1. Title(レンズに触れずに眼鏡を掛け外ししやすくする自助具)

自助具名: レンズに触れずに眼鏡を掛け外ししやすくする自助具

2.For From(対象者)

 本自助具は「好きなことを、できるだけ自分の手で続けたい」という思いを形にした自助具である。 対象者は頚髄損傷により、肩から前腕の筋力低下と手関節・手指の麻痺があり、体幹・下肢は完全麻痺している。生活全般に介助を必要とするが、上肢を持ち上げる、軽い物を両手で挟む、指の間に挟んだフォークやペンを操作することは可能。左手に比べて右手の筋力低下が強く、入退院を繰り返す中で物品の操作が難しくなっていた。

3.Why(なぜ作成しようと思ったのか、そのきっかけ)

 対象者の困りごとは、眼鏡を着脱するときにレンズへ触れてしまい、指紋で見えにくくなることだった。眼鏡は、趣味である絵葉書作りを続けるために欠かせないものである。対象者の希望は、「レンズが汚れずに眼鏡をかけ外しできるようになりたい」だった。その思いを実現できないかと思い、3Dプリンターで自助具を製作する運びとなった。

趣味の絵葉書作成


課題になっているメガネをかける動作


4.How(どのように作成したか)

実際の動作を評価し以下の課題を抽出。
【メガネをかけやすくする自助具】
 1)眼鏡のツルに手を入れ込む際に眼鏡が動いてしまうこと
 2)ツルの開閉のしにくさ
 3)耳にかけてから押し上げる際にレンズに触れてしまうこと

試作①~メガネを取りやすくする為のスタンド作成~

上記1)2)に対し、ツルを開いたまま眼鏡を置けるスタンドを作成。意見を聞きながら高さは10cmに設定。
 スタンドの使用で眼鏡はスムーズに取れるようになるが、3)については、ご本人様からペインティングナイフと眼鏡に磁石をつけてできないかとご意見いただく。

試作②~ペインティングナイフ使用して眼鏡をかける方法(磁石穴付きメガネクリップ作成)~

対象者のイメージに寄り添いながら、ツルの根本部分に付けられるクリップを作成し、磁石は小型のネジオム磁石が良いのではと想定してはめる穴も作成。一度磁石がない場合で一度試していただき、この方がかけやすいと感想をいただいた為、磁石は付けないことに決定。クリップは皮膚干渉せず、視界の邪魔にもならない位置に設置。 試作②

試作③~磁石穴なしメガネクリップに改良+スティックの作成~

メガネクリップは穴がないものに改良。メガネクリップに使用するスティックは、ペインティングナイフでもうまく使用できていたが、顔周りにくるため安全面を考慮して代用品の作成を検討。ご本人様よりもう少し軽いもの、長さや太さは同程度のものがいいと希望聞かれペインティングナイフのサイズ元にメガネクリップの穴の大きさに合うものを作成した。 スティック
穴なしクリップ

試作④ペン立てに掛けられる眼鏡スタンドに変更

 試作①の眼鏡スタンドを使用するかどうかを対象者と話し合った際、テーブル上のペン立てに立て掛けられるようなスタンドがあればいいな、とご希望あり。そこで試作①の独立型スタンドをクリップ型に変更。ツルを開いたまま掛けておけること、かつ窪みを作りずれないように工夫した。 試作④スタンド

制作環境

・PC:Windouws11
・CAD:Tincercad
・3Dプリンター:Bambu Lab A1 3Dプリンター
・スライサー:Bumbu Studio
・フィラメント:eSUN PLA 3DFilament 1.75mm

5.Outcome(結果)

使用した結果、レンズに直接触れずに眼鏡を着脱できるようになり、絵葉書作りに必要な視界を自分で整えられるようになった。レンズに触れずメガネをかける動作に関して、10段階で主観的満足度を評価した結果、使用前は0、使用後は10と非常に高い満足度を得られることが出来た。
また、更なる課題としては、
①眼鏡を外す際にスティックをスムーズに入れられる工夫
②現在の収納方法は、立て掛けているペンやストローなどがメガネに当たりやすい。独立型の眼鏡スタンドを作成したらテーブル上などで移動しやすいのではないか
以上が挙げられる為、更に改良などを実施していく予定。