、近年は犯行の手口も凶暴化している 例:中に人がいようとも防犯カメラを叩き割ってまで侵入する
  • 強盗に関しては、警察でも取り組むことが難しい問題
  • 泥棒は基本的に捕まるのを嫌がる
  • 泥棒は人に気づかれないよう慎重に犯行に及ぶ→「光」や「人の目」などを嫌う
  • 特に、一人暮らしの高齢者が狙われやすい

④ 結論

全国のデータや鎌倉市のデータを見ても分かる通り、強盗よりも泥棒の方が犯罪件数が圧倒的に多い。
また、警察へのインタビューを通し、泥棒の防犯対策の方が講じる余地があると言うことが明らかになった。
→そこで「泥棒」の対策に焦点をおくことにした。

ファーストプロトタイプ


① 内容


まず、泥棒などの被害を直接的に解決するために、このプロトタイプ1を制作しました。
・家の前の人通りを調査して、1日に家の前を通る人数の平均値を出し、基準値をあらかじめ設定する。
・通常時は黄色に光り、基準値を超えたときには赤く光る仕組みにし、住民が一目で街の状況がわかるように。

この製品をもって2度目の警察へのインタビューに行ったところ、間接的に防犯対策を行う方法があると教えていただきました。それが、地域コミュニティの活性化を行うことで、防犯に繋げるということです。
警察へのインタビューの結果を受けて、私たちは「地域コミュニティの活性化×防犯」を目指し、また考えを練り始めました。

②課題点

・通行人が多い=危険とは限らないため、誤った警戒心を生んでしまう可能性がある
・泥棒にも街の状況を知られる
→これを設置することで逆に、泥棒が犯行に及びやすい環境を作ってしまうのではないか?
・本当に泥棒を予防できるのか有効性が不確か

③再度インタビュー

泥棒が増える原因
  • 近隣の交流が減少 → 周りの住民が異変に気づいても通報しにくい。
  •  防犯意識の低下 → 見知らぬ人がいても気にしない環境が生まれている。

効果的な防犯対策
  • 泥棒は「音」にも弱い → これまで注目していた「光」だけでなく、「音」を活用する防犯対策が有効。
  • 近隣住民の協力が重要 → 近隣住民との交流を増やすことで、お互いに「助けあい」の気持ちを持てるように。また、不審者が警戒しやすい環境を作る。

セカンドプロトタイプ


①内容

  • MESH人感センサー+スピーカーを搭載
  • 人が通ると録音した音声が流れる 例)「こんにちは〜」「今日も良い1日を」
  • 機械音ではなく、人間の声であるため、温もりを感じる
  • スマートフォン通知機能
  • 設置場所:一軒家の前の人が通るところ、表札近く
  • 対象:一軒家に住んでいる人

②ユーザテスト

畠中静恵さん(72歳)、鎌倉市近郊の葉山町の一軒家にお住まい
  • 挨拶の増加:「マモリビ」を設置したことで、近隣住民とのコミュニケーションが増えました。玄関前を通る人に、自動で「こんにちは」や「良い1日をお過ごしください」といった音声が流れるため、通行人が自然に挨拶を返すようになりました。 
  • 例: 毎朝新聞を配達してくれる新聞配達の方から「挨拶が聞こえるので、つい返したくなる」とのコメントがありました。
  • 「人の気配がある家」としての印象:不審者に対して「人の気配がある家」と印象づけることができ、侵入の抑止力になる可能性が確認されました。特に、音声で地域住民の存在感を示すことが効果的でした。

サードプロトタイプ/完成

  • 音量とタイミングの調整機能を追加(昼夜で音量変更可能)
  • スマートフォンとの連携強化(来訪者の記録、音声カスタマイズが可能)  →録音内容の変更が楽しみに!「今日はどんな反応があるかな?」というワクワク感も!
  • 「クールダウン時間」の設定で、短時間に何度も音が鳴るのを防止

使い方

  1. 設置 玄関近くに人感センサーを設置し、通行人を感知できるようにします
  2. 音声 通行人を感知すると、録音された挨拶音声が流れ、LEDライトが光る地域のつながりを促進します。
  3. カスタマイズ  スマートフォンで音声やタイミングを変更できます。音量調整も可能で、昼夜で異なる音量設定ができます。
  4. 通知機能 センサーが反応すると、スマートフォンに通知が届き、訪問者の情報を確認できます。
  5. スマート連携 アプリを通じて、すべての機能を遠隔操作し、柔軟に設定変更が可能です。

特徴

  • 防犯+地域のつながりを生むハイブリッドシステム
  • 温かい録音音声で「冷たさのない防犯」
  • スマートフォン連携で簡単操作・カスタマイズ可能

思い

私たちが「マモリビ」を開発したのは、防犯だけでなく、地域のつながりを深めるためです。防犯対策が冷たく感じられがちですが、人々が顔を合わせ、自然にコミュニケーションを取ることで、地域全体の防犯力が高まり、安心感が生まれます。「マモリビ」は、ただの防犯装置ではなく、防犯と地域の絆を同時に育むツールです。私たちは、これを通じて、温かく安全な社会を作りたいと考えています。

謝辞

「マモリビ」の開発にご協力いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。鎌倉市や太宰府のサポーターの皆様、貴重な情報提供と温かいサポートをありがとうございました。また、学校の先生方には、日々の指導と助言をいただき、感謝しています。皆様の支えがあってこそ、このプロジェクトを実現できました。今後ともよろしくお願いいたします。