For whom:対象者

ペットボトルが開けられない人、手指の筋力低下、麻痺、変形、痛みがある人でもペットボトルを開けることができる。

Why:なぜ作ろうと思ったのか

ペットボトルオープナーは作成している人も多く、既製品も売られているが、人と違う、3Dプリントが楽しめるものができなかと考えていた。ラチェットレンチを使用しているときに、この機構があれば使いやすいのではないかと閃いた。

How:どのように作成したか

試行錯誤のプロセスと作成ファイル

デザインを考える(アイデア)

自助具を考えるときに、動く範囲が少なく、力が少なくて済む、片手で操作が可能ということを念頭に考え、ラチェット機構があればよいなと思っていた。最初のイメージはミニ四駆のワンウェイホイール。

はじめは、印刷一回で、完成するように

ペットボトルオープナープロトタイプstl
PETGフィラメント1種類、1回の印刷で出来上がるように、45度の角度で組み合わせて、上下に外れないようにしている。中身は歯車と爪のような仕組み。蓋が入る穴はテーパー状で深く、ペットボトルの蓋が入り切ってしまうため、押し出す部品をつけ、刺して一緒に保存可能なように作る。

オープナープロトタイプ中身JPG
印刷後、内側の部品と外側の部品が外れないことがある。ラチェット機構も固くなってしまい、気持ちよくは使用できず、片手での操作は難しかった。また、耐久性に難あり、使用しているとゆるみが出てくる。

きっかけ

プロトタイプがうまくいかない中、フィラメントストッカーを作成すときに軸にBB弾を使用したボールベアリングを作成していたため、活用できないかと思い、とりかかった。

モデリング

・ペットボトルの蓋のサイズは何種類かあるが、手近に多く見るサイズで約、30φを想定している。滑り止めの凸の数は数えると60個。水のペットボトルは数が多い

・ハンドルを回すと半円の部分がbb弾を外側に押し、外側部分の溝にはまり固定される。逆に回しても、溝にははまらないようになっており、ラチェット機構となっている。

・bb弾(6mm)は14個入っており、角度は約25度でラチェット機構が働く。物理は苦手で、計算はしていない。現物合わせで、サイズ調整、モデリングを変更する。緻密に計算すればもう少し小さくなるかもしれない。

モデリング3(stlデータ)

PETG
ペットボトルオープナー外側
ペットボトルオープナー蓋
ペットボトルオープナー内側

TPU
ペットボトルオープナーグリップ
ペットボトルオープナー凸のカバー × 3

他、準備物

6mm bb弾 14個
マグネット 4個

組み立てる

PETGはサポート材使用するので、取り外す。

1.4つの穴にマグネットを入れる。(なくてもよい)
2.外側の部品に内側の部品を入れ、bb弾を14個入れるて、回して止まるか確認する。
3.蓋をして、3つの出っ張りとハンドルにカバーとグリップをはめ込む。

モデリング2

・初めは部品をねじで固定していたが、ねじなしで、十字の形にして、磁石を埋め込むところ、持ち手、カバーをはめ込むところを兼用する。

・冷蔵庫周りで使用することを考え、磁石があればしまわなくてもよいと、磁石を埋める。フィラメントは持ち合わせが透明のみで、文字が見えにくい。レジンで色付けして、矢印を入れ、開ける方向が分かりやすくする。

実用テストと課題(アンケート)

他病院にて実用テストとアンケート調査を実施していただく
  • 対象者:15名(女性:13名) 
  • 年齢平均:68歳 
  • 主な疾患:リウマチ、手指の整形疾患等 
  • 利き手握力平均:15.46kg

(良い点)
でっぱりが3つあるのが良い。簡単にあけられる。力が少なくて済む。動作が単純、回さなくてよい。手首をひねらなくてもよい。短時間で開閉できる。安全に使える。大きいから持ちやすい。

(課題)太字は改善済み
持ち運びには大きい。文字が見えにくい。回転の方向が分かりにくい。でっぱりの部分はなくてもよい。角がないほうが良い。色は他にあってもよい。材質が滑りやすい。持ち手が長いほうが良い。
商品化されますか?といううれしい反応もあった

Outcome:対象者の何がどのように変化する道具なのか

大きく持ちやすく、安全で、単純な少ない動き、少ない力で、簡単、短時間でペットボトルを開閉することができた。

使用しているところの動画