はじめに
このページでは、JSR社のエラストマーフィラメント「FABRIAL」の
ムトー機でのフィラメント詰まりの除去の方法を紹介します。
ただしこの方法は公式のものではないため、ホットエンドやその他の部品を傷つけない保証はありませんし、こちらでは一切責任を取ることが出来ません。除去を行う場合に発生する破損や劣化は全て自己責任でお願い致します。
対処方法1:冷却による膨張への対処
もし詰まりの原因が不純物の混入や設定温度の上げすぎによる素材の性質の変化などではなく、溶融温度での放置が原因のFABRIALの熱膨張だと考えられるのであれば、この対処法で詰まりが解消される可能性があります。
フィラメントを引き抜き、ホットエンドの温度を切る
まずフィラメントをエクストルーダから引き抜きます。溶融温度(140℃)で100mm/minの速度でReverse(逆送り)することが可能な筈です。ローラーが先端まで送りきったらあとは手で引き抜いて下さい。
その後、即座にホットエンドの温度を切って下さい。
冷却するまで待つ
その後、室温まで冷えたホットエンドを更に30分~1時間程放置します。
フィラメントの再装填
再びホットエンドの温度を140℃に設定し、FABRIALのフィラメントを送り(Extrude)ます。
この時の送り速度は10mm/minを超えないようにして下さい。早い速度で送ると詰まりの原因になる可能性があります。
エクストルーダの先端から充分な量のフィラメントが出てくれば完了です。
対処方法2:分解と棒による押し出し
もし上記の要領で解消されなかった場合、
温度変化による変色程度の性質変化であれば、変色してしまったフィラメントごと後ろから棒で押出し、先端から出すことによって詰まりを解消することが出来ます。
ホットエンドの取り付け金具の取り外し
まずは冷却の時と同じようにフィラメントを抜き取り、温度をOFFにします。
こちら
のページでの説明と多少重複しますが、
最初にホットエンドを固定している金具を取り外します。1枚目の画像の緑色にハイライトした部分の金具を取る必要があるので、それを固定しているネジを取り外します。
六角レンチを使い、左右のネジを緩め、外します。
両方のネジを取り終わったら金具を手前にスライドさせれば、金具を取り外すことが出来ます。
その後、ホットエンドの温度を140℃まで温めます。
ホットエンドの取り出し
金具を外すとホットエンドも手前にスライドさせることが出来るようになるので、ペンチ等を使って固定位置から手前にスライドさせホットエンドを取り出します。
黒い円筒の取り外し
次に、黒い円筒部分を取り外します。
ヒートコア部分をバイスやレンチを使い固定し、黒い円筒の下部にスパナが入る溝があるので、そこにスパナなどをかませ、回して外します。
詰まりの押し出し
レンチなどでヒートコアを固定し、金属の棒(先端は丸まっているほうが良い)で中のフィラメントを押し出します。金属の棒は直径3mmのものがベストです。3mm未満でも大丈夫ですが、あまりに細すぎると内部を傷つけてしまう可能性があるのでご注意下さい。4cm~5cm程問題なくフィラメントが出てくるようであれば、詰まりが解消されたと見て問題ないでしょう。温度をOFFにして全てのパーツを元通りにして終了です。
対処方法3:分解とネジ・針金による除去(内部劣化の可能性のため非推奨)
上記2つの方法でも解消されず、異物混入や完全な固形化による詰まりだと判断された場合で、捨てて買い換える他ないという方にしかおすすめしません。
ネジを回し入れ、引き抜くことによって回し入れてフィラメントを出すと同時に引き抜く際に劣化・固形化したフィラメントがネジの溝に入って一緒に出てきてくれます。
また針金でノズルの穴を通して詰まりを解消することで小さな詰まりの原因も取り除くことが可能です。
ただしどちらの方法もホットエンドを傷つける可能性が高いので充分気をつけて作業をして下さい。
ホットエンドの取り付け金具の取り外し
やり方は2つ目の方法と重複します。
まずは冷却の時と同じようにフィラメントを抜き取り、温度をOFFにします。
最初にホットエンドを固定している金具を取り外します。1枚目の画像の緑色にハイライトした部分の金具を取る必要があるので、それを固定しているネジを取り外します。
六角レンチを使い、左右のネジを緩め、外します。
両方のネジを取り終わったら金具を手前にスライドさせれば、金具を取り外すことが出来ます。
その後、ホットエンドの温度を140℃まで温めます。
ホットエンドの取り出し
金具を外すとホットエンドも手前にスライドさせることが出来るようになるので、ペンチ等を使って固定位置から手前にスライドさせホットエンドを取り出します。
詰まり除去動画
動画のように詰まりを取り除きます。
ネジのネジ山は約3.3mm、長さが4.97のものを使用しています(径に関しては3.3mmか-0.1mm程度の径のものでないと使用できません)。
針金は0.7mmのものを使っていますが、これを使った時点でこのノズルの穴が相当広がっていたので、実際は0.5mm以下のものを使用することをおすすめします。
ヒートガンを使う
上記の方法を全て試しても解決しなかったため、ヒートガンを利用しました。
ノズルを本体から取り外し、ヒートガンで先端部分を温めます。その後、3mmの丸棒やそれより細い棒状のもので押し込んだり引いたり絡め取ったりします。
行う際はしっかりと熱保護用の手袋をしてください。最終的に、高温で加熱されて硬くボソボソになったFABRIALの粉末が出てきました。