ニュースで見て...
私たちは授業やニュースで「森林破壊」という言葉を沢山耳にしていますが、その解決方法はありきたりのものしかありません。
抽象的な社会課題から、具体的な問いにするために「対象者・状況・課題」を整理しました。
その結果「動物たちが・住む場所を失って・生きていけなくなる」というグループのみんなのイメージが定まりました。そしてこれを元に、森林破壊を止めるために解決しなければならない問題として出てきたのが「CO2のをどう削減するのか?」でした。
そこで私たちはCO2の削減方法についてのブレストを行いました。
アイディアスケッチ
ブレストで出たアイディアを絵にかきおこして可視化しました。
テーマの考え直し
今までの作業を元に改めてテーマを考え直してみました。
マンダラートを使ってさらに深掘りしました。
森林破壊の原因
深掘りしていくうちに竹害が一つの要因になっているわかりました。 竹害が起こることによって土砂災害や生態系の破壊が促進されてしまいます。 その問題を止めるためには森林整備が必要不可欠ですが、人手不足で整備が追いつかない状況にあります。また、若者が少ないという課題もあることがわかりました。 そこで私たちは学生に竹への興味を持ってもらいたいと思い解決方法を考えることにしました。
第1プロトタイプ
竹に興味を持ってもらうために見た目の可愛さを重視して竹製品を作ろうと思いました。
そして竹の特徴が下記の通りでした。
①自然にかえる ②肥料として使える ③弾性力がある ④軽い
その特性を活かしたものとして上がったのが植木鉢でした。
そして可愛さについて考えたところ
地球温暖化→南極の氷が溶ける→ペンギンの住むところがなくなる→愛着のあるペンギン
という流れで可愛いペンギンのデザインにして若者の興味を引くことにしました。
そして模型を粘土で作ってみました。
第1プロトタイプの改善
より具体化するために、粘土で作った模型を元に3Dプリンターで出力しました。
ペンギンの胴体部分を竹、それ以外を3Dプリンターで作ろうとしたが植木鉢にしては小さすぎるという問題が発覚しました。そこで植木鉢本体ではなく、植木鉢の付属品にすることにしました。
この付属品というのは植木鉢の管理をするもので、具体的には植木鉢の温度・湿度管理ができます。
しかし竹は害虫問題が多いことがわかりました。
従って、直接土に触れないように竹の使用をやめ、全てを3Dプリンターで作ることにしました。
上記のものを使用したプロダクトについて
私たちは上記のものを使用したプロダクトを考えました。
①竹を伐採
②その竹を使って植木鉢の作成
③地域の人が②で植物を育てる
④育てた植物を回収
⑤竹害が起きていた場所に埋める
といった流れで竹に浸食された森林を本来の姿に戻す取り組みです。
しかし課題が…
プロダクトを行う以前に、問題があることが発覚しました。
竹を使った植木鉢は、加工の難しさや腐りやすさを持っているのです。
そして、さらに根本的な竹害の解決になっていないのではといった疑問が出てきました。
私たちはそもそも竹の植木鉢を作り、そのときに消費する竹を放置された竹林から消費することによって竹害をなくしていこうと思っていました。しかし、現実的に考えてみると植木鉢では消費する竹の量は少なく、規模も大きくないため、竹の消費を目的にすると難しいことが発覚しました。
方向転換
もう一度インターネットで調べてみると、竹整備を行っている人の年齢層は高く、若者はほとんどいないということがわかりました。そして、考えていたプロダクトでは興味のある人しか来ないため、竹の消費をする以前に竹害の認知度を上げるべきだという考えに至りました。
よって、竹の消費ではなく、竹害の認知度拡大を目的に活動していくことに決まりました。
そして、広めやすい竹の使用例として、竹チップを使っていこうと考えました。また、それをコンポストに生かすことで化学反応が起き、良い方向に向かうと考えました。
竹チップを使用したコンポストについて
私たちは竹チップやコンポストについてインターネットで調べていきましたがわからないことが多く、知識不足による不安が多くあったので、実際にそれを取り扱っている方々にインタビューやフィールドワークを行いました。 そして竹チップとコンポストがどのようなものなのかを知ることができたので下記に記録しました。
⚫️
竹チップというのは竹を砕いたものです。
その竹チップを使ってコンポストを行うことで、竹にいる微生物が働いて生ゴミが分解されます。
インタビュー
私たちはもっと竹チップやコンポストの知識を得たかったので、平野さん・長谷川さん・川原さんにインタビューを し「竹チップ」や「コンポスト」について情報収集を行いました。
竹チップについては、乳酸菌が多く含まれていることによって多様な菌でより発酵しやすくなること。またコンポストに関しては、プランターが大きいほど土壌の量も増えるので微生物の数も増えて分解が早くなり、暖かい方が微生物が活性化することも教わりました。
フィールドワーク(竹の特徴について)
⚫️フィールドワーク 私たちは竹チップとコンポストについてあまり詳しくなかったため 実際にそれらを取り扱っている方たちのところにフィールドワークに行って松本さんにお話を伺ってきました。
⚫️今回のフィールドワークに行って竹について知ることができました。
竹の特徴
・消臭殺菌効果がある
・軽い
・柔軟性があり曲げることが可能
・熱伝導性が高い
・乾燥しても伸縮しない
フィールドワーク(竹チップのメリット・デメリット)
竹を使用した竹チップの特徴について教えてもらいました。
⚫️竹チップのメリット
・混ぜやすい
・臭いがあまりしない
・虫が沸きにくい
・竹が腐っても使用できる
・竹チップの微生物は油が好物であるため油も一緒に捨てることができる。
⚫️竹チップのデメリット
・費用が土のコンポストよりもかかってしまう点
フィールドワーク(コンポストについて)
コンポストについてのお話を伺いました。
⚫️コンポストの特徴
・ゴミの焼却料を減らすことができる
・基本的に自由で何が正解とか正しい方法とか正確にはわからないから自分でやってみて
分解できるものと
できないものを見つけていく問い作業をするのも良い
⚫️コンポストのメリット
・可燃ごみを減らすことができる
・環境にやさしい
・竹の消費ができる
⚫️コンポストのデメリット
・めんどくさい
・地味な作業でつまらない
プロダクトを製作する(クライアントプログラム)
竹チップを使ったコンポストを使いやすく、また若者が興味を持ちやすくするために「みえるん」(下記のデバイス)を作成しました・
必要な機能を実装し、かつ誰にでもわかりやすく使いやすいデバイスを作成することを目標にプログラムを作成しました。また将来的に拡張することも考えた設計になっています。
どのようなデータが必要か考える
コンポストの簡易化するにあたってどのようなデータが必要かを調べることにしました。 収集したデータをユーザーにフィードバックしてコンポストに反映してもらうためにコンポストの状態におおきく関わるかつ比較的容易に改善が可能な要素についてのデータを収集することにしました。そこで上がった要素が以下のとおりです
温度
湿度
土壌水分量
コンポストは微生物の活動によって機能するものなので、微生物が活動を行いやすい温度に保つ必要があります。また分解には多量の水分が必要です。そのため温度、湿度を追加し、土のための湿度センサーとして土壌水分量センサーも搭載することになりました
マイコンボードを選定する
データを収集するためのデバイスをマイコンボードで作成することになりました。デバイスを作成するにあたって以下の条件を満たす必要があったのでどのボードを利用するかを考えました
ネットワークにつながる
多機能であり、多数のセンサーを搭載できる
ユーザーフレンドリーな設計を行うことができる
最終的にM5Core2を利用することにしました。M5Core2は多数のIOポートがあり開発が比較的容易かつLCDディスプレイを搭載しているためユーザへのフィードバックを容易なものにすることができます。またWiFiやブルートゥースなどにも対応し機能の追加も行いやすいことが採用した理由です。
プログラムを行う
データをセンサーから取得しディスプレイに表示するプログラムを作成しました。複数のデバイスを作成するときにセンサーの種類を合わせることができなかったので、センサー種類を判定しそれに合致したプログラムを実行するようにしました。またLCDに情報を表示したり、愛着を持ってもらえるように画像を表示する機能も搭載しました。 ユーザーはボタンを使ってページを切り替え様々な情報にアクセスできるようなプログラムになっています。
データを一元管理するシステムを作る
端末で収集したデータを自身のスマートフォンで見ることができたほうが楽だというアイデアが出ました。 そこでセンサーで収集したデータをサーバーに送信し、Webサイトと連携することでいつでもどこでも自分のコンポストのデータにアクセスできるようにしました。サイトに定期的に取得したセンサーデータをJson化したものをPOSTしています。
デバイスのセットアップ方法の工夫
データをサーバーに送信するためのネットワークの設定が必要になります。なるべく設定が行いやすいようにスマートフォンでQRコードを読み込むだけで設定画面が表示される、自動的にWiFiを検索してユーザーに提案するなどの工夫がなされています。またWiFiの環境が変更された場合でも今までのデータを引き続き利用したまま新しい設定を行うことができます。MACアドレス制限を行っている場合でも本体のMACアドレスを通知する機能があるため利用できるようになっています。
ネットワークに接続できない方への対応
ご家庭にインターネットがない場合やWiFiの届かない範囲で運用することも考慮したプログラムにする必要がでてきました。そこでSDカードを挿入した状態でデバイスを起動すると「オフラインモード」となり、コンポストのデータを表示するとともにSDカードに記録する処理を追加しました。SDカードは汎用手的なフォーマットであるJson形式で保存されるため、後処理を容易に行うことができます。また、モードを切り替えたときにもWiFi設定などは削除されないため安心して利用することができます。
デバイスの設定変更
全てのデバイスの設定をサーバーに格納しデバイスごとに個別の設定を行うことが可能です。デバイスを自分好みの設定にすることができます。またデバイスが増加しサーバーへの負荷が増加した際でもサーバーとの通信量を個別に設定したり、全てのデバイスに同一の設定をおこなうこともできます。またデバイスは起動時からの秒数でサーバーとの通信を行うことでサーバーの負荷軽減を実現しています。
時刻調節
起動時タイムサーバーと通信を行い現在の時刻を内部のRTCを同期させます。これにより電源を喪失した場合、通信が切断された場合でもデバイスは正しい時間を得ることができます。
アップデート機能
新しい機能の追加を行ったり、プログラムの修正および更新を行うためにオンラインアップデート機能を搭載しました。自身のファームウェアバージョンと最新ファームウェアのバージョンを比較し、オンラインでのアップデートを行います。デバイスは単体でアップデートを行うことができます。また他のマイコンボードを利用して作成した場合などでも配信するファームウェアを適宜設定できるようになっています。
APIによる外部との連帯
デバイスはWebAPIを提供しています。HTTPリクエストを行うことでコンポストのデータにアクセス、またはデバイスの設定を変更できるようになっています。これにより他のプロダクトと連携した制御を行ったり、プログラムに知識のあるユーザーが自分のサービスなどとデバイスを連携させることが容易になっています。またデバイスはDNS機能を搭載しているためIPアドレスがわからない場合でもDNSを利用してアクセスできます。CORESポリシーにも対応しているためWebサイトのJavaScriptを利用してデバイスにアクセスすることもできます。
軽量化を考える
機能を増やしていくとマイコンへの負荷が増加します。レスポンスが悪くなったため軽量化を行う必要がありました。そこで目をつけたのが今回使用したESP32には2つの計算コアがあるということです。2つの計算コアで処理を分散しいくつかの非同期処理を追加して軽量化を行いました。
更なるレスポンスの向上
マルチコア化し非同期処理を行いましたが更なるレスポンスの向上のためにOSがどのような処理を行っているのかに目をつけました。その結果delay()というプログラムを一時停止する処理を行っている時に別の非同期処理を行っていることがわかりました。そのため各タスクでdelayを追加するとともにWebアクセス時に処理が集中しないようなプログラムに変更しました。
プロダクトを製作する(3Dモデル)
誰が見てもかわいいと思える。ぜひとも自分の家に置いてみたいと思えるデザインになるように工夫をしました。
バージョン1
最初のモデルは大きいものでした。豚がモチーフになっています。内部に配線を隠すことができるとともに横からセンサーの配線を出すことや、充電ポートなどが備わっています。また上下のパーツはジョイント式になっており単体で合体することができます
バージョン2
キュートアグレッションに基づいて大型に小型化を行いました。これによりどの家庭でも導入しやすくかわいいと思えるようになりました。使用するセンサーなどが前バージョン制作時よりも具体的になったことにより最低限の配線用スペースを確保した作りになっています。またマイコンボードの電源を入れられるようにケースにボタンを設置しました。また前面カバーを作成したころでマイコンが外れなくなりました。
バージョン3
前面にねじがあった前バージョンとことなり、背面をねじ止めすることによりデザイン性が向上しました。また画面の位置調整や、ボタンの寸法の見直しも行われています。ボタンの設置の方法や配線を考量した組み立てを想定して設計を行っているため組み立てやすくなっています。
プロダクトを製作する(サーバープログラム)
データの収集およびデータの可視化を行うWebサーバーを構築しました。
Webサーバーを動作させるマシンについて
サーバーを作るにはサーバーソフトウェアを動作させるマシンを考えなくてはイケません。今回はRock 5Bというワンボードマイコンを利用することにしました。省電力性に優れながらもかなりのスペックを誇っておりプロダクトの製作において十分だと判断しました。計算上では約100個のデバイスを同時稼働させても余裕があるほどリソースを確保することができます。Linuxを搭載しているため、安定性とメンテナンス性が高いことも特徴です。
移行しやすいサーバーシステム
サーバーを移行することも考慮することにしました。そこでコンテナ化という技術を利用することにしました。今回はDockerを利用しました。Dockerを利用することで名前領域による分離によってアプリケーションを独立したリソースとして管理できます。docker-compose等を利用することで新しい環境でもサービスを簡単に開始できます。
データを保存するSQL
サイトはphpを用いて作成しました。データの検索がしやすいという理由からSQLを採用しました。SQLとはリレーショナルデータベース、つまり表形式のデータベースです。SQLを利用するとデータの検索が容易になります。今回は主流なSQLであるMySQLをベースとしたMariaDBを利用しました。1万件のデータを約0.08秒で取得することが可能になりました。
サーバーソフトウェア
サーバーのソフトウェアにはApache+phpという構成を利用しました。
Apacheは安定性が高く一般的なソフトなため信頼性が高いと判断しました。
またリバースプロキシにはNginxを採用しました。
Nginxでhttp通信に暗号化を施したり、その他のサービスと共存させることができます。
将来的にはHAなどを導入しロードアバランサーとして機能させたり、ダウンタイム減らす工夫をすることもできます。
ウェブサイトをデザインする
「みえるん」にあったデザインとは何か模索した結果、「みえるん」が「愛着のある製品」であることを大切にしているため「愛着」をテーマとしたウェブサイトのデザインを作成することとなりました。
色彩の工夫
親しみやすい色にしたいという思いから、それぞれの色がもたらす人への影響を調べていくうちに主に「オレンジ」や「黄色」などの暖色系の色は人に安心感を与えることがわかりました。 特に「黄色」は誘目性が高いとされていて多くの人の関心を惹きつけることができると考え、ウェブサイトのメインとなる背景を黄色にしました。
アシスト機能の可愛らしさ
当初は堅苦しく、白に黒文字という興味関心を惹かないものでした。それは「みえるん」のコンセプトにあってないと考え、まずは背景には色をつけることから始め、角を無くし、配置も中心に寄せるなどプログラムを改善点を見つけてはその都度変えていき、試行錯誤の結果よりボタンを押したくなるようなデザインに仕上がりました。
そのため、これらのアシスト機能の個々のページは右記のような暖色を使った丸みの持ったデザインになっています。
右記
(上)改善前
(下)改善後
アシスト機能
みえるんのウェブサイトには「おみくじ」「みえるんとの会話」「今日のラッキーアイテム」という三つのアシスト機能を設けています。
より多くの人がこのウェブサイトを定期的に開いてもらうことを目的としていて、ウェブサイトを見てもらわなければ意味がないということで「どんなアシスト機能があったら若い人でも自主的にウェブサイトにログインを促せるのか?」という議論の中で「おみくじ」「みえるんとの会話」「今日のラッキーアイテム」に決定しました。
おみくじ
心理学的におみくじは「バーナム効果」が働いていて、人はそれによっておみくじを引きたいと思うことが調べていくうちに分かり、関心を惹きつける効果があります。
みえるんとの会話
挨拶程度の会話ですが、挨拶には「暗い気持ちを吹き飛ばす効果がある」と言われています。
それが例え人でなくても変わらないことなのではないでしょうか。挨拶程度の会話が誰かの気持ちを楽にするのかもしれないという願いを込めました。
今日のラッキーアイテム
1日過ごすにあたって人は何度も選択する場面があります。どの学校に進学するかなどという大きな選択でなくても、どの服を着るか、何を食べるか、どの電車に乗るか、小さな選択で溢れています。選択をするのは楽しい時もありますが、多すぎては疲れてしまいます。
なので今日のラッキーアイテムを知って選択するサポートができればいいと考えました。
学校展開
⚫️学校に展開する 若者に認知してもらう事のできる最適な場所が学校だと考えました。 学校には若者が集結していて学校に置いておくだけでも竹の存在を知ることができたりコンポストのやり方や竹チップそのものを最速で小学生の時から知ることができると考えました。 また。学校の授業の一環で学校のコンポスト用の竹を取りに行くということもできますし学校を通して広めるという策が良いと言うふうに考えました。
今後の展開
今後は学校への導入をどうするのか、若者を引き込むためのリターンをどうするのか、実際にみえるんを設置して実験結果を得ることなどが上げられます。