材料を集める
卵 Mサイズ(58~64g)
測定
パッケージ対象になるMサイズの卵を測定します。
計測には最初は3Dレーザースキャナを使用しましたが、
ノギスでのアナログ計測の方が、より適切な結果が出せました。
規格は重量で決まっていますが、複数のサンプルを計測した結果、
サイズは長径55~60mm、短径40~45mmの範囲に収まることを確認しました。
デザインスケッチ
アイディアスケッチ
思いつきを描き留めておきます。
今回のデザインのテーマは「自然界で最も衝撃に強い構造は、卵殻構造である」という事。
卵を護る卵型のデザインです。
3Dスケッチ
テーマが決まったら、早い段階からアイディアを3Dスケッチします。
まず、パッケージ対象の卵と、それを護る卵殻を生成します。使用環境は Rhino for Mac 5 WIPです。それと、プラグインのGrasshpperを使用して、できるだけ実線を描かずにモデルを生成します。この一手間で、のちの修正・変更も容易になります。
3Dモデリング
基礎構造検討
卵型の理想形を求めて、様々なバランスを試します。肉眼で観た時に美しく感じるラインを追求して、卵モデルを生成します。(ここで3Dスキャンした卵のデータも使用してみましたが、あまり参考にはなりませんでした。)
ここで決定した曲線は、すべての造形の基礎としてGrasshopper上で引用されます。
パッケージの開閉構造は、はじめは長辺の側面で2分割するつもりでした。しかし、卵形構造の一番弱い部分に開閉機構を設けることになり、また、弧の美しさをスポイルすることになるので、卵の短径に合わせた栓を設けることにしました。
内部構造検討
外殻の内部に、衝撃を吸収するための内部構造を設けます。
3Dボロノイ構造によるランダムなサイズの気室・オーゼティック構造による衝撃分散パターンなども検討しましたが、内部構造も自然界からアイディアをいただく事にました。
長辺の端には卵形の気室を設け、短辺方向には、蓮根の穴をイメージした気室を放射状に配置します。
構造変更
Mサイズという規格の卵にも、様々なサイズと形状があります。その違いを吸収するために、内部へ納めるケースを追加しました。アウターシェルとコアシェルの2層構造になることにより、対衝撃性が高まることも期待できます。
コアシェルの内部には、卵のサイズの違いを吸収しつつ固定するために、扇形のクッションを設けます。
気室の生成
コアシェルを収める開口部を確保しつつ、気室を設けます。
断面とレールになる曲線をGrasshopperで配置して、バランスを見ながらパラメーター制御で形状を調整します。
モデルを生成
各パーツの細部まで形状設定ができたところで、Grasshopperから"Bake"して、3Dモデルを生成します。
3Dプリント
プリントモデルの準備
3Dモデルをパーツ毎に分解して、STL形式で保存します。
STLモデルをスライサーに読み込み、3Dプリント用のGコードを生成します。
卵型形状は極端なオーバーハングが無いので、サポートはほとんど必要ありません。しかし、そのままではプリント中に倒れやすくなるので、ベッドへの設置面積を確保するために、最低限のサポートを追加します。
インフィルにも衝撃吸収性を期待して、体積率を10%に落とし、パターンはフルハニカムとします。
プリントアウト
生成したGコードを3Dプリンタ制御ソフトへ送り、プリントアウトします。
出力に使用するプリンターは、Genkei atom RC初期型をベースに、ホットエンド形状変更・モデル冷却ファン追加・オートベッドレベリング追加等の改造を施したものです。
制御ソフトは、スライサーと同じ "Simplify 3D" を使用しています。
プリント失敗
コアシェルのプリント完成直前に、ワークがサポートから剥がれて転倒。出力失敗。
この後、基板系のマシントラブルが発生。残念ながら、コンテストのエントリー締め切りには、間に合わないことになりました。