必要要件

  • 昨年の作品「ボロノイの玉」が5mの高さだったので10m位を目標にしたい
 →後日、最優秀賞が”エッグドロップ”だったことに気づいた。目標をその記録高さ13m超に修正。
  • 自然落下の時の着地点の速度を求める
  mgh=1/2・mv^2 から
  v=14m/s=約50km/h…すごく早い
  高さ5mだと約36km/h…それでもまあまあ早い

  • 空気抵抗を考えていないので、実際にはもう少し遅いか。
  • クッション性がそこそこでもある程度の減速は要るのではないか。

構想

・減速が必要 以下のいずれか
 (1)パラシュート…プリントしにくい。もしできても大きすぎ
 (2)羽根…結構な大きさでないと効かない?
      ・Falcon9のイメージ?
      ・一方向に滑空させる?
 (3)ひらひら落ちる種子の様な構造…難しい
    →クッションの向きが多方向に必要…結局玉になる

・クッションが必要 以下のいずれか
 (1)ばね、とげ(ボロノイと同じ考え)、
 (2)軟らかい材料、ゲル…プリントできない
 (3)クラッシュゾーンを設ける…再利用できない
 (4)サスペンション…オイルダンパーとかシリンダーの様な構造

スケッチ

  • 翼で減速
  • 筒の中に内ケースがあり、その中に卵を入れる。
  • 着地後はエアを排出しながら内ケースが筒の中を下降し、筒の底に軟着陸。
  • ・着地した瞬間の衝撃が一番大きいので、それを避けるため最初はあまり減速させず、下降の間に徐々に減速する。
  • 複数の排気穴を上の方に多く、下に行くほど少なく設ける。または穴の形状を細長くし、上が太く下が細い傾斜を付ける。底付近は排気穴が無くてもいい?

  • ・着地のショックを和らげるための足またはクラッシュゾーン。
    ・落下中に内ケースが勝手に下りると困るのでラッチを付けて軽く保持。
     ラッチは内ケース側にポッチ(凸部)を付けると着地後の抵抗になるので、内ケース側が穴(または凹)外側が凸
      

デザイン、モデリング、プリントR1

  • 落下速度を下げるための羽根(折り畳み式)
  • 外側のケースの中を滑り下りる内ケース
  • 卵を保持するための板ばね状の板
  • 外ケースには落下中に内ケースを保持するため、突起付きの小さなバネ部を設ける。

【結果】

  • 羽根の形状を飛行機の翼断面の様にしたため翼が重い。プリントもし難い。
  • 空気の排出穴を大きく、たくさん開け過ぎたので減速の効果がない
  • 卵を支える板バネのプリントがうまくいかない。うまくいってる様に見えてもすぐ折れる
  • 翼のヒンジの軸受け側がすぐ折れる

R2

  • プリントのしやすさと軽量化をねらって羽根の形状をカエデの種子型に変更
  • デザインもその方が面白い。
  • 家に標本があった。ありがとう息子。
  • イタヤカエデかオオモミジあたりが好みなので、これをイメージ。
  • 大きい一翼に挑戦したいが、さすがに難しそうなので、最大6枚の小さな羽根を付ける案はそのまま。


【結果】

  • モデリングに苦労する。
  • 断面形状をいくつか描いて「ロフト」でモデリング
  • Fusion360のロフト機能でモデリングすると、断面面に直線部を設けてもうねりが発生してうまくプリント出来ない。
  • サイズも大きすぎ

R3

  • 羽根を”スイープ  ”機能でモデリングしてみる。
  • ボディの空気抜き穴を縮小
  • 先端にノーズコーンを追加
  • 何回プリントしても板バネが失敗する。
  •  うまくできたように見えて簡単に折れる。
    → 板バネの厚みを、2.0→2.4→2.8と少しずつ増やす。過去の経験(※)から厚みは2㎜で十分だが積層に力が掛かるバネはやはり難しいか。
    ※  https://www.thingiverse.com/thing:1623676

  •  ボディも割れる → 板厚0.8→1.2に増やす。
  • ヒンジ折れ対策として軸径を3㎜から6㎜に増やす。

【結果】

  • スイープでのモデリングはうまくいった。平面部が大きいのでプリントも安定。
  • 空気抜き穴を小さくしたことにより卵ケースの減速効果は上がったが、ボディ、羽根などの主要部分は地面に激突するので破損する。
  • 卵の代わりに重りを入れて4mから落とすと、ノーズコーンが粉砕。写真は先にノーズコーンなしでテストしたのでボディーも割れてビニールテープで補修されている。
  • 板バネ部は相変わらず失敗ばかり。
  • 軸の直径を増やしたことで、軸受けは割れ難くなったが、見た目がかなり武骨になった。
  •  重さ:140g 結構重たい。

【考察】

  • この辺りで実戦大会のアナウンス。事務局様に委託してチャレンジするとなると落下の度に壊れる構造はまずい。
  • 外ケースが直接地面に激突する構造では本体の破損が避けられない
  • 本体を先端部と分け、重たい本体と軽い先端部の間で衝撃を吸収する仕組みが必要。

R4

  • 先端部にエアシリンダー式のショックアブソーバーを設けることにする。
  • 一般的にエアーシリンダであれば排気を絞って減速させるが、プリントの精度上、そこまでの精度は出せないため、排気口は設けず、ピストンとシリンダーチューブ間の漏れを利用して減速させる。
  • 地面に衝突した瞬間に衝撃が最も大きいと思うので、その部分の内壁を凹ませ隙間を大きくすることで空気の漏れが多くなるようにデザイン。
  • 板厚を全て2mmに変更
  • 回転が速いので、もう少しゆっくり回るように、羽根の迎え角を-15度からー6度、上反角も12度から6度に変更。


【テスト】

ここで初めて、卵を入れて落下テストをした。
高さは4m

【結果】
卵が粉砕

R5

【問題】
  • ピストンの動きがスムーズ過ぎて、着地時のショックアブソーバーとしての働きがあまりなさそう。

【対応】
  • ピストンの摺動部の厚みを増やした。
  • クリアランスを詰めても摺動抵抗が増すだけで、エアークッションの働きは大きくならないが、ピストンの摺動方向の厚みを増すと、その隙間を通る空気への抵抗が増えるため、クッション効果が増すと考えた。ベルヌーイとか流体力学的な検討は不明。むしろ管路抵抗や電気抵抗などの考え方から類推。
  • ストロークも70mm程度から100mmに延長。

R6

【問題】
  • 羽根のジョイントの重量が重そう。軸を6mmまで大きくしたが、それでも軸受けの割れが発生。
  • 卵を支える板バネのプリント不良と積層面折れの問題が止まらない。板厚を増やしたり断面形状を微調整したりしたが解決できない。

【対応】

  • 羽根、板バネ共に分割組立式に変更した。接続方法はアリ溝で、角度は60°。 最初はT型の溝を考えたが、精度の悪いプリンタでは研磨による調整が必要になるので、削りやすいアリ溝を採用した。

【結果】

  • アリ溝にして正解。羽根で3mm、卵バネで2mm程度の深さしかないがしっかり固定できる。ヤスリでの研磨調整もし易い。

【考察】

  •  軽量化を図ったが、V5から板厚をすべて2mmにしたのため160gと重くなった。
  • 板厚は1.6mm程度でも待ちそうに思う。

Test 2m

約2mから落下テスト 2017年10月9日

【結果】成功

Test 3.8m

約3.8mからテスト 2017年10月9日

【結果】成功

Test 7.3m

約7.3mからのテスト 17年10月12日

【結果】
成功。機体も無傷。
ただ、翼は端が薄いので、最後に倒れた時の衝撃で端の方が割れている。
積層面から割れている。再プリントは要らないレベル。

R7

【問題】
・衝突時にはエアーが圧縮されていないので、抵抗がほとんど無いため。実際に手でピストンを押してもほとんど手応えがない。

【対応】
・衝突時のショック防止のため空気を余分に漏らす目的で設けていたシリンダ内壁にの凹みを削除した。
・シリンダのクリアランスを片側0.1㎜小さくした。

【結果】
・結果クリアランス0.2になったが、ほとんど滑らないので0.3に戻す。
・内壁は平坦を維持。
・0.25もテストしてみたが、これもかなりきつい。
・シリンダチューブのプリント状態によってもかなりの差がでる。
・空気を制御するレベルの調整はこのプリンタでは厳しそう。

Test 16.5m

約16.5mからのテスト 2017年10月13日

【結果】
  • 成功。卵は無事。
  • 機体のシリンダー部分が折れた。ビデオで「これ、でも…」とつぶやいているのは。「これでも成功といっていのかなあ」という心情の漏れです。
  • 羽根は飛び散っているがアリ溝が外れただけで済んだ。
  • 当日は風が強かった。ただ、何度かスロー再生してみると、風にあおられた様にも見えるし、回転が上がり過ぎて失速しているようにも見える。高さに怖気づいて羽根を6枚に増やしたが、よほど無風でない限りは、3枚でいいように思った。
  • 地面への衝突角度は45度位傾いており、シリンダーが縮む前に折れている。卵を保持する板バネの効果もかなり効いている様に思う。

テスト 1.5m

適当に撮った動画ばかりで、皆さんのように「卵を入れるところから取り出す所まで」撮れているのがありませんでした。失格にならないように上げておきます。 17年10月17日