For whom:対象者
靴下をはくことが困難な方
足先に靴下を通すことが困難な方
従来あったソックスエイドでは片手での操作が難しいと考えていた方
Why:なぜ作ろうと思ったのか
担当させていただいた患者様(A様)より「靴下が履けなくて困っている」「着圧の靴下を履かないといけないから足先を通すことが余計に難しい」と相談があったため、自助具の作成を考えました。
A様は患側上肢の肘関節を伸展させることが難しく、従来のソックスエイドでは足先を通すまで両側の紐を広げることが困難であったため、A様の意見をいただきながら片手で足先に靴下を通せる自助具をイメージしました。
How:どのように作成したか
従来のソックスエイドでは行いづらかった片手で足尖部に靴下を通すことができる形を想定しました。
大枠の原案をTinkercadを使ってモデリングし、3Dプリンタで印刷、自分とA様で実際に使用し修正を行いながら完成に繋げました。
試作品1
TPUフィラメントを使用して作成したので、PLAフィラメントと比較して柔らかいため、靴下の入り口を通すことは可能でした。しかし、足先を通す前に自助具から靴下が外れてしまい上手く履くことができない状態でした。
試作品1
試作品2
靴下が自助具から外れてしまう問題を改善するために、引っかかり部分を作成しました。
しかし実際に使用したところ、A様より「足先が通りづらいな」という意見があり中止しました。
試作品2
試作品3
靴下が外れにくいように、靴下を通す部分の幅を広げました。
試作品2までの部分よりも足尖部に靴下が残りやすく成功率が向上しておりました。ただ、下腿部分から自助具を外す際に引っかかる所が自分もA様も気になり、改善余地があると感じました。
試作品3
完成品
自分の使用しているプリンター機材が、Bambu Lab A1 miniであるため、印刷範囲の影響からパーツを二つに分けました。これにより持ち手部分と足を通す部分の長さを保つことに成功しました。足を通す部分を広げたことで足首から自助具を外す際の痛みもなくなり、安楽になりました。
また、持ち手部分に穴をあけることで、ひもなどを通して掛けて収納できるように変更しております。
持ち手部分と本体は瞬間接着剤などで固定をしていただく必要があります。
完成品パーツ上
完成品パーツ下
Outcome:対象者の何がどのように変化する道具なのか
今回のソックスエイドを使用することで、片手で足先に靴下を通すことに成功しました。
これにより御家族に靴下を履かせてもらうことなく生活の中でできることが一つ増えることにつながりました。