はじめに
■チーム結成の経緯
FAB3D CONTEST 2020「オンラインチーム部門」
参加者にて結成された。
Petari
を使った「困りごと」共有、グループ分けで、テーマ「公共」に関心をもったメンバーが集結。集まってみると、「黒髪」「眼鏡」「男子」の共通項があったため、チーム名を「メガネブラックス」と命名、チームが結成された。
Session 1 FABのあるまちづくり(公共空間)
背景 ~「公共」からゴミへのテーマ絞り込み~
初のブレイクアウトセッションで「公共」問題について討論。広すぎる。。。と思いつつも、多く上がった「ゴミ」に焦点を当てることに決定した。その背景としては、図書館等の公共施設でも、施設の内外問わず、「ゴミ」は問題となること、通勤途中の公園の現状など、チームメンバーによる経験談をまとめたことがある。ただし、どういうゴミか、タバコ?空き缶?ペットボトル?弁当?という点については、様々な意見が出たが、まとまらず、次回持ち越しとなった。
経験・意識の共有
グループワークの第1段階として、各自の経験談を持ち寄り、そこから問題意識の共有を行った。
その中で上がった経験談としては、下記のようなものがあった。
・通勤途中の公園などで、よくゴミが捨てられている
・駐輪してある自転車のカゴにもゴミが捨てられている
→ゴミが捨てられていると、捨ててもよい、という心理が働く?
・駐輪してある自転車のサドルが盗まれることもある
・たばこのポイ捨てが目立つ
・自動販売機横のごみ箱が、オーバーフローしていることが多い
Session 2 問題を明確にし、チーム一丸となって
このままではデザインがまとまらないんじゃ。。。
時間をおいてみてみると、同じごみ問題といえど3人のデザインの”対象”が微妙に違う。このままではデザインがまとまらないのではと思い、解決する問題を明確にして1つの目標に対しチームで取り掛かれるようする。
問題の明確化
公共のゴミ問題に対して皆で話し合いました。”どんなゴミ問題があるのか”から”なぜゴミ問題があるのか”といった流れで話していき、最終的に”
一般の人たち(ポイ捨てゴミを掃除する人以外)はそもそもどれだけゴミが捨てられているか認識してないんじゃないか、まず現状を認識し問題意識を一人一人持つことが解決の第一歩になるのではないか?
”という結論に落ち着きました。
では、どうやって解決する?
問題が決まったので次は解決策です。みんなで話し合ってどんなアイデアがあるか出し合いました。
ゴミを組み合わせたモンスター⇒目につきやすいように
たばこの吸い殻は見て気分いいものではないので何か美しく見せる方法
どれだけ量が捨てられてるか見て分かるように一定量でブロックにして達磨落としみたいに
次回はどのアイデアでいくか決定してそれを具体的な形に落とし込んでいこうと思います。
Session3 改めて公共を考える
Fabble
3回目のセッションでは、まずFabbleでのドキュメンテーションの方法を学んだ。独特な使い心地だけれど、段落分けもできるしあとから並び替えることもできるのでなんだか使えそうだ。
初心にかえる
前回までの整理をしながらFabbleにどう書いていくかを話し合った。前回は「ゴミの量を知ってもらうオブジェ」というところまで決まったが、まだ具体的なモデリングはできていない。そこで初心に返り、各自の問題意識を共有したり、最初にPetariを使って行ったアイデア出しを見ることにした。
そのまま書く
これまでのセッションを振り返り、公共の問題をもう一度考え直すというプロセスをそのままFabbleへ書くことにした。探検していれば迷ったり、立ち止まったりすることもある。僕たちは今、立ち止まっている。この状況をFabbleへ素直にドキュメンテーションすることに意味はあると思う。
モデリングはそれからだ。
Session4 3Dデータをつくる
「オブジェを作る」という点については、共通認識を再確認。
タバコを使ったジャングルジムのようなオブジェをつくる、という意見もでたが、「まちのみんなの困りごと」を解決する、という点から、地域のごみ問題について考えてもらうきっかけづくりができないか、ということとなった。
その中で、当初から出ていた、「空き缶をつかったオブジェ」案が再浮上。空き缶をつなぐジョイントを作成し、子供たちに向けたワークショップを開催、実際の空き缶とジョイントを使い、自由な発想でオブジェを作ってもらえるようにしよう、となった。
ワークショップを通じて、地域のごみの量を知ってもらうきっかっけにもなると考えている。
ジョイントを作る
■
寸法
空き缶を使ったオブジェを作るためのジョイント、となるため、空き缶のサイズを確認。飲料の空き缶の寸法(直径)は2種類(直径53mmと66mm)であることを確認。3Dパーツの内径は+1mmとした。(両脇で0.5mmのクリアランス) ジョイントと空き缶の重なり部分は両側30mmとし、缶も見せることができるように工夫した。(一番背の低い160ml缶は高さ91.6mmなので、91.6 - (30×2) = 31.6mm) 参考:
昭和アルミニウム
■
バリエーション
様々な組み合わせができるよう、5種類のジョイントを用意した。
延長(青)
方向転換(緑)
斜め(赤)
寸法違い(黃)
6方向(オレンジ)
Session 5 3Dプリンターで出力してみる
まずは黄色のパーツから始めてみたが一発で成功した。案外すんなりと行くかと思ったが次のオレンジ色のパーツでつまずいた。
縦に伸びる筒の形状は簡単に出力できるが、横に寝た筒の形状のものが含まれるオレンジのパーツの出力はサポートの設定をつめて何とか出力に成功した。
様々な問題…
何とか出力に成功したものの、熱収縮が縦と横で違うためか横の筒に缶が入っていかない…。横方向の筒の寸法を変更しこの問題をクリアした。
さらに、缶は入るもののすぐに抜けてしまう問題も発生。色々試行錯誤の末、筒の内側に小さな突起をつけてこの問題もクリアした。
3Dモデル完成!
ジョイントツールのサンプルが完成した。
実際に缶をはめて遊んでみる
実際に缶をはめて遊んでみると昔を思い出すみたいで中々楽しい。けど…パーツの数が少ない。モノによっては出力に五時間かかったりと3Dプリンターでのモノ量産は向き不向きがあるなと実感しました。
最後に ~缶とつなぐ、未来へつなぐ~
今回の作成したジョイントは、地域のごみの量を知ってもらうきっかけとして、「缶を使ったオブジェ」を、参加型で作ってもらうためのツール。実際使うとなると、パーツも缶もそれなりの量が必要となる。機会(WSなど)と機械(3Dプリンタなど)があれば、活用していただければと思います。
また、「完成品」、「完成形」はないものですが、ゴミのない未来へつながる、布石となればうれしく思います。
おまけ
実物大では、印刷コスト(材料も時間も)がかなりかかるため、ミニチュアモデルの作成も試行。
・・・パーツがきれいに出力されず、残念ながら失敗しています。。。