1. 課題発掘
①素材特性からのアプローチ
父「今回の素材は土の中でボロボロになるんやって。自由研究で使えへん?」
「例えば球根をいれたりとか、アリの巣作ってみたりとか・・・」
子「うーん、ポケモン作りたい」
・・・なるほど。子供にとって造形物の作成自体が価値なんですよね。生分解性や機械強度という機能はその先の価値。
②困りごとからのアプローチ
父「わかった。ポケモンは作ろう。ほんでなんか壊れてるもん無い?」
子「洗濯もん干すやつ壊れてんで」
母「それ作ってくれたら助かるわ~」
「あと、虫取り網の伸ばす部分も壊れてんねん」
・・・という事で、洗濯物干しの部品を選定。子供にとってお母さんの助けになるというのも重要ですし。
2. メンバー構成
・メンバー
父(37):技術サポート、ファブラボ引率、Fabble編集
息子(8)& 娘(6):アイデア立案、モデル作図、CAD作成、3DP出力立ち合い
パートナー探し
・Fablab Kobeにご協力いただきました。
家から自転車で行ける距離で助かりました。
・完全な初心者だった私たちに丁寧にアドバイス頂きました。
・コロナ禍という事で原則クローズでしたが、Fab3Dコンテストに参加したい旨をお伝えして個別で対応頂きました。
子供達も我が家の様に(汗)はしゃいでいました。
https://fablabkobe.org/
3. 作成ツールの確認
3Dモデル作成: TinkerCad
3Dプリンタ:Kingroon KP3S 及び BCN3D Sigma
使用した3Dプリンター
出力機種:Kingroon KP3S nozzle径種:0.4mm
4. 工程の整理
・写真撮影
・壊れたプラ部分の寸法どり
・作図
・CAD作成
作成対象の写真撮影
作成する部品を写真撮影
・・・洗濯物干しの鉄棒部分を支えるプラ部品。
印刷して作図
まずは写真を印刷。
写真を元に、プラ部品を描いてもらったが、結構複雑な形のため難しかった様子。
作図
なので、父が補助。
①印刷した写真の上から鉛筆で形状をなぞって描いた。
②写真の上で描いた形状をそのまま画用紙に書き写した。
③(このままでは子供の作品にならないので)別の画用紙に点線で先ほどの図を書き写した。
→点つなぎの要領で子供に画用紙の点を繋いでもらった。
(写真の右上が子供が点つなぎで描いた図)
寸法記入
実物をメジャーで測定して、長さを紙に記入
5. 3Dデータ作成
作成した寸法を元にTinkerCADで作図
CAD作成
TinkerCADで作図。
父「この筒のパーツ作って」
子「わかった」
父「ほんでこの▲押しながら伸ばしていって」
子「わかった」
・・・といった具合に。何とか子供一人で全部進められました。円筒と直方体の組合せだけだったのが幸いか。
3Dモデル完成
先ほど記録した寸法に合わせた
6. プロトタイプ作成
PLAを使用してプロトタイプ作成
洗濯物干し部品
ポリ乳酸を使用したプロトタイプ
フィラメント:polymaker 社 PolyTerra PLA(オレンジ) Layer: Height : 0.2mm Wall Thickness : 0.8mm
Printing Temp : 230℃ Build Plate Temp : 20℃
Print Speed : 15 mm/s Fan Speed : 100% Support : on
出力品の評価
・かなり思い通りの外観だったが円筒部分がすこし弱そう。
・案の定、鉄の棒を差し込むと少しヒビが入ったのでガムテープで補強。
7. 本番① Forzeas編
反りが大きく造形困難
Layer: Height : 0.2mm、Wall Thickness : 0.8mm
Infill Density : 30%、Infill pattern : zigzag Printing Temp : 180℃、Build Plate Temp : 20℃、Print Speed : 5 mm/s Fan Speed : 100%、Support : on
再チャレンジ
条件調整で改良。
Layer: Height : 0.2mm、Wall Thickness : 0.8mm
Infill Density : 30%、Infill pattern : zigzag Printing Temp : 180℃、
Build Plate Temp : 60℃、
Print Speed : 5 mm/s Fan Speed : 100%、Support : on
出力品の評価
・円筒部分はなめらかでGood
・四角の部分が少しがたがたしている。洗濯物をいっぱい乗せた時にここからヒビが入るかも
8. 本番② Durabio編
1回目はベース部分からはがれてしまった。
Layer: Height : 0.2mm、Wall Thickness : 0.8mm、Infill Density : 30%
Printing Temp : 240℃、Build Plate Temp : 90℃、Print Speed : 30 mm/s
Fan Speed : 50%、Support : on
Durabioフィラメント2回目
部品がベースから剥がれる事は防ぐことができたが、反りがまだまだ激しく、形状が歪んでいた。
Layer: Height : 0.2mm、Wall Thickness : 0.8mm、Infill Density : 30%
Printing Temp : 240℃、Build Plate Temp : 90℃
(ステージ上に両面テープ貼付)
Print Speed : 30 mm/s、Fan Speed : 50%、Support : on
Durabioフィラメント3回目
ベース周りにラフトを形成する設定に変更したところ、うまく出力できた。
Layer: Height : 0.2mm、Wall Thickness : 1.6mm、Infill Density : 30%、
Printing Temp : 240℃、Build Plate Temp : 90℃
(ステージ上に両面テープ貼付)
Print Speed : 30 mm/s、Fan Speed : 50%、Support : on
Build Plate Adhesion : Raft
出力品の評価
・形状はかなりなめらかでよかった
・しかし、サポート部材を外す時に少し円筒部にヒビが入った。
強度は少し低いのかも知れない。
9. まとめ、感想
着眼点
・直射日光に晒されるために劣化が激しいプラスチック製品こそサステナブルな素材に置き換えたい。
生活に根差した子供の視点が今回のアイデアに繋がったと思います。
達成事項
・バイオプラを使用して洗濯物干しの部品を作成
・6歳と8歳の子供達がTinkerCADになれ親しむことができた
・Fablab 神戸のスタッフの方と繋がることができた。
→本作品以外にも2作品を作成、出力対応頂いた。
大変だったこと
・緊急事態宣言による日程調整
・単身赴任による活動時間の制約