01_コンセプト

今回のコンテストは、
通常のEgg Drop Contestとは異なり、
滞空時間と落下地点は評価の対象となっていない。

このことから、
従来は忌避されていたパラシュートタイプのパッケージに、
開発の余地があると考え、焦点を当てた。

ただ、
単純に「パラシュートをつくってみた」というだけでは技術的に面白くないので、
相応の努力とセンスが必要であり、
挑むべき深みがある(であろう)フロンティアを、
下記設定した。

■ 今回挑むフロンティア
 ① 航空力学の応用と深掘り
 ② 比較実験によるブラッシュアップ
 ③ MAKER魂に響くものづくり

02_オートローテーションの利用

オートローテーションと呼ばれる飛行法が、
ヘリコプター等の回転翼機に存在する。

これは、エンジン停止時においても、安全に着陸するための技術であり、
メインローターに風を当て、
揚力を生みつつ自動回転させるという飛行方法だ。

このオートローテーションという飛行法は、
同じ直径のパラシュートと比較した場合、
その降下率が低い(=安全性能が高い)とされている。

本開発においては、
オートローテーションに適する3D形状の模索を行う。

003_翼型の選定と仮説

ヘリコプターを代表とする回転翼機のメインローターによく使われる翼型に、
NACA-8-H-12
というものがある。

この翼型の特徴は、
揚力発生時において、
捻り方向へ余計な力が発生しづらいことだ。
(つまり、従来の翼型では、捻りの力が発生するということ。鳥人間コンテストにおいて、発進直後に壊れる飛行機は、翼が捻れて折れることが多い。)

実際に、
この翼型が効果を発揮する寸法領域や速度領域と、
今回の開発の領域が一致するかどうか定かではないが、
その点の見極めも含め、開発を進める。(平板の効果が高いという結果もあり得る)

 ■ 確かめたい仮説
 3Dプリントの積層が、いい感じに乱流翼効果を生み出す。

04_EggCaseの作成と失敗

CAD: FUSION360
3Dプリンタ:Zortrax M200
FAB施設:cre8 BASE KANAYAMA(名古屋)

積層に失敗。

着地時のクッションを狙って、
EggCaseの足を板バネのように薄い構造( < t1)としたところ、
積層時に反りが発生し、
足がもげた。

■ TIPS
 薄板構造( < t1)は成立しない。ものがある。

05_プロトタイプ1号機

CAD + Render : FUSION360 

設計と受け持つ機能

①メインローター内側部:
 落下時の風を受け、初期回転運動を生成。

②メインローター外側部:
 初期回転から、揚力と自動回転運動を生成。

③脚部:
 着地時の衝撃を吸収。

06_実験計画

さて、
比較実験(実験計画法)によるブラッシュアップを行う。

評価関数は衝撃値(着地時の加速度/重力加速度)[G]とし、
因子を下記とする。
 ① メインローター内側の迎角
 ② メインローター外側の迎角
 ③ メインローター長
 ④ 脚部の長さ
 (⑤ 翼型)

着地時の加速度を測定するために、
EggCase内に、加速度計搭載のロガーを仕込むこととする。

 ① ロガー
→3軸の加速度、3軸のジャイロ、3軸の地磁気、気圧、GPS、温度、を測定/保存。
ちょっとすごいロガー

 ② XBee
→主にマイコン向けの小型無線モジュール。テレメトリ化を狙う。

07_測定機器の作成

EggCase内に、測定モジュールが、収まることを確認。

Z軸を固定するために、ハウジング等を設計する。

08_実験①

風を受けて、きちんと回転するかどうか、実験した。

■ 実験内容
釣竿の先に、
タケコプターをくくりつけて、
ぶん回す。

■ 評価基準
クルクルと回転してくれたなら、成功。

■ 結果
回転せず。

うむ、再設計だな。これは。

09_再設計

実験にて、判明した不具合は3点。
 ① 回転しない
 ② 卵が入らない
 ③ 脚が弱い

これらを踏まえて、再設計。
 ① 迎角を下げる
 ② ピッチ厚みを考慮
 ③ 断面積の増加

さて。

10_実験②

風を受けて、きちんと回転するかどうか、再実験した。

■ 実験内容
紐の先に、
タケコプターをくくりつけて、
風を当てる。

■ 評価基準
クルクルと回転してくれたなら、成功。

■ 結果
回転した。

■ 気づき
風を当ててから、初期回転までの時間が、少し長い。
このままだと、回転しないまま、落下する。(実際、予備実験では回転しないまま落下。。)

回転をさせてから落とさないと、
当初の目論見が達成されない可能性あり。

11_タケコプター改

初期回転を補助するため、
構造の最適化を実施。
揚力の一部を回転に使う設計。

 翼の数: 2→5
 迎角:  - 10deg