下準備
採寸
足の形にフィットした靴を作るため、採寸を行う。
養生テープで足の周りに隙間のないようテープを貼り、いくつかのパーツに分けて切り、足から剥がす。
これを型紙にして布を切っていく。
生地の裁断
先ほどの型紙から、およそ1−2cm外側に大きくとって生地を裁断する。
後から曲面に這わせるように生地を縫う際にシワになってしまうのを防ぐためだ。
この際、柔軟性や硬さなど、自分の作りたい靴に適した生地を選ばないと後で後悔する。
引き返せるのは今のうち。
また、インソールの上に貼るための生地も切っておく。これはインソールを出力した後に型取りをして切ると良い。
インソールの出力
自分の足の裏の形から作ったデータがある(
https://fabble.cc/megkay/insole
)ので、それを出力する。
今回はインソールに通気性を持たせたかったため、踏み心地に影響の出ない土踏まずの部分に穴を開けた。厚さは1mm、素材はTPU(柔らかフィラメント)で出力を行った。
アウトソールの型の出力
アウトソールは、出力時間や、底面の綺麗さなどを考え、出力に時間がかかり、かつラフトからの剥離が難しいTPUではなく、ポリエチレン樹脂を使って作成することにする。
そのための型をPLAで出力した。
データはFusion360で、インソールデータを元に作成した。
(写真はすでに樹脂を流し込んだ状態のもの)
アッパーの出力
アッパー部分に当たるものを出力する。
女性もののパンプスなどは脱げやすく、走ったり激しい動きをするのには向いていないが、その中でも機動性をある程度担保できるよう、アッパー部分に伸縮性を持たせ、フィット感をあげる目的で作った。
出力での失敗が多かった(Memo参照)が、穴を開けずに出力することで綺麗に出力することができた。
アウトソールを作る
まずアウトソールの作成を行う。
アウトソールの型をPLAで作ってあるので、これに鍋で熱したポリエチレン樹脂(おゆまるくん)を流し込む。この際水気を切ってから型に入れないと、後から水の分の空洞ができてしまうので注意する。
20分ほど冷ましたら、型から剥がし、形を確認する。
インソールに布を縫い付ける
次に、出力したTPUのインソールに裁断した生地を縫い付けていく。
仮止めをする
TPUが柔らかかったことから、仮止めはマチ針ではなくマスキングテープで代用した。
この際生地が光沢のあるものでないか確認することと、テープはセロテープではないものを使用することに注意する。セロテープの糊が生地についたら面倒である。
インソールに縫い付ける
いびつな形にならないよう、手で引っ張ったりして形を整えながら生地をインソールに縫い付ける。
仮止めのマスキングテープは全部終わるまで剥がさない方が良い。
特につま先部分はつぶれやすいので、生地に余裕を持たせながら縫い付ける。
縁を縫う
生地を縫い付け終わったら、縁の部分を5mmほど折り曲げて波縫いする。
この時の縫い方で縁の強度が変わるので、色々な縫い方を試してみるのも良い。
一足目(画像1)は波縫いにしたが、二足目(画像2)はまつり縫いを混ぜてみた。
後者の方が強度が少し高くなった。
インソールに生地を貼る
穴のあいたインソールの上に、ぴったり同じ大きさの生地を貼る。
接着は通常接着材で行なったが、インソール自体に縫い付けてみても良かったかもしれない。
アウトソールと接着する
ポリエチレン樹脂で作ったアウトソールと、インソールの裏部分を接着材で接着した。
強度が大変重要なので、念入りに接着しておくことを勧める。
アッパーの接着
最後に、本体とアッパー部分の接着を行なった。
本来ここは接着ではなく、別パーツとしてゴムを通す予定であったが、一足目は穴を開けることができずにやむなく本体と縫い付け、接着も行なった(画像1)。
二足目では、後から手でアッパーに穴を開け、そこにゴムを通すことで当初の目的であった「伸縮性」と「フィット感」を実現することができた(画像2)。
完成
バージョンアップを加えながら作り上げ、二足とも完成。
布の柔らかな感触から、当初の予定とは異なる中履きになってしまったが、これはこれで機動性があって良いと思うことにした。