背景

都内在住のしばやすさんからの依頼で、近所でひとり暮らしにチャレンジ中のお嬢さんが、アパートを引っ越した際に、元のアパートで使っていたシャワーチェアが、新しいアパートのユニットバスに合わないため、ユニットバスの高さを調整できないかとの依頼を受けて対応した。その後も、玄関の上がり框の段差を埋める台を作って玄関から一発で室内に入れるようにするなど、しばやすさんからの要望に応じて、アパートのカスタマイズを行ってきた。

問題

今回、しばやすさんから新たな相談があった。
「先日介助者と話したところ、トイレの補助便座(古いマンションなのでおそらくかつて和式だったものを洋式に変更したため座高が低いのです。これをかさあげするためのもの)のサイズが合わず、つねにぐらつきがあるため、留め具が衣類にひっかかったり、当人の姿勢が崩れたり、と支障があるというのです。みてみると、留め具のサイズ(伸び幅)が合わずに留まっていないことが原因のようです。もしかしたら、サイズを合わせた留め具が3Dプリンタで作ることができれば解決できるのではないか、と思いつきました。」

補高便座について

補高便座は、便座を高くすることで立ち座りを行いやすくするための補助器具で、座面を高くすることで、膝にかかる負担を軽減し、便座への座り込みと立ち上がりを楽にする。

今回の器具も、元は別のアパートで使われていたもので、移転に伴い新居の便器に搭載しようとしたもの。機種はアロン化成の「安寿」#7ないしは#10と思われる。

補高便座設置上の障害

補高便座「安寿」は、本来、便座の上に設置して使用するものだが、利用者の新居では、便器のサイズが補高便座と合わないため、便座を上げて、陶器リムの上に直接載せて使用したいとの意向であった。しかし、そのために前方のL字固定具を最大限引き出しても、肉厚なリムの端にまでL字フックが到達せず、うまく納められないとの問題を抱えていた。

L字フックに引っ掛けるには、補高便座少し前に出す必要があるが、そうすると後ろにもたれかかった時に転倒するリスクがあるため、補高便座は跳ね上げた便座にくっつけるところまで後ろに下げたいと希望されていた。

問題解決へのアプローチ

しばやすさんとの検討の結果、以下の方針で設計を進めることにした。

  1. 「前方のスライドフック」を再設計し、既存のアーム先端に「リムを内外から挟み込むU字型のクランプ(アタッチメント)」を取り付ける。
  2. 但し、スライドフックの長さを15mm伸ばす必要がある。しかし、スライドフックの全体構造がわからなかったため、しばやすさんに裏面のネジを外し、中の構造がわかる写真を撮影して送ってもらう。
  3. 横の固定具には一切手を加えない。

上記2の結果を待って、設計に入る予定である。