作ろうと思ったきっかけ

私が暮らしている中で、何が密接に関わっているのかをよく考えた時、真っ先に思いついた物がある。
それは、宅配物や、引っ越しの時に使用する「段ボール」だ。
しかし使用後、段ボールは他に使用用途はなく、そのまま燃えるごみとして捨てられてしまう事が多い。
その中に入っていることが多い梱包材も、結局は捨てられてしまう。
しかも、梱包材に関しては、環境に悪いプラスチックなどで出来ている場合も多く、近年の環境を保護していかないといけない世の中に反している。
そこで私からは、今の世の中には無い地球に優しく、同時に3Dプリンターを使用していると必ず出てしまうサポート材などの不要物を活用出来る次世代の段ボールを提案する。


次世代の段ボールに関する計画

どうすれば、資源を無駄にしてしまう段ボールを地球にやさしくすることが出来るのか、そう考えた時、思いついたのが「再利用」だ。
段ボールを宅配業者などが回収すれば、再利用できると最初は考えていた。
しかし、なぜしないのか。
それは耐久性がないからだ。
私も、段ボールを再利用して荷物を運ぼうとしたことがあった。
しかし、段ボールは蓄積されたダメージにより穴が空き、運ぶことが出来なかった。
これを解決するためには、耐久性を上げるしかない。
よって、耐久性を上げる工夫を施しながら、3Dプリンターの特徴である自由自在な形状を作れることを意識して制作していくことにした。

次世代の梱包材に関する計画

最初は3Dプリンターで、運ぶ製品にあった形状で、軟性のあるものを制作しようにした。
しかし、新しく作るのも良いのだが出来る限り使用する資源の量を減らしたかった。
そこで注目したのが、3Dプリンターを印刷した時に必ず出るサポート材だ。
これなら、軟性もあるし、資源を無駄に使わなくて済む。
よって、サポート材を梱包材として使用することにした。

SDGs(持続可能な開発環境)

どの点が環境に優しいかを分かりやすくするために、SDGsの中のあてはまる所を載せることにした。
「12 つくる責任 つかう責任」に貢献できると考える。
理由としては、私たちは段ボールを使用していてつかう責任を求められている。
そこで私のアイデアにより、現在の環境に悪い段ボールや梱包材の使用量が減り、つかう責任を果たせるのではないかと考えたからである。

使用するもの

3Dプリンター XYZプリンティングジャパン ダヴィンチ mini w+、MUTOH MF1000
フィラメント         Forzeas DF9003、 PLA樹脂 
3D設計ソフト Fusion360

次世代の段ボールのモデリング

二層目をハニカム構造とすることで耐久性を上げる。
よって、三層構造とする。
また、角を丸くしてけがをしないようにする。

内側の箱の作成手順

スケッチで四角を書き、それを押し出す。
その後、シェルで内側の厚さを2mmに設定して穴を開ける。

ハニカム構造の層の作成手順

内側の箱よりも大きい箱を作る。
その後、スケッチの外接ポリゴンという機能を使いハニカム型の穴を開けていくことを繰り返す。

ハニカム構造とは

ここで、ハニカム構造が分からない人向けに説明したいと思う
ハニカム構造とは、2枚の板状外皮の間に蜂の巣状の芯材を挟んだ構造。
軽量で断熱性にすぐれ、車や航空機の部材などに応用。 (広辞苑から引用 ) とある。
段ボールにはごく一部しか使用されていないので、一般的な段ボールよりも強度を上げることが可能だ。

外側の箱の作成手順

スケッチで内側の箱より大きい四角を書き、それを押し出す。
その後、シェルで内側の厚さを内側よりも厚い3mmに設定して穴を開ける。

箱の蓋の作成手順

ハニカム構造の層をベースにして、横から箱を固定するための囲いを設置する。

蓋をする時の予想図


改良

部活内の人にデータを見せて、意見を求めたところ
・デザインがつまらない
・蓋を外しにくそう 
という意見を頂いたので、改良していく。

デザイン

この段ボールは環境を保護することを目的に制作しているので、そこをデザインに取り入れることにした。
よって、現在進行中の地球温暖化によって氷が溶けて困っているコウテイペンギンをモチーフにしてデザインをすることにした。

蓋

蓋の一部を2.5mm低くして、爪をひっかけられるようにして、取り外しをしやすくした。

完成予想図


3Dプリンターで印刷

3Dプリンターを動作させるソフトで内部の密度を15%に設定し資源の消費を抑えるように心掛けた。
約4時間ほどを掛けて印刷をすることが出来た。

使用する緩衝材について

今回は印刷に失敗してしまい捨てられそうになっていた物を使用する。

完成品

少し歪んでしまったが、蓋をきちんと閉めることが出来た。

実用性テスト


強度試験

机から落としても本体が割れないか試験してみた。
<結果>
割れずに耐えることが出来た。
同時に密度が15%でも大丈夫なことが分かった。
よって、従来の段ボールよりも耐久性が高いことが裏付けられる。

梱包材の実用性

私が制作した作品を実際に入れてみた。
梱包材は思ったよりも柔らかくて保護性が高そうだ。
また、形が不均一なことにより隙間などにもしっかりフィットしていて中に入れた物が動きにくくなっていた。
このレベルの保護性がある梱包材が3Dプリンターで制作した物の廃棄物から出来るのは、かなり魅力的だと言えるのではないだろうか。

実際に使用してみた

バッグの中に、自分の3Dプリンターの作品を入れて学校に登校してみた。
自転車に乗ったり、バスで押しつぶされたりするので、結構ハードな環境だったが、無事に中身や箱自体も壊れずに持ち運ぶことが出来た。

感想

実際に制作してみて、思ったよりも実用性のあるものが出来てとても嬉しかった。
当初の目標通り、余り環境に負荷を掛けずに使用できる段ボールが制作出来た。
特に梱包材に関しては、廃棄物から出来るこれ以上にないエコなもので、保護性も高かったのでぜひ世界中に広がってほしいと感じた。
これからも、環境にやさしいアイデアをたくさん考え出して、アイデアを実現させていきたい。