制作のきっかけ
毎日の学校生活の中で一番の楽しみ。そう、昼食時間。授業終了のチャイムと共に母が作ってくれた弁当を開けてみると、、Oh!せっかくの中身がぐちゃぐちゃに崩れてしまっているではないか!そんなことがよく起こる。偏って大きな空間が形成されていたり、自動的にねこまんまが完成していたり、日々の重力のいたずらには本当に懲り懲り。崩れないように注意を払ったとしても、弁当箱の水平姿勢を保ちたい為だけに、バッグ全体の姿勢を気にしなければいけないのって何だか馬鹿馬鹿しい感じがして...
そんなことから
弁当箱自体を回して水平姿勢を保ってしまえば万事解決ではないか!
という発想に至り今回の制作に取り掛かかった。
考察
目標とするのは
どんな時でも中身だけは絶対に水平姿勢を保ってくれる弁当箱。
そのためには中身を自由回転させる必要があり、最低条件として形は球体であることが望ましいと考えた。無論モーターを搭載して中身を制御するわけにもいかないので、今回は球体の外枠の中に重心が下のほうにある内箱を入れて、重力で常に下向きを維持できるような弁当箱を作る。
構造
授業時間などを有効活用して(NG)どのような構造なら内箱は回るのか、無駄のないスペースの使い方は何なのか考察。弁当の取り出し易さや、食べ易さも考慮して内箱は半円球より少し大きめの二段構造がベストだろうという結論に至った。
コンセプト
せっかくの球体という特徴的な形状をしているのだから、何かそれを生かした印象的なデザインにできないか。思考を張り巡らせた結果、今回モチーフにしたのが
どんな姿勢で落下しても卓越したバランス感覚で瞬時に水平姿勢をとることのできる、ネコ
。
そんなネコの能力を弁当箱にも搭載できたら。という意味を込めてかわいいネコちゃんのデザインを考案した。
設計
おおかたの構造・デザイン案が決定したところでいよいよFusion360による設計に。当方直線的なデザインの設計は経験があるものの、曲線を取り入れたデザインとなると一気に難易度が上がって大変苦戦。特にネコの顔があんまりかわいくない...
設計(2)
外箱の接合部はひねって開けられるように調整
うーんなかなかここが思ったように回ってくれない
設計(3)
内箱は下と上の箱とふたの3パーツ構成
下部分にはおかず、上には白ご飯入れるのにちょうどいいかな?
ようやくデータが完成!!!
慣れない形状のモデリングに苦戦しつつも試行錯誤の上、ついにデータが完成!!
球体の形状を生かして足と耳を付け足してネコっぽさを完全再現
...と行きたい所だったが周囲の人から「これ犬じゃね?」「いやシロクマだよ」
など様々な意見が、、いやぁ見ただけ会話や議論が生まれるデザインって素晴らしい、、、
この問題は印刷後に解決していきます
印刷
さあいよいよ印刷開始!finderで全5パーツ計22時間の印刷!中身がハニカムしてる
印刷(2)
印刷サイズは3Dプリンター印刷可能範囲限界の140mmに設定。
もう少し大きくしたかったので、いつか大きめの3Dプリンターを買ったら試してみる
印刷完了!
途中外箱印刷時に大きく反れてしまい、6時間の印刷が無駄になってしまったがなんとか全パーツ印刷完了。外箱の内側には等間隔に小さな凹みを設け、そこにBB弾を接着することで内箱との接触面積を減らして回しりやすくした。
おお!回ってる!!!
とりあえずLEGOで簡易的な弁当を作ってひっくり返してみると、、、
ちゃんと回ってるじゃないか!!!割とどんなに速く回してもしっかりと内箱は常に下を向いてくれてLEGOもこぼれることはありませんでした
いざ、実践
ある程度の機能は実証できたのでいよいよ本当にごはんを入れてみる。
普通の学校の日にもっていくことにした。自分の作った弁当におかずを詰めていくワクワク感!!
通学
通学中バッグを傾けた時に中身がコロコロ回っている音がするのが楽しくていつもの5倍増しでアクロバティックに学校に辿り着きました。
開けてみる
さあ待望の昼食時間、、、わざとらしく多方面に傾けながら弁当箱を取り出して、、
開けてみる(2)
あれだけアクロバティックに登校したところ、いつもなら中身が偏りまくっている筈だが、やっぱり全然大丈夫だ!!(若干ぎゅうぎゅうに詰めすぎて偏りの余地がない感じもするが)これで弁当箱を開けてがっかりすることはもうない!!
PLAフィラメントはご飯もくっつきにくく意外と弁当箱に合っている素材だった。
おわりに
後日この弁当箱をtwitterに投稿したところ結構自分と同じ悩みを持っている方が多いそうで「これは欲しい!」という声を数多くいただけた。今後は本格的に型を造成して商品化することも視野に入れている。自分の作った弁当箱を使ってみんながご飯を食べている未来を夢見ます。
ヒゲ
手書きでヒゲをつけてあげたら大分ネコっぽくなりました(雑