シャボレットができるまで

あちこちで目にする「禁煙」の2文字。
禁止にしちゃえば話が早いのはわかるけど、人間てそんなにすぐ変われないじゃん!とも、わたくし思うわけで、

何かを「禁止」と人に言うくらいなら、いざ禁止(禁煙)された人の「次に乗る船」まで用意しちゃおうぜ! ということで、
 
シャボン玉にタバコと同等の文化的嗜好感を付与することをひらめいたのです。

ポイント1 タバコとシャボン玉の共通点

・動作がほぼ同じ
・指に挟んだ円柱状の棒からふわふわしたものが出る
・ふわふわしたものが周りの人に影響を与える
・見ている人に、ある一定の感興を与える
・吸う / 吹くと気分転換になる
・「一服」 / 「1プク」 で呼称が同じ

うーん、だいたい一緒!

ポイント2 かっこいい(スマート)かどうか

タバコとシャボン玉の相似性があらわになったわけだけど
「じゃあみなさん、今日からシャボン玉吹いてください」と言われても、たぶんみんなシャボン玉しない。そんなこと言われてもシャンボりしちゃう。

要はスマートさの問題とわたくし推測したわけで、つまるところ従来の、

  1. シャボン液入れの蓋をパチンと開けて
  2. シャボンストローをチョンチョンと入れて
  3. それから液を垂らしながら
  4. プクーっとやる

この一連が、やはりスマートじゃない。
さらにビシャビシャになったシャボン一式片付け問題も発生する。

ゆえに、これを解決するためにシャボレットは、

  1. 胸元から取り出して吹く。完了

の1手順で済むようにしよう。まさに1プク。

ポイント3 スマートのために求められる機能

というわけで、用途から決定される仕様は、

  1. シャボンストロー単独でシャボン液を充填できること(外部容器をなくす)
  2. シャボン液が漏れないこと(胸元にしまえる)
  3. タバコと同じ動作で1プクできること

あ、なんかApple社のイノベーションみたいになってきた!

ポイント4 誰かの困りごとを解決するか

そして真面目な話、副流煙や、三次喫煙(煙粒子が付着した服や家具から、粒子を吸い込むこと)、吸い殻のポイ捨てなど、喫煙にまつわる周囲の影響は、誰かを傷つけるレベルのもの。

それに対して、アロマオイルの香りのするシャボン玉は、
・弾けた先で芳香が漂い、嗅いだ人がリラックスする
・1プク後の残滓(吸い殻)が出ない
・やろうと思えばムクロジなどの自然物でもシャボン液は作れる
・風景がフォトジェニックになる

あと、定量化してないけど、
・シャボン玉が飛ぶと、周囲の人々が微笑む。これはもうちょっと見過ごせないくらい微笑み率が上がる。

というように、病気の発生を微笑みに変える可能性がシャボン玉にはある(はず)。

ポイント5 ムーブメントになるよう周辺もデザインする

ついでに「No smoking, Yes bubble! 」のオリジナルTシャツも制作。

イラレで描いて、カッティングプロッタでシールを切り、スクリーン印刷しました。

この秋マストアイテム。
総合的な「シャボンってかっこいい雰囲気路線」を惜しむことなく演出します。

シャボレットを設計する

とは言え、

  1. ストロー状のものの壁内部に液を保持して、
  2. 吹くときはそれが都合よく出てくるけど
  3. 普段は漏れない

みたいなのはそれなりに大変。
何度も設計→3Dプリント→どこかしらの不具合を繰り返し、だんだん決まってきた。

特に、爪部の形状でシャボン玉が泡っぽくなるのか、大きいのが出るのか、連射できるか等が決まるので、10回以上出力&テスト。最終的に4mm×8本の爪で落ち着いた。

構造

・シャボレット上部のくびれあたりの穴が、シャボン液注入口。お好みによりゴム栓をつける。

・シャボレット下部が「爪」。爪部は、シャボン玉の形状を左右する部分なので、本体と分割し、取り外していつでも付け替えられるようにした。

・右隣が「蓋」。ゆくゆくは液漏れ防止のパッキンと、パチンと爪でシャボレット本体に止まる仕様を確立したい(現状ではスナップ機構の耐久性に難あり)。

それにしても、射出成型じゃ不可能な形状。ビバ3Dプリント!

シャボレットを組み立てる

必要なもの

  1. シャボレット本体(クリックでSTLデータDL)
  2. 爪部(クリックでSTLデータDL)
  3. 蓋部(クリックでSTLデータDL)
  4. 径1mm前後のステン針金(長さ10mmほど)
  5. ゴムパッキン(クリックでSVGデータDL)
  6. ゴム栓(オプション、クリックでSTLデータDL)

必要なものは以上の通りだけど、3Dプリンタとフィラメントの精度によって、出来が随分変わる。とにかくバリは丁寧に取ろう。
ゴムパッキンは、お弁当箱に入れるシリコントレイ?をハサミで切って作った。本当は自転車のタイヤチューブをレーザーで切りたかったけど、手元になく暫定で作成。

勘所1 爪部をシャボレット本体に取り付ける

・シャボレット本体と、爪部分との接合面のバリを丁寧に取り、はめる。

・本体、爪部、共に貫通するような0.8mmの穴(シャボン液はこの穴を滴り、爪部に供給される)があるので、そこが繋がるように向きを合わせる。

(爪部を他の形状に切り替える予定のない人は、ごく軽い接着をお勧め。)

勘所1 針を熱して穴を開ける

使用した3DプリンタはRAISE3Dというもので、基本的に精度は高い方だと思うんだけど、それでもシャボン液を輸送する 0.8mmの穴は潰れがち。

よって、シャボレット本体の下部の0.8mm穴の穴を確かなものにするため、針を熱し、爪部側から貫通するようにぷすっと刺して、確実な穴を開ける(広げすぎないように!)

勘所3 蓋とパッキンを取り付ける

ステン針金を、シャボレット本体の穴と蓋の穴とを貫通するように通し、両端を折り曲げて外れないようにする。

ついでにパッキンをシャボレット本体に取り付ける

勘所4 完成!

くびれ部のシャボン液投入口から、スポイトでそろそろとシャボン液を入れよう。

今回はユニチカの半透明フィラメントを使ったので、液の残量が視認できるのもGOOD!

(ゴム系のフィラメントを出せる人は、シャボン液投入口をふさぐゴム栓のプリントもお勧め)

シャボレットを遠慮なく吹いて、周りをリラックスさせる

シャボレットを手にした君はもう、常識のくびきから解き放たれ、いつ何時でもシャボンを飛ばせるクールガイだ!

シャボン液にお好みのアロマオイルを入れて、気になるあの子の風上で、そっとシャボンを吹いてみよう。

God breath you!

シャボンの行く先、リラックス!

ニコチンによる平安と、他者を満たした満足感からの平安と、
同じ平安は平安でも、害が少ないほうがいいじゃないか!

重役会議に、取引先とのネゴシエイトに、
今日も1プクぶちかまそう!

(※やりすぎ注意!)

あんまりシャボン玉に夢中になっている30代男性は、時々ドン引きされることがあるようです(ダイナミックラボ調べ)。

かく言う私も、だんだんと奥さんから白い目を向けられている気がしていますが、それはシャボン玉の反射ゆえと言い聞かせて、今日も泡正しくシャボレットを吹くのでした!