今回Aさんの爪切りの自立に向けて、どのような方法が良いのか自分だけで考えていた時は、
震える右手の爪を切るには、右手の固定のための道具が必要かと頭をめぐらせていた。
ところが、今回Aさんは道具の要らない方法を思いつかれた。
道具が要らないのであれば、その方が断然よい。
何かをしようとするときに、道具を準備しなければならないのは面倒である。
以前、右片麻痺を呈した女性の作業療法を担当していた時、
食材を手で固定しなくても使えるという釘付きのまな板を紹介すると、
「これじゃ切りにくい。釘がなくても、玉ねぎもトマトも切れるよ」と言って
包丁の刃を食材に入れる角度を工夫して、上手に切って見せてくれたことがあった。