右利きと左利きのチョークの持ち方の調査
まず、左利き・右利きの人が鉛筆とチョークを持つときの持ち方を調査しました。
左利き、右利きの人が「一」を書くときの鉛筆・チョークを持つ角度をそれぞれ計測した。縦線を引くとき、右から左へのはらいなどで角度が変わるが、左利きの人が一番書きにくいのが左から右への線を引く部分らしいので、「一」の表だけ掲載した。
仮説
「体と鉛筆」「紙と体」の角度が全員ほぼ同じなのに対して、「机と鉛筆」の角度は右利きと左利きでは左右逆になっている。 また、「黒板とチョーク」「チョークと地面」は右利きの人はほぼ同じ角度だが、左利きの人は右利きの人とほぼ同じ角度の人・異なる角度の人に別れた。 この調査から、左利きの人が黒板に文字を書くときに、自分の書きやすい角度でそれぞれ書いていることが分かる。
おゆまるを使って試作
調査の結果から、チョークと持ち手が90度の角度の時に書きやすいと考えられたため、おゆまるを使い試作した。緑の持ち手部分を鉛筆を持つように持ってもらい、実際に黒板に文字を書いてもらった。書きやすいということだったので、この角度で実際に制作することにした。
市販のチョークホルダに取り付けるタイプの作成
TinkerCAD
を使ってダイソーで販売しているチョークホルダーに取り付けて使えるように設計した。
持ち手の部分の長さやチョークホルダをセットする部分の広さなどを何度も変更して、一番持ちやすいと言われた長さに調整した。
Anycubic
でのプリントの際には設計を失敗してプリントがうまくいかないということが何度もあり時間がかかった。
ただし、ダイソーで販売しているチョークホルダー以外にはセットできないため、チョークを直接取り付けられるオリジナルのチョークホルダを製作することにした。
髪留めを参考に試作
ダイソーのチョークホルダは直接チョークを押し込んで使うものだったが、別の構造で作れないか考えた。その結果、挟んで使う髪留めを見つけ、チョークを挟んで使う形状が良いと考えた。
制作過程1
髪留め用のバネ
が探しても見つからなかったため、まず、髪留めを分解し、バネを取り出し、使用することにした。 画像のように設計し、つまみの左側にある穴の間に設置、穴とバネに
針金
を通すことで固定した。
制作過程2
最初に作ったモデルは穴が小さくて、固定用の針金が通らなかった。また、穴の位置や大きさが少しずれるとうまく組み合わさらなかいため、何度も3DCADのモデルを作り直した。また、穴を広げすぎて組み合わせると根本の部分が割れてしまったり、やはり設計のミスでプリントが何度も失敗した。
制作過程3
穴を広げすぎると強度が落ちる問題は、割れてしまう部分を補強することで解決した。
制作過程4
髪留めから取り出したバネの角度とチョークホルダの持ち手の角度の違いから、バネは適当な角度にペンチで変形させて使った。そのため、設計・プリントがうまくいったものも、最後にバネを取り付ける時の針金の曲げ具合やバネの角度の調整が少しでも違うと挟む力が弱くなり、チョークが固定されないと言う問題が起こった。この問題は、バネを固定するための針金を通す穴をギリギリまで小さくすることで解決した。
一旦完成
何度か微調整のために作り直した。
その後、左利きの人に試してもらったところ、持ち手の長さが短いということが分かり、長さを調整して完成した。
プリントした見た目が少し汚いので、綺麗にしたい。
再度試作
持ち手の部分が少し持ちづらいという意見をもらったので、持ち手の形状を変えることにした。左利き用の書き方鉛筆を参考にして、指の当たる部分に凹みをつけた。
バネを支える針金を変更
バネを針金で固定したが、針金が柔らかくて使っているうちに曲がってしまう。だから、針金ではなく
釘
を使って固定することにした。(ネジは太すぎるので)
釘の先を潰そうとしたら、チョークホルダーが壊れた。
サイズの微調整
釘の先は潰さず、
半田
で固定することにした。けれど、針金と比べて釘が細いため、チョークホルダーの穴の位置やサイズを微調整した。
また、プリントが綺麗にできないためフィラメントを変更し、温度を200 度から220度にした。
完成
半田
の熱でプラスチックまで溶けてしまうので、釘を使うことはあきらめた。その代わり、
ネジ
で固定することにした。そのため、ネジを通すための穴を大きくした。何度かプリントしたが、挟む力が弱くなってチョークが落ちてしまうので、チョークを挟む部分の半径を小さくしたり、穴の位置などを微調整して完成した。
3サイズ作った
最初は私が持ってちょうどいい凹みをつけた持ち手にしたけれど、男の人や低学年の子も使えるように子供用、女性用、男性用の3サイズ作り直した。持ち手の長さや凹みの深さや幅などが少し違います。
感想
実際に左利きの人に使った感想をもらった。
・私はチョークで黒板に文字を書くと、チョークが引っかかって文字が上手く書けなかったり、チョークを他の人よりもよく折ってしまうので、黒板に字を書くのが苦手でした。これは鉛筆を持つ持ち方で黒板に字を書くことができるので便利です。
・黒板に横書きの文字を書くときに、自分の腕で書いた文字が隠れてしまいます。それで文字が斜めにゆがんでしまうけど、これを使ったら、書いた文字が隠れませんでした。