着想~紙から3Dプリンターへ
私達はかつて大学のサークル活動で、紙によるエッグパッケージ作成を研究したことがありました。その時の経験を踏まえ、3Dプリンターという新しい視点から再びパッケージ作成に挑戦することを決めました。
当時研究されていた数ある形の中から私たちが選んだのは、最もシンプルで強い「コーン型」です。大きさに制限があるプリンターでも出力できるよう全体を小型化し、小型化したために不安定になった落下時の軌道を安定させるための羽根を追加して、機体の出力を試みました。
補足~コーン型に魅せられて
コーン型は以下の点から、エッグパッケージとして非常に優れた形です。
・着地時に尖った先端が潰れることで衝撃を吸収し、中の卵を守る。
・大きな円錐型によって落下の軌道が安定し、先端以外の場所から着地することを防ぐ。
・つっかい棒を追加することで、着地後に横に倒れたとき、側面が地面に強く接触することを防ぐ。
シンプルな構造であるため想定外の動きが少なく、ビルの4階から落としてもほぼ確実に卵を守ることができました。
関連サイト
過去に作成した動画 ⇨
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1213929
過去に出演したサイト⇨
http://www.jaxaclub.jp/space_lab/04/
試作~初めてのプリンター
3Dプリンターの講習を受け、いざ初出力!
しかし、本体に取り付ける予定で大きな丸い羽根を出力したところ、サポート材が大量に使われ、羽根の部分だけを切り出すのはほぼ不可能な形になってしまいました。
出力に適さない形をデザインしてしまい、慣れないプリンターでの製作は、難航を極めました。
対応策~組み立て式への進化
そこで各部品を作成し、卵封入時に組み立てる方法に切り替えました。
羽根は1枚ごとに出力し、胴体のジョイント部に取り付けます。
さらに胴体、羽根のほかに「フタ」の部品を作成し、中の卵がパッケージ外へ飛び出すことを防ぎます。
改良1~羽根 改良の歴史
全体を分割した後は、部品ごとに改良を重ねます。
羽根はたくさんの空気抵抗を受けられるように、形を長方形から台形へ変化させ、さらに全体のサイズを大きくしました。
また枚数を8枚→4枚へ減らし、必要最低限の数にすることで部品数の削減、組み立て作業の簡略化を狙いました。
モデリング(羽根)
羽根
のデザイン
改良2~胴体の改革
コーン型はそもそもパッケージが壊れることで卵を守る仕組みですが、そのため部品が壊れるごとに新しいものを用意しなければなりません。
そこで最も壊れる可能性が高い部分である先端を胴体から分離し、破損した場合はそこだけ交換できるようにしました。出力に時間がかかる胴体部分を繰り返し使用できるようにしました。
モデリング(胴体・先端)
胴体
と
先端
のデザイン
改良3~固定方法の新発想
当初はフタを使って卵を固定する予定でしたが、より汎用性の高い方法を求めてさらに変更を加えました。
使用するのは棒。胴体の側面に空けた穴に棒を通し、卵の局面に沿って棒をしならせ、反対側の穴に通します。棒が卵に密着し、より強固に卵を固定することができます。
また棒を通す穴は、縦に複数箇所用意しました。こうすることで大きさの違う卵に対して、それぞれにあった固定位置を選択できます。
モデリング(胴体)
胴体に
卵
をセットし、
棒
で固定したところのモデリング
完成形態~その名は「ヨツバチ」
こうして私達の新エッグパッケージ「ヨツバチ」は完成しました。
地面に先端を向け、回転しながら一直線に落ちていく様はなかなかの見ものです。
この「ヨツバチ」で、さらなる高み(からの落下)に挑みます。
モデリング(完成形態)
完成形態のモデリング
落下~栄光の着地
いよいよ落下実験です。
まずは3mのすべり台から投下!
結果は…成功です!
調子に乗った我々は、6m、さらに9.6mからの投下に挑戦。
果たして結果は…続きは動画で!!
動画
CADデータ
GitHub:
tailriver/yotsubachi
コミットをたどると改良途中のデータがあります。