材料/使ったもの
1.木材 1.レーザーカッター
2.ミニプリンター 2.PIECE
3.布
4.磁石
テーマ「鍵っ子の心の貧困」
私たちは貧困という課題を選びました。貧困は経済的事情や社会情勢など様々な理由がありますが、より身近なものはないかと考え、心の貧困について考えました。私たちが考える心の貧困とは、 「裕福な家庭で親が忙しくて子供が構って貰えないことによる子供の心の貧困」です。
アイデア出し
メインテーマを“子供の貧困”と置いて、考えを発展させていきます。 そして、小テーマとして“親が家にいないことによる愛情表現”と置き、解決策を練っていきます。
現状
神奈川県・福岡県の2023年の共働き率は約21%。これは47都道府県の中で下位10位以内に入るほど少ない値です。しかし共働き率が少ないからこそ、その環境下にある子どもは周りとの差を感じ、より孤独感が増すのではないかと考えました。また2019年の孤独に悩む人が多い都道府県ランキングでは、福岡が第1位です。
アイデアを形にする
レーザーカッターを用いて木材を切り、作成しました。
【タイトル】 まいにちぬくもりBOX
【使用例】
家に帰ってくる
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鍵を置く
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幕が上がり、中にある写真/メッセージが見れる
【仕組み】
手動で幕がめくれる
心細さ指数を動かせる
メッセージ、写真を出し入れできる
BOXの中に何も入っていないため、鍵以外の小物も入れることができる
【メリット】
機械類がないため、価格を抑えることができる
箱の大きさが小さくなる
「心細さ指数」
私たちは独自に「心細さ指数」というものを作りました。「心細さ指数」とは、学校から帰ってきた鍵っ子がその日どんな気分なのかを3段階で示すものです。写真のように、箱の下の方に絵文字が3つ並んでいます。鍵っ子がその時の自分の気分にあった絵文字のところに♡のパーツをスライドさせます。親はこの「心細さ指数」を見て、自分の子どもの気持ちを少しでも知ることができます。また、コミュニケーションのきっかけにもなると考えました。
調査(実際に使ってもらう)
私たちはここからさらにブラッシュアップさせるために、モニターをとりました。 今回、4人家族の方々に一週間ぬくもりBOXをお使いいただきました。ご家族は、父、母、小学2年生、6年生の女子姉妹で構成されています。両親は共働きで、帰宅時間は大体17時から19時の間です。子供たちは大体15時から16時に帰宅します。親子間で十分なコミュニケーションが取れている状態です。
結果(一週間使ってみた感想をお聞きしました)
父👨「これまで娘とはコミュニケーションを取ってきましたが、ぬくもりBOXを通じてより深い学校生活の話をする機会が増え、嬉しかったです。心細さ指数が変わらなくても、ぬくもりBOXがあることで会話がより良くなりました。また、娘からの手書きメッセージが仕事帰りに入っていた時は、1日の疲れが吹っ飛びました。素材が木で家に馴染むのも良いなと感じました。」
娘👧(小学2年生)「お母さんとは携帯でしか連絡しないけど、お手紙が毎日入っていて嬉しかったです。お父さんとは普段あんまり話さないけど、沢山話しかけてくれておしゃべりできました。」
母👩「手紙だけでなく、音声も録音できたらいいのにと思いました。」
作り直し
調査で得た改善点を踏まえて、作り直しました。
【改善点】
《1》デジタル要素が欲しい。
《2》メッセージを録音して再生させる機能が欲しい。
《3》手書きでメッセージを書く時間がない親でも、あたたかみを感じるメッセージを書ける機能が欲しい。
NEW!!手動→全自動へ
《1》の改善点に対する解決策です。
手動ではなく、鍵を置くと自動で幕が上がるようにしました。
NEW!!録音・再生機能導入
《2》の改善点に対する解決策です。
事前に親またはその子どもがメッセージを録音し、帰ってきて鍵を置くと自動で再生される機能をつけました。
この機能をつけるために、「PIECE」というプログラミングセットを使いました。
NEW!!ミニプリンター導入
《3》の改善点に対する解決策です。
このミニプリンターを使うと、スマホの専用アプリで打った文字をレシートのように印刷することができます。このプリンターを横につけることで、手書きでメッセージを書く時間がない親でも、職場からメッセージを送ることができます。プリンターにすることで、LINEでは感じられないワクワク感があると考えました。
★完成★
モニターで得た指摘をもとに改善し、完成しました。
【使用例】
家に帰ってきて鍵を置く
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録音が再生される
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自動で幕が開き、中にある写真や手書きのメッセージを見ることができる
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プリンターでメッセージが印刷されている
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心細さ指数を動かす(子供のみ)
動作実験
鍵による振動で作動する仕組みになっているため、それがどのくらいの振動で作動するのか、実験しました。
[結果]
パターン①優しく置く→反応あり(録音)反応なし(モーター)
パターン②普通に置く→反応あり(録音)少し反応(モーター)
パターン③箱を動かす→反応あり(録音)反応なし(モーター)
鍵を置くと録音はすぐに再生されるが、一度の振動で幕を上げ切ることは難しいことが分かった。これはモーターの問題であり、モーターがきちんと作動すれば、他に問題はない。
課題点
【大きさ】プリンターを横につけた分、全体が大きくなってしまいました。
【幕】自動で上がりますが、モーターの関係で下げるのは手動です。
【使いやすさ】モーターがなかなかスムーズに作動せず、鍵を何度も置く必要があります。
【価格】PIECEやプリンターを内蔵しているため、売るとなると2万円弱と、高額になります。
【今後の展望】このぬくもりBOXのデータを公開することで、全国にあるファブラボでの出力を可能になります。
アンケート
福岡雙葉小学校の4年生に下記の内容でアンケート調査を行う予定でしたが、諸事情により許可がおりませんでした。
謝辞
まいにちぬくもりBOXを作るにあたって関わってくださったファブラボ鎌倉・太宰府の皆様、先生方、またモニターをとらせていただいたご家族の皆様、本当にありがとうございました。
私たちは今回この作品を制作するにあたり、アイデア出しで1番苦戦しました。課題は実際に経験もしてきた身近なことで、課題と課題解決後の未来像は明白だったのに、解決法がなかなか思い浮かびませんでした。しかし、先生方や友達にアドバイスを貰いながら、色んな視点から考え、この作品を作ることができました。世界にはたくさんの課題があるけど、まずは身近なところから、私たちが考えるもので少しでも課題解決をし、世界がより良くなることを願っています。
参考
①PIECE
https://www.elekit.co.jp/piece/
②MESH
https://meshprj.com/jp/products/index.html
③都道府県別共働き率
https://www.j-cast.com/kaisha/2023/03/14457049.html?p=all