靴のモデリングをする

自分の靴をモデリングする

靴をiPhoneアプリ「Qlone」で3Dスキャンする

スキャンしている様子
ARマーカ上にスキャンする対象物を乗せてカメラをアプリの指示に沿って半球分動かしていくことでスキャンをする

Fusion360で読み込む

読み取ったモデルをiosアプリ「Qlone」でSTLにしてFusion360で読み込む

モデリング完了

iosアプリを使用することで簡単にモノをスキャンし、stl等の3Dデータに出来ることがわかった

お菓子を入れられるパッケージとしての靴を制作する

お菓子を入れられるパッケージとしての靴(実際のサイズより小さい)を作る

入れるお菓子を決める

春日井製菓ーつぶグミ(ソーダ味)に決定
パッケージにお菓子を入れることで靴の形になる「靴パッケージ」を作ることに
(つぶグミの粒で靴の湾曲部分を表現できるように)

Fusion360でモデリングをする(1)

靴の底部分のスケッチを1でモデリングした靴底部分をなぞる形で作成

Fusion360でモデリング(2)〜モデル完成〜

押し出しでボディを作成、スケッチをコピー/縮小して押しだし、切り抜きをしてお菓子を入れる部分を作成した。
かかと部分の支えも押し出し(テーパー)によって作成した。

Curaでスライシング

Fusion360でstlファイルに書き出した後、スライシングソフトCuraでスライシング
.gcodeファイルに

Anycubic i3 Mega で出力

自宅3Dプリンタ(Anycubic i3 Mega)で出力
素材:PLA 色: 白
ヒートベッド温度:60℃ ノズル温度:200℃
特に問題なく出力完了
出力にかかった時間:2時間程度

完成

かかとの部分も別途出力、本体にくっつけた(グルーガン)
つぶグミを入れてみた

インソールの作成

実際に履ける(使える)サイズのインソールを作る

Fusion360でモデリングする

1で作ったモデルデータを元にしてスケッチを作成
上の面も作成し、ロフト機能で上面と下面をつなげた
厚さは5mmとした

Curaでスライシングする

スライシングソフトCuraでスライシングをする
infill PatternはCross 3D(上画像)とし、積層方向の柔軟性を確保
踏んだ際にクッション性がある踏み心地に

Anycubic i3 Megaで出力

自宅3Dプリンタ(Anycubic i3 Mega)で出力
i3Megaは柔軟性のあるTPUフィラメントを出力できないため、エクストルーダを対応品に交換、ファームウェアのアップデートを行った
素材:TPU 色:ピンク
ヒートベッド温度:60℃ ノズル温度:205℃
1回目の印刷はノズル温度200℃で行っていたが途中で詰まって止まったため205℃に変更して出力
出力にかかった時間:4時間程度

完成

柔軟性、クッション性のある実際に使えるサイズ、機能のインソールが出来上がった

Auxetic Patternの仕組みを理解する

Auxetic Pattern (横に伸ばすと縦方向に縮む/ポアソン比が負)のパターンを実際に制作して仕組みを理解する

下調べ

いろいろなパターンがある
画像引用:https://www.researchgate.net/figure/Periodic-lattices-from-the-eigenmodes-of-fi-gure-3-that-show-auxetic-behavior_fig4_269776368

作ってみる(1)

最も仕組みが単純で基本的なパターンを段ボールをカッターナイフで切り出して制作してみた

作ってみる(2)

別パターンの制作

わかったこと

レーザーカッター等を使わず実際に自分の手で作成したことで、より理解が深まった。(と思う)
作ってみた(1)で作成したものから、切り抜く点と切り抜かない点が1辺に1セットずつある三角形の集合体であることがわかった。
また、一つ一つの三角形をつなげる点の大きさをコントロールすることでその素材の柔軟性をコントロール出来ることもわかった。(柔軟性と強度はトレードオフ)
このパターンは図形に切り込みを入れて出来ているイメージだったが、実際は一つ一つ小さい図形を一辺あたり一カ所でつなげた図形の集合体というイメージの方が正しいことに気がついた。

「実際に履ける」靴の制作

合皮の持つ
・通気性の悪さ
・本革と違いなじまない
というデメリットをFABを用いて解消するような靴を作る

足のサイズを測る

足にガムテープを貼り付けて切り抜き、靴の型紙を制作する
(暑い)(剥がすの大変)(かゆくなる)

Adobe Illustratorで靴のアッパーのカットデータを作成する

IllustratorでAuxetic Patternを作成
靴の型紙をスキャンし、イラストレータでトレース、靴のアッパーのデータを作る

靴のアッパーの作成

ユザワヤにて合皮を購入(表:ポリウレタン 裏:ポリエステル)
DFF-WのTrotec Speedy100でIllustratorで作成したデータにカット
ヤニをエタノールで拭き取り、切り抜きが甘い箇所をカッターナイフで切る
裏に同じくユザワヤで購入したストレッチ性のあるポリエステルの布を貼り付ける(瞬間接着剤)

Fusion360でインソールのモデリング

Fusion360で(1)でモデリングした靴のデータを元にスケッチを作成、インソールのデータを作成した
厚さは中心部3mm、外縁部5mmとした(押し出しで作成)

Curaでスライシング

Curaを用いてスライシングした
Infill PatternはLinerを選択

Anycubic i3 Mega でインソールを出力(右)

自宅の3Dプリンタ(Anycubic i3 Mega)で出力
素材:TPU 色:白
ヒートベッド温度:60℃ ノズル温度:200℃
ヒートベッドのサイズの制約でインソールを立てて出力することになったため8割くらい印刷完了後、倒れてしまった。
 →あらかじめサポート材(後から外す前提の支え)も一緒にモデリングしておけば倒れなくなる
とはいえ出力してしまってもったいないのでFusion360で印刷未完了部分 を作成、出力して接着した。(グルーガン)

インソールを完成させる(右)

出力、接着、成型したインソールの表面にポリエステルの布を貼り付け、脱ぎ履きしやすいように

靴のかかと部分を制作(右)

靴のかかとの部分を合皮で作成
はさみでカット後、手縫いで縫い付けた

Fusion360でアウトソールをモデリング

インソールを作成したときのデータを元にアウトソールを作成した
アウトソールはインソールと違い、縦方向の強度が欲しかったため、あえてハニカムのパターンに切り抜き「壁」を増やした
また、土踏まずの部分で分割し、足の動きに合わせて靴が曲がるようにした

Curaでスライシング

Curaを用いてスライシングをした
infillPatternはCross3Dを選択

Anycubic i3 Megaでアウトソールを出力(右)

自宅の3Dプリンタ(Anycubic i3 Mega)で出力した
素材:TPU 色:白
ヒートベッド温度:60℃ ノズル温度:200℃
特に問題なく出力完了したが、1層目の定着が悪く一回やり直した
出力にかかった時間:約5時間

靴のパーツを組み立てる(右)

パーツの組み立てを行った
強度を出すために各パーツは面で接着できるように設計した
接着には瞬間接着剤を使用
最初にかかと部分を接着、次に自分の足に合わせて位置決めをしてアッパーを接着した
最後にアウトソールを貼り付けて完成

完成(右)

Auxetic-Leather Shoesの右足が完成した

Fusion360でインソールをモデリング(左)

右インソールを出力する際に一気に出力したら倒れてしまったため、左インソールは分割して倒した状態で出力できるようにした
これにより積層方向が変化し、infillパターンを殺すことがなくなったため柔軟性が得られた
厚さも右とは異なり全て5mmとし、よりクッション性能を高めた

Curaでスライシング

Curaでスライシングを行った
Infill PatternはCross3Dを選択

Anycubic i3 Megaでインソールを出力(左)

Anycubic i3 Megaでインソール(左)を出力した
素材:TPU 色:白
ヒートベッド温度:60℃ ノズル温度:200℃
特に問題なく出力できた
出力時間:約5時間

インソールの作成(左)

インソールを接着し、表面にポリエステルの布を貼り付けた(瞬間接着剤)

Anycubic i3 Megaでアウトソールを出力(左)

Anycibic i3 Megaでアウトソール(左)を出力した
素材:TPU 色:白
ヒートベッド温度:60℃ ノズル温度:200℃
特に問題なく出力できた
出力時間:約5時間

靴のかかと部分を作成(左)

右側と同じように合皮をカット、折り返したところを手縫いで縫い付けて作成
(右は赤いステッチ、左は白いステッチにした)

靴のパーツを組み立てる(左)

パーツの組み立てを行った(手順は右足と同様)
強度を出すために各パーツは面で接着できるように設計した
接着には瞬間接着剤とグルーガンを使用
最初にかかと部分を接着、次に自分の足に合わせて位置決めをしてアッパーを接着した
最後にアウトソールを貼り付けて完成
右足と異なり、左足のアウトソールの接着にはグルーガンを使用した
グルーガンで接着したことですり減るアウトソールを交換可能にした
アウトソールの接着にグルーガンを用いても強度は左右であまり差が無いことがわかった

Auxetic-Leather Shoes 完成

FABを用いて作られた靴が完成した

実際に履いてみて・考察

合皮にAuxetic Patternをレーザーカッターでカットすることにより、通気性の良さかつ適度なフィット感をもつ靴を作成することが出来た。
接着の方法を強度が出るように工夫したり、AuxeticPatternの合皮の裏にもう一枚ポリエステルの布を貼ったり、インソールの足に触れる部分に布貼りをしたりとあまり目に見えない部分にもこだわった。
それにより完成度と強度が高い靴になったと思う。

感想

・デジタルファブリケーションという授業で、なおかついろいろなFAB機械を使用したが、それらの調整や機械を用いて出力したモノの修正、モノの組み立てにはまだまだ人力が必要だということがよくわかった。
テレビなどメディアの情報などから3Dプリンタはボタンを押せば同じモノが簡単にいくつも作れるというイメージを持ちがちだが、実際はそんなことは無く、人手が無いと成り立たないものだと思う。
・何でもかんでも3Dプリントすればいいわけでは無いことも学んだ。
例えば靴のアッパーなどはレーザーカットによってつくった方が制作時間と強度などのバランスが優れる場合もある。
だが、3Dプリンタにはそれでしか出来ないこともあり、

感想続き

→(例えば構造内部のパターンを変えてモノの柔軟性・強度を変化させるなど)どの場合に3Dプリンタを使えばより生かせるのか、モノづくりをする前に良く考える必要があると思った。
(今回自分が3Dプリンタを使って作成したのはインソール、アウトソールでいずれも内部構造を変えることで柔軟性を変えている)
・普段何気なく買ってはいている「靴」が実は強度の面でも機能性の面でもデザイン性の面でも優れていることが今回手を動かしたことによりよくわかった